表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/160

第33話 犬を拾っても責任持って飼えないならやめておけ

☆☆☆わんこ


その後も自分は王都で根回しをしていた。各地で宣伝のためにライブの告知ポスターを貼る。


こうすればジエイミの目に触れる機会があるだろう。


やはり王都でライブをやる反響は大きく。ファン達も楽しみにしているみたいだ。


おそらくこちらの世界で言う、武道館みたいなものだろう。おそらくかなり儲けられる……


まあ最初期のファンは泣いて喜ぶに違いない。もう少し慎重に進めたかったが王都でのライブはチャンスだ。


そこに……


「わん! わん!」


街角に捨てられていた犬を見つける。


明らかに衰弱してるし、この様子では何日も食事をとっていないみたいだ。


異世界といえば、犬は強いと言うのは鉄則。ここで恩を売っておけばきっと懐いてくれる。

「大丈夫か?」


その辺で適当に食べられそうなものを買ってくるとむしゃむしゃと食らいついた。


「どうだ? 美味いか?」


「わん!」


よし! 懐いてくれた! こちらに擦り寄ってきてすりすりしてくれる。可愛い!


流石に犬には裏切られることはないだろう。自分の仲間にしても問題はないはずだ。


「今日からお前はフェルフェルだ!」


「わん!」


☆☆☆いざ戦闘!


フェルフェルを仲間に向かいあれすぐに王都近くの森へ向かう。


戦闘訓練を施す必要があるからだ。


そこにいかにも弱そうなスライムを見つける。ちゃうどいい…‥こいつに決めた。


「いけ! フェルフェル!」


「ワン!」


フェルフェルはスライムの前に旅出すと、強く威嚇をする。


「がるる……!」


スライムもこちらに気付いたみたいで、臨戦体制になる。


……かわいい犬を戦わせてもし怪我したら普通に辛くない?


なんで飼い主はそんなことできるんだよ……


自分は前の世界にいた時だって、ペット番組の犬パートで毎回泣いていた。


フェルフェルが傷付いたら普通に嫌だ。


「やっぱりだめだ! 戻れフェルフェル!」


「?」


「自分が間違っていた! 悪い!」


スライムを無視してその場から離れる。


そのまま王都へ戻り、フェルフェルと戯れ合う。


「ヨシヨシ……いいぞフェルフェル」


「わん!」


今思えば自分は飼い主に向いていない。こんな大雑把な人間にペットを飼うなんて間違っている。命の責任を取れるわけないのだ。


「お前はもっといい飼い主に恵まれるべきだ。自分に頼ることだけはやめておけ」


「?」


そ、そんな目で見ても無駄だぞ、自分の意思は硬いのだ。


それにこの子のためにもならない。


「いい飼い主に巡り会えよ! フェルフェル!」


「ワン!」


こうしてフェルフェルと短期間の飼い主関係は終わりを迎えたのであった。


フェルフェル‥‥強く生きろよ!


なんか…‥追放した気分だな。


☆☆☆状況の整理


さて、ジエイミを救出するにあたり、自分に降りかかっていることを整理しておく必要がある。


まず、自分が転生したエクシリオ・マキナはその辺の村人と何一つ変わりのない光の魔法が使えるだけのただのモブであった。


勇者機関により、魔王軍との戦争を起こすための生贄勇者として祭り上げられている。


どうやら最初のダンジョンで自分はアークジャドウに殺される予定だったらしい……あまりに酷い。


それも全て、マジョーナの計画の内だったらしいが、アークジャドウが運良く自分の虚勢に引っかかってくれたおかげで命を繋ぎ止めることができた。


まあそのせいで勇者機関の計画は大きく滞ることになるのだが……


その後も自分を抹殺するべく仕掛けられた刺客は強化されたゴブリンだったらしい。


それもジエイミの閃きのおかげでいろいろ助かったが……


その後も勇者機関はどうしても偽物の勇者である自分を死なせて魔王軍と争いを起こしたかったらしく、


強行手段に出た。罠を仕掛けて氷山で自分を突き落としたのだ。


まあそれも失敗に終わって、屋敷から戻って帰ってくるとマジョーナは焦っていたみたいだが。


自分にとってはその時ジエイミが追放されていたことのが大きかったのであまり印象には残っていない。


よくよく考えたら勇者に対してすげえ失礼な態度を取っていたよなあいつら。仮だけど勇者なんだから、その程度で死ぬと考えられているって結構悲しい。


さて、マジョーナは自分を殺すべく暗躍していたわけだが、同じく勇者パーティーにはもう一人暗躍している奴がいた。


それがヤィーナ・イッツことドビー・メガデスである。


彼はジエイミと同じブイレブ村出身で便利屋をしていたらしい。


ジエイミの父と交友関係であり、ブイレブ村崩壊時に娘のことを託され、子供のジエイミが一人で生きていけるまで面倒を見ることとなった。


それがきっかけで、ドビーは人の愛に気づいてしまったのだ。


詳しくは知らんがそこには家族のような絆があったのだろう。


しかし、いざこざで別れてしまったので、あやふやだ。その後彼女を追うようにヤィーナと偽って、自分の勇者パーティーに入ったわけだ。


その目的はただ一つ、ジエイミを勇者と魔王の戦いから遠ざけるために追放しようとした。


彼女に人としての幸せを願って、世界なんてどうでもいいと言えるあたり、セカイ系の主人公だよなあ……


まあ、結局この世界は追放モノなので、そのままなあなあでジエイミが勇者になったのだけども。


でも、ドビーのジエイミに対する愛情は本物だ。そのためにはエクシリオこと自分が死んでも良いと思っていたほどだし、


しかも自分の死をジエイミのせいにして追放したと聞いた時は本当に酷い話だな、


もっとスマートな追放の仕方があっただろうけど、自分が邪魔をしていたからな。そりゃ仲間の追放を阻止するのは当然だし……


だってジエイミが追放されたら自分に仕返しされると思い込んでいたから……


結局この二人の計画を知らず知らずのうちに阻止していたというわけだ。


マジョーナは勇者機関に所属しており、勇者信仰が根強い。だからこそその使命のために生きている。人体改造をしており味覚もほぼないらしい。


ドビーも娘同然の存在を守るために命に変えてでもジエイミを救おうとした。信念がある。


ジエイミも今勇者として魔王軍と戦い続けている。それは彼女の現パーティーメンバーから聞くに、自分が死んだことが原因らしい……


かなり思い詰めており、死んだ自分の穴を埋めようと必死に努力している。


それぞれに譲れない信念があり、理想を実現させるために戦う、かっこいい生き方ができる奴らだ。


自分は世界のためとか誰かのために戦えるほど崇高な理想を持ち合わせていないし、ただ保身のために逃げているだけだった。


それも彼らと違って自分は村人Aであり、偽物の勇者という名の序盤で死ぬただのモブ。かっこいい生き方をすることはできないのだ。


だからこそ、自分は最強能力で無双するってことはない。


これは……彼らが作る物語だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