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第28話 ジエイミVS真勇者パーティー

〇〇〇突然の刺客


私はスシデウス・ヤスモアキがいる場所を突き止めました。何やら奴隷商人と結託しているらしく、彼がユーシャインを作ったらしいです。かなり胡散臭い人物像が浮かび上がります。


裏でユーシャインを操り一体何を企んでいるのでしょうか……そもそも、スシデウス・ヤスモアキは何が目的で『アイドル』という概念を作り上げたのか……


この国は勇者信仰が成り立つ国であり、勇者への信頼は絶対的なモノでした。


ですが今では勇者よりもユーシャインが好きという人たちも出てきています。


まさか……勇者信仰を取り除くことがスシデウス・ヤスモアキの目的……?


そうとなれば、これは魔王軍の罠である可能性もあります……考えすぎでしょうか……それに勇者信仰が薄れているのは私の力不足です。


皆が安心できて笑える世界にできれば、その信仰が薄まることだってなかったはず。


わんわんモフルン丸さんは彼がいる街へ移動しています。


しかし、草原の中を駆け抜けている中。わんわんモフルン丸さんが止まります。


「どうしたのですか……なっ!」


気配。それもかなりの猛者たちであります。


敵意は感じられませんので反応するのが遅れます。


「ジエイミ様……ようやく見つけました」


「待ったく。どこに行っていたのだ。そんなボロボロになって」


「ゴブゴブ!」


「メイドさん。アナスタシアさん。ゴブリンさんどうして……」


そこには私のパーティーメンバーがいました。


〇〇〇ジエイミを連れ戻せ


「決まっているだろう。貴殿を連れ戻しに来た。無理しすぎだぞジエイミ殿!」


「それは……大丈夫です。私一人で」


「そんなに私共が不甲斐ないですかですか? ジエイミ様」


「ゴブゴブ!」


勝手に出ていったのは私です……どうして……


「そうだジエイミ殿……私達だって、貴殿が考えるより強くなっている。だから一人で戦う必要はもうないのだ!」


ダメです……それじゃあ。あの人の代わりは務まりません。


「いいえ、勇者は一人で戦うものです! 誰にも頼らないで完全無欠の勇者に私はならないと……みんなを救えない!」


すると、手足が動かなくなります……これはメイドさんの『拘束魔法』です。


見えない魔力を何重にも編み込んだ強固な糸を周囲に張り巡らせ、それを自由自在に操ります。


「失敬。主であるはずのジエイミ様の命であっても従うことはできません。無理矢理にでも連れて帰るようにあのお方に言われております」


しかし、その拘束も……私には効きません。


「効きません……」


すぐに拘束魔法を魔力を放出し力技で解除します。


「……以前よりも魔力が上がっていますね……ですが」


火炎魔法と風魔法が同時に飛んできます。


「ホーリー・シールド!」


光の魔法で防ぎますが、確かに以前よりも火力が格段に上がっています……防ぎきれない!


「オーバー・クロック!」


当たらなければ!


シールドは壊れますが、加速魔法で回避し距離を取ります。確かに火力が高くてもこのスピードなら……


「ドンちゃん・ドンパチ! 風の風味!」


この魔法は……まさか。回避が間に合わない!


「っく!」


攻撃を受け吹き飛ばされますがすぐに立て直します。


私が逃げる先を狙っての適格な魔法攻撃……魔力の質が並みの冒険者ではない……


「確かにパーティーにいた頃より格段に強くなっていますね。ジエイミ」


「マジョーナ……さん?」


何か変わった気がしますが、恐らくマジョーナさんです。


圧倒的な魔力を持っています。恐らくこの国でトップクラスの実力者でしょう。流石はあの勇者パーティーのメンバーです。


「あなたの勝手な行動は目に余ります。勇者であるのなら勇者としての自覚を持ってくださいジエイミ! いいですか、勇者は常に完璧でなければならない」


「分かっていますよ! だから、一人で戦っているんです!」


痛いくらい分かっています。分かっているんです!


「あなたの姿を見て誰が勇者だと言うのですか! 勇者は強いだけでは意味がない! 信仰の象徴でなくてはならない! あなたの守るべき人々はその姿見て何を思っているのか……もう一度考えてはどうですか!」


『魔王。化け物。怪物』……沢山言われました。だからって……


「それでも……罪もない人々が殺されていくのを見過ごすわけにはいきません。私がここで立ち止まったらもっと多くの魔王軍が侵攻してきます」


「勇者は頑固者だと言われていますが、あなたはその中でも群を抜いていますね。少しは自分の無力さを知りなさい……ジエイミ・メダデス」


「無力であるなんて……私が一番分かっていますよ」


魔法を剣で捌いていますがこのままでは埒が明きません。何とかして接近しなければ……


そこに別の攻撃も飛んできました。メイドさん達です。


「ジエイミ殿……もう少し私達を頼ってくれても良いだろ! そんなに頼りないのか? 傍にいることも許してくれないのか!」


「皆さんは頼りになります。ですが……」


「ジエイミ様が負けることがあれば、勝負は時の運という言葉では済まされません。もしも私共が貴方様に勝つことが出来たのなら戻ってきてください!」


「そうは……なりません! オーバークロック!」


加速して、一瞬でマジョーナさんの元へ到着し……


「ふっ……ドンちゃん・トルネード!」


読まれていました。すでに置かれていた魔法に私は引っかかります。


竜巻に飲まれ私は上空へ一瞬で飛ばされます……


「それがどうしたと! ホーリー・シールド」


まだ加速魔法は解いていません。そのまま竜巻の中を防御魔法で足場を作り全速力で降りていきます。


そして、マジョーナさんが魔法を解除した瞬間に私は前へ出ます。


「なっ! 降りてきた……バリバリ――」


「――防御魔法は展開させません!」


マジョーナさんの防御魔法が展開されるより先に私の剣が届きます。


「っくあぁ!」


平打ちですが、かなり力を込めて殴り飛ばします。次に拘束や炎が飛んできますが躱します。こちら側の速度に誰もついてこれません。


「ジエイミ様……ぐぁ!」「ジエイミ殿!」「ゴブゴブ!」


三人も倒しました。私は元の速度へと戻ります。


何をしているのでしょうか……仲間をこんな目に……でもこれで私を心配しなくて済みます。


だって私は強い……恐らく冒険者の中で誰よりも、それだけの経験が私にはある。そうでなくては勇者である意味がない……


「これで、終わりです……もう私は大丈夫ですから」


「ジ、ジエイミ様!」


その場を立ち去ろうとすると、身体がやけに重く感じます……? これは重力魔法?


「久しぶりだな、ジエイミ……今度は俺が連れ戻しに来たぞ」


その声は……いいえ、その兜は……もうわかっています。その兜を被り私の前に立つ人なんてこの世界でたった一人しかいないのですから。


「ドビー……さん?」


便利屋さんのドビーさんでした。


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