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第34話 究極の他力本願勇者

☆☆☆作戦当日


ジエイミはユーシャインのポスターを見たらしく、事前に流した情報でスシデウスの位置も分かるように仕向けていた。


彼女は作戦通り自分たちのいる場所へ向かっている。


そこを真勇者パーティーが説得するわけだが……


後のことは全部彼らに任せていれば解決だろう。


こうして、ジエイミの説得が始まったのだが……


遠目で見ているんだけど……なんでフェルフェルがジエイミと一緒に行動しているんだ? しかもすげぇでかくなってるし。


あぁ、やっぱり戦闘が始まった。何が起きているのかさっぱりわからん。


これこそ別次元の異世界バトルって感じがするな……


普段自分が戦闘時に出しているなんちゃってエフェクトじゃなく、その一撃一撃に殺傷能力がある。


各地で物凄い魔法が展開されている。


改めて自分が真勇者パーティーに入っていなくてよかったと思う。


こんなところで戦闘に巻き込まれていたら確実に死んでいたな。


……あれ? マジョーナ達負けてるじゃん……え、ジエイミそんな強いの?


しかし、ここで本当の主人公が登場! ドビー・メガデスとジエイミ・メダデスが今運命の再会を果たす! 時は来た! それだけだ!


ドビーの剣筋は達人クラスに強いものだ。しかしジエイミも負けてはいない……いや、ドビーの方が一枚上手みたいだが……恐らく秘められていた魔力量はジエイミが上。


この勝負は……どちらか強い方が勝つ。


ドビーは必死に説得をしているためか、ジエイミの剣筋も少し鈍ってきているようだ……


「ライトニング・アブソリューション!」


こ、これは! ジエイミ・メダデスの必殺技! ライトニング・アブソリューション! 恐らく光魔法の最上位魔法で爆発的な魔力放出により、周囲一帯を悉く吹き飛ばす最強の魔法だ! って……やばい、巻き込まれる!


「ひいぃぃぃぃ!」


その場で身を伏せて何とかやり過ごす……これを食らえば例えタンクのドビーであっても無事では済まないだろう……


「危ない危ない……って、嘘だろ?」


ドビーはそれでも倒れていなかった……


しかしあの攻撃を食らって無事なわけがない。どんだけやせ我慢をするのだ?


二人の戦いが気になりすぎて近くで見てしまう。


「俺の本職はタンクだ……お前の魔法ぐらい耐えられて当然だ……」


かっけぇぇぇ! だが勝負は決したと思って良いだろう。ドビーは防戦一方になっており、ジエイミはまだ余力が残っている。


「ライトニング・アブソリューション!」


ジエイミは強力な魔法を何度もドビーに向かって放ち続けた。


「ライトニング・アブソリューション!」


何発も……流石にもうこれはやばいだろ……ドビーが死んでしまう!


「本当に……強くなったなジエイミ……」


ドビーの被っていた兜が割れると、イケオジフェイスが出てくる。


ジエイミも大技を連発しているためか、疲れが出ている。


だけど……これで勝負は決した。


真勇者パーティーはジエイミを連れ戻すことができなかった。こちら側の完全な敗北だ。


それもそのはずだ。こいつらはジエイミを追放したメンバーだ。


追放した側がされた彼女と戦ったところで勝てるわけがないのだ。


だけど……これは果たして、ざまぁ展開なのだろうか? ドビーは決して間違ったことをしていない。


本来追放した側なんてものは人格破綻者集まりだ。他人を蹴落とすことでしか自分の存在価値を示せないようなやつが鉄則。ドビーはどう見ても、ジエイミを救うために必死になっていた善良な男だ。


自分とマジョーナはその傾向がある。ざまぁ展開の標的になるのはこの二人のうちのどちらかでなくてはならない。(マジョーナであれ!)


そして何より、追放されたジエイミが全然幸せそうではないこと……本来は頼れる仲間を見つけて笑顔を取り戻しているはず……だが現状彼女は孤立している。


ジエイミは誰にも頼らず魔王軍と戦っている。それが彼女の目指す理想の勇者像というのなら……自分にやりようはあるのではないだろうか?


