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第38話 魔王軍の面接は死と隣り合わせです!

☆☆☆魔王軍面接編


自分は魔王軍の面接会場に来ていた。魔王城はとても豪勢でいかにも魔族を統べる者の本拠地だ。


魔王城を訪れた時にゴロゴロって雷鳴らすための職人がいるんだな。この世界に来て一番の驚きだったかもしれない。


「次のやつ入ってこい」


自分の出番が訪れたので一室に入ると、いかにも強そうな魔王軍の幹部であろう面接官が座っていた。机に肘をついて顔に手を当てている。ゲ〇ドウかよ……


後方にはいかにも強そうな魔族が後ろに手を組んで立っている。冬〇かよ……


「失礼する……」


果たして自分は魔王軍に採用されるのだろうか?


前いた世界でハイクラス転職サイトに応募していたがスカウト全然来なかった人間だぞ?


クソ! CMで意識高いアピールしやがって! 何が即戦力だ! 人材採用だ! あぁ、もう! 思い出しただけでも腹立ってきた!


おっと、いかん。面接はもう始まっているのだ。


「名前はストローク・エシリクか……そのマスクは何だ?」


そう、自分ことエクシリオは人間であるため、オネエに以前から作らせておいた覆面を被って面接を受けていた。


名を『ストローク・エシリク』ほぼエクシリオのままである。


一応内側にも魔族っぽいメイクはしているし角もつけているが……


「自分の能力を抑え込むためにマスクをしている……あまりに強すぎるのでな」


嘘である。


「へぇ、結構優秀そうだぁ。最近人材不足で困っているんだよ。勇者の活躍でね……そういえば自己紹介がまだだったな、俺は連勤のオトザだ。こっちは通勤のデズサ。よろしくね、エシリク」


連勤のオトザはなんか嫌な感じがする。部下である通勤の方は大したことないだろう。普通の社畜だ。


「さて、俺から質問をするよ、エシリク。魔王軍天敵の勇者についてどう考えている?」


ジエイミのことか。確か魔王軍を何度も撤退させたと聞いたな。


勇者についてどう考えているか……


「恐らく今回の勇者が歴代最強とうたわれているのは、彼女自身の心の強さがあるのだと思っている」


「へぇ、《《彼女》》か、勇者のことを知っているんだね。俺も一度顔を合わせたことがあったけど……」


悪手だったか?


「あの子は随分と真面目だ。責任感が強く自分一人で何もかもを為そうとしている。意地っ張りなタイプだね……俺とは全く正反対のタイプだよ」


こいつは、ジエイミの人物像を捕えている……


オトザは通勤の人が耳元で囁く。


「で、ですが……今は面接中ですよ! オトザさん」


「良いんだって、俺はこいつと話がしたいんだよ……二人きりにしてくれって、どのみち彼で今日の面接は最後なんだからさ、デズサはそのまま帰ってくれて構わないから。後はこっちでやっておきたいんだよね」


「それは……分かりました」


通勤の人は仕方なくその場を後にした。自分はオトザと二人きりになる。


「さて……これで好きなように話せる」


するとオトザは先ほどデズサのいた椅子に座り足を机に乗っける。


「――お前エクシリオだろ」


「……え?」


バレているし……


☆☆☆お前エクシリオだろ


「もう分っているんだよ正体は、デズサは気付いていなかったみたいだけど、俺の目は誤魔化せないよ」


詰んだのでは? まさか変装がこんなに早くバレるとは思っていなかったのである。


仕方ないのでマスクを外す。やばいやばい……


「しかし、どうして元勇者様が魔王軍の面接なんか受けているのさ? 流石に予想にしてなかった。それになんなのさ、その恰好……角とか」


しかし彼は会話を求めている……普通敵側の人間が潜入していたとするのならすぐに殺すのが鉄則……


なら……まだこの危機から逃れる方法は残されている。


そして先ほど彼はジエイミとは真逆のタイプと言った。


つまり不真面目であり、なるべく楽な方に向かうタイプだ……なら自分が魅力的な提案をすれば乗ってくれるのではないか?


「……自分は本当の勇者ではない」


そして、オトザに自分の真実を明かした……


今迄のこと……若干脚色はしているが、彼はそれに興味深々であった。


恐らく彼は楽に立ち回ることができる情報を求めている。そして自分を必要だと思わせることが出来れば何とかなる……


「勇者サイドの弱点を知っている。その点において自分はこの魔王軍に大きく貢献できるとは思わないか?」


「それはそうだ。でもさ、君は勇者サイドを裏切ってきたんだろ? それなら

こちらを裏切らないって確証はないんだよね……さぁどうやって信頼を勝ち取るというのだ?」


こいつ……自分を試しているな。


「生憎自分はいつでも始末できる雑魚だぞ? もう知っているのだろこの《《最弱》》を?」


「へぇ、それも包み隠さず話すなんてさ……確かに、君をいつでも始末することは可能だ。それでいて勇者サイドの弱点を知っているとなれば……俺は楽が出来る」


しかし、彼はいったい何を考えているのかさっぱり分からない。


「今の魔王軍の在り方について俺は疑問に思うんだよ。無駄に増えていく負傷者。それに過酷な残業。休みなしの労働……こちらに全部皺寄せがきている」


めちゃ社畜じゃん……異世界に労基は存在しないもんな。


「……だからさ、俺は新しい景色が見たいんだよ。楽に魔王軍を運営して、特にすることもないのに家族を養える生活。そこに君が来た」


結構他力本願だなこいつ……


「エクシリオ。君がもしこの魔王軍の過酷な労働環境を改善することが出来るのなら……魔王軍に入ることを認めよう」


オトザは自分に手を伸ばした。


なるほど……自分のやるべきことは、魔王軍を内部から変えていくこと。もし自分が魔王軍は秘密裏に支配することが出来たとすれば……こっちの方で隠居生活ができるのでは……?


目の前には同じ志を持つ、楽を愛するオトザがいる。彼も自らの安定した暮らしのために戦っている。崇高な大義を持ち合わせてはいないタイプだ。


「――新しい景色を見せてやる」


こうして、オトザと協力関係が始まったのであった。


「よろしく頼むよ、エシリク」


魔王軍を変えて見せる! 我が保身のために!


こうして、自分の魔王軍としての生活が始まるのであった。

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