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第37話 ユーシャイン改め勇者イン。ジエイミに悲劇が訪れます!

〇〇〇王都でライブ!


そうして、ユーシャインさんのライブの時間が訪れます。


やはり王都なだけあって、ステージは豪華で観客もびっしりと入っています。さすがはユーシャインさん。


最初の一曲を歌い会場は大盛り上がりました。初めて彼女たちのライブを見ましたがとても素晴らしいものですね。何と言っても曲が良くてこの作曲者は名のある音楽家なのでしょう。


今迄に聞いたことのない、素晴らしい音色です……しかし一体どうやって音を出しているのでしょうか……


そう考えていると一曲目が終わります。


「皆さんこんにちは! ユーシャインです!」


「「「「こーんにーちはー!」」」」


「うるせぇな!」


毒舌キャラであるイルミルさんが声を上げると皆さんが笑っています。


「うるせぇな! いただきましたぁ!」


ファンの方々は笑顔に満ちています。


「こらこらイルミルちゃん。みんなは今日のライブを楽しみにしてくれていたのよ? うるさいぐらいがちょうどいいのよ!」


「アルシュルねえさーん!」


やはり三人には根強い


「はーい! 皆のお姉ちゃんだよ! てへぺろちょんま!」


「てへぺろちょんま頂きましたぁ!」


てへぺろちょんまが何を指す言葉なのかは分かりませんが盛り上がっています。


「コルルナちゃーん! 愛しているぜぇぇ!」


告白している人まで出てきています。


「私もです! 今日は来てくれてありがとうございます! ここまでこれたのも皆様の応援あってのことです!」


コルルナさんは皆に手を振っています。


「それでは続いて二曲目は……」


再び音楽が流れます。この曲は……先ほどと違った曲調でありますがまた新鮮な曲……なんでしょうか、この未知の感覚は。


案の定とても素晴らしいパフォーマンスでした。


二曲目が終わると、いよいよ私の出番です。舞台の袖から見ていた私にユーシャインさん達はアイコンタクトを送ります。


「皆さんありがとうございます! 盛り上がってますか?」


「いえーい!」


「さて、本日は告知通りに! 勇者様に来てもらっています! 歴代最強と言われた勇者様。ジエイミ・メダデスの登場です!」


最強の勇者はエクシリオさんですが……訂正してほしいところをぐっとこらえます。


そうして私は舞台に立ちます。


〇〇〇ジエイミの演説


「勇者!」「勇者!」「勇者!」


ユーシャインさんが盛り上げてくれたおかげもあり、歓迎ムードです。


大勢の前で話したことは一切ありませんでした。緊張しています……


「どうも、はじめましての方もそうでない方も、私はジエイミです」


そういえば、私も何か勇者らしいことを言った方がいいのでしょうか……何も考えていませんでした。


勇者らしい言葉。それは一つしかありません。


「私には大切な仲間がいます。いつも皆さんに支えられて生きているのだと痛感しました。これはユーシャインさんとファンの皆様の関係と類似しているのだと私は思います」


「かけがえのない大切な者は誰にでもあります。そしてその人達に私は救われました……だから皆さんに私は言いたいことがあります」


「先代勇者のエクシリオ・マキナさんの言葉に『生まれながらの勇者など存在しない。踏み出したその先の結果が勇者という事実を作りあげる』というモノがあります」


「その言葉を借りるとすれば、私はまだ《《勇者》》ではないのです。まだ何も為せていない。ただ勇者に憧れている一人にすぎません」


そう、それが私の勇者らしく振舞うこと……名目上私は勇者であります。ですが、エクシリオさんの勇者論に準えれば、私はまだ勇者になれていないのです。


「だから、皆さんに私が《《勇者》》になるところを見ていてほしいです。お願いします!」


そうして、私は頭を下げます。


「……」


何も声が上がりません。ダメだったのでしょうか……


「うおおおおおおおおお!」


「勇者!」「勇者!」「ジエイミちゃんも可愛いよ!」「勇者!」


沢山の声が聞こえます。


「俺はジエイミちゃんのファンだ!」


関係ない声もあります……推しとは?