自分は誰かを頼って利用することでしか生き残れない。言わば他力本願を座右の銘にしている。


『自分は《《かっこよくない》》』


……それでもあの頃《《本当の勇者》》だと信じてくれていたジエイミがまだ少しでも残っているとしたら……


『でも、《《かっこつけること》》はできる!』


自分が最も得意なことだ。虚勢を張る……自分は本物にはなれない。でも、


「……だとよ、お前の出番だぜ……行けよ、究極の他力本願勇者」


ドビーは自分が出てきたのを見届けるとその場で力尽きる。


偽物でも……最弱でも……村人Aでも……例え誰が何と言おうと自分は《《最強の勇者》》エクシリオ・マキナである。


「――ずいぶんと、強くなったみたいだなジエイミ」


☆☆☆回復の重要性


説得を終え、ジエイミは自分の胸飛びついて泣き続けていた……


「エクシリオさん! エクシリオさん!」


自分は泣いてる彼女の頭を撫でている。一般的に見ればとても感動的なシーンに見えるが……


正直なことを言うと、彼女のハグがきつ過ぎて骨が折れる。ミシミシ言っているし。


やばい痛い! 痛い! ジエイミ力が強すぎる……しかも今この状況で振りほどいたりもできない。彼女の中の最強の勇者像が崩れてしまう。


でもこのままいけば自分は死ぬ。やばい。


復活したマジョーナはこちらに駆け付けていた。


「……おや」


「……(回復魔法をかけてくれ、死ぬから)」


アイコンタクトを送る。


「はぁ……仕方がないですね。ナオ~レナオナオ」


ネーミングセンス……あ、痛くなくなった……でもまたダメージが入ってくる!


「うわぁぁあぁあん!」


ここは意地の張り合いだ……ジエイミが泣き続けて意識を失うか……自分が先にジエイミのハグで殺されるか……


痛い! でも回復している……痛い! だめだ。痛い!


「エクシリオさん!」


「……(もっと回復魔法使えないのか?)」


再びマジョーナにアイコンタクトを送る。


「もうかけていますよ……今使える最大限の魔法ですから」


だが彼女の名誉ために言っておきたいが、決してジエイミがゴリラというわけではなく自分の防御力が低すぎるのが原因だ。


コルルナに押しつぶされたのだって重いわけではない。


虚勢を張っているだけの最強勇者なので、どんなに強く演出しても結局は雑魚のままなのだ。


「……エクシリオさん……」


すると、力が緩み、彼女は眠りについた。


「……ジエイミ? 眠ったか?」


……返事はないか。よし! 眠ったな!


「あぁぁぁぁあああああ! 痛い痛い痛い痛い痛い!」


すぐに悲鳴を上げる。まじで痛かった。


「……そもそも回復魔法はドビーに使うべきなのですよ? 彼が一番ダメージが大きいのですから」


「あんなやつタンクなんだから唾つけとけば治るって! 痛い痛い!」


「全く……しょうがない人ですね……エクシリオは、ナオーレ・ナオナオ!」


その後も回復魔法をかけてもらい何とか痛みが治まった。


「痛かった……女性に抱きしめられて死にかけるなんてどうかしているよ……」


ドビーも意識を取り戻す。


「結局、お前が説得したじゃねぇか、協力しないと言っていただろうに!」


自分もそのつもりだった。


「どのみちドビーの説得がなければ不可能だったことだ。それに自分が出てくると知っていれば君は本心を告げていたか?」


「それは、言ってなかったかもしれない……でも」


「人はその後に誰かが控えていると無意識化の中で手を抜くものだ。後がない状況でこそ本気を出す」


納得してくれたみたいだ。ドビーはジエイミの安らかな寝顔を見る。


「……ジエイミ。もう大丈夫だからな、もう辛い思いはさせない……俺がお前を守るから!」


ダメージで苦しいはずのドビーの顔は幸せに満ちていたのであった。


これで一件落着かな。

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