「流石勇者様! 素晴らしいお言葉でしたね!」


話が終わるとコルルナさんが入ってきます。


「それではユーシャイン改め、『勇者イン』! さぁ次の曲です!」


すると音楽が流れ始めます。あれ? 未だ舞台に取り残されて……


「え?」


「勇者様も一緒に歌いましょう! さぁ! さぁさぁさぁ!」


え、歌うも何も私はこの曲分からないのですが、それにみんな踊っていますが、一体……あ、曲が始まってしまう! 何かしないと何かしないと!


「はわわわ! わーわーわーわー! なー!」


皆の動きを見よう見まねで真似しましたが何も出来ませんでした。


〇〇〇大失敗!


今はとんでもない醜態を晒してしまったライブの後です。その後もユーシャインさん達はライブをしていましたが、それも終わり全員が控室に集まっていました。


「……ごめんなさい! まさか勇者様がこんな個性的な歌声の持ち主だったなんて」


「はっはっは! こんな音痴って勇者で音痴……あははは!」


イルミルさんは爆笑しています……


「もう……良いのです……うううう……」


三人の綺麗な歌声とは裏腹に音程を外しまくりでした。


ダンスもどこかぎこちなくて、カチカチです。目の前で見ていた子供の顔が今でも忘れられません……


『終わってんなー勇者』


「で、でも! 勇者様! 先ほどのトークで聞いたのですけど、勇者様のファンになった方もいらしていましたよ!」


「そうそう! お姉ちゃんも聞いた! ジエイミ推しになりますって子いたいた! アイドルじゃないのに好かれるのは勇者様の人徳あっての賜物だよ!」


皆がフォローをしてくれます……


「特にガタイの良いおっさんがやばかったな『グッズはないのか! いつデビューするんだ!』とか大声で言ってたし……やべぇよ。歴戦の猛者だぞあいつ」


一体誰なのでしょうか……

 

「でも……私は勇者で恥ずかしいところをお見せしてしまって……」


「そうやって『弱さ』を見せていくことが親近感を沸かせる方法らしい、あたしの信頼する人が言っていたんだ。確かにその通りだなって……きっとこれで勇者のことがもっと好きになったに違いない!」


「そうね! 勇者様! 元気出して……」


こうして私はユーシャインさん達に励まされ自信を取り戻しました……


〇〇〇そして旅立ちへ


その後打ち上げパーティーに参加しました。美味しいご飯を食べお腹いっぱいです。


やがてユーシャインさんは現地で別れました。やはり彼女達は素晴らしい。


ドビーさんも何故だか笑顔です。


「どうしたんですか?」


「別に……それより、元気は出たのか? ジエイミ」


「はい。さっきは醜態を晒してしまいましたけど……」


「別にあのぐらい大したことじゃない。それよりも……今後の魔王軍との戦いについてだが」


協力して魔王軍と戦うこと、エクシリオさんの言った通り、私は誰かを信じるということから逃げていました。


メイドさん。アナスタシアさん。ゴブリンさん。マジョーナさん。ドビーさん。わんわんモフルン丸さん。そして……エクシリオさん。


でもエクシリオさんにはさっきのライブのことは見てほしくなかったですね……恐らく陰から見ていると思いますが。


皆と一緒なら心強いです。気持ちをぶつけあったからこそ、皆のことをよく理解できた気がします。


案外衝突することって悪い事ではないのかもしれません。それだけ分かり合える気がします。


ドビーさんも協力してくれます。


「だから……ドビーさん。仲間と共に戦います。以前の様に迷ったりはもうしませんから!」


「そうか……しかし、ジエイミ……恐らく今回生まれた魔王は歴代最強と言われる化け物だ……」


知っています。直に対面して力の差を痛感しました。エボルーテ。そして最強の四天王トークビドウ。まだまだ届くことはないでしょう。でも……


「大丈夫です……私達にはエクシリオさんがいてくれますから!」


「確かにエクシリオなら不可能を可能にしてしまえるかもな! ほんと……俺の想像を軽々しく超えていくんだよ!」


そこで乱暴に扉が開かれます。


「た、大変です!」


そこにマジョーナさんが入ってきました。酷く慌てています。


「どうしたのですか? そんなに慌てて……」


「《《勇者エクシリオが魔王軍に寝返りました!》》」


「……え」


私はその場で固まりました……


エクシリオさんが……魔王軍に? いったいなぜ……


「えぇぇぇえぇぇぇぇえ! エクシリオが裏切っただとお!」


ドビーさんの叫びが響きます。


―――第五章。完。

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