第26話 勇者はとてもよく喋る人でした。
ドビーさんと別れて数日間。馬車を乗り継ぎ人が集まる王都へ移動しました。
この街の冒険者ギルドならきっと大丈夫でしょう。
緊張して扉を開けます……すると……
「お~君、いいね~初冒険者? つか暇www? パーティー入ってるwww? どしたん? 話聞こか?」
突如現れた男性に驚きます。かなり高価な装備。そして大きな剣を持っています。恐らく高潔な血筋の人間でしょう。もしかしたら貴族でしょうか?
「い、いえ、わ、私は……あわわわ……」
突然のことに私はあたふたしてしまい……
「あ~悪いね~急に驚かせっちゃって。ごめんごめんってwww君の名前は?」
「わ、私はジエイミ・メダデス……です」
「へぇ~ジエイミちゃんか~どこ出身? 俺はブモコザ村出身なんでけど~てか、ジエイミちゃん髪切ったwww?」
流れる様に会話をしてきます。すると魔法使いの女性が出てきました。
恐らくはパーティーメンバーでしょう。
「ちょっと、エクシリオ。どこに行ったかと思ったら、また女性に話を掛けて……これで通算百一回目ですよ。それも全部失敗して……はぁ……」
私のスクワットの回数より多いですね。恐らく女性に声をかけてくる男性ですが、私に声をかける理由が分かりません。
「違うって~マジョーナ。彼女が困っていたみたいで俺が助けに来たんだよ~www別に話しかけたいわけじゃないって~www」
「はぁ……少しは『勇者』としての自覚を持ってほしいです」
「え?」
今何と……
「『勇者』としての自覚があるから、俺はジエイミちゃんを助けているんだよ~まぁその見返りは期待しているけど……へへwww」
勇者? まさか、そんな偶然があるというのですか?
だって、私は……勇者パーティーに入るために冒険者になろうとして……それが今目の前にいるのが勇者なんて……えぇ?
これは夢ではないのでしょうか、焦ってしまいます。頬をつねっても目が覚めません……
まさかこれは……現実?
「大体そんな女性……っち、全く悪趣味な。品性のかけらもない」
女性の方は私を見て舌打ちをします。怖い……勇者さんには聞こえていないみたいです。
「えwwwなんてwww? まぁいいよ。ところでさジエイミちゃん。俺のところパーティーメンバー募集中なんだけどさ? 入らない? 気軽に入れる? 入るだけでいいから? あ、でも、食事とかは一緒に行きたいなぁ、へへwww」
「え!」
私は勇者パーティーに勧誘されました。
「ちょっと! そんな勝手なこといくらエクシリオでも! 大体勇者パーティーというのは信頼できる……」
「別にいいじゃんwww俺勇者なんだしZ対M敵なんだよ、それにマジョーナ俺に盾突こうって言うの? 俺に盾突いていいのはタンクだけだって……タ~ンクってwww! あ、今のよくね? マジョーナ?」
「っち……はぁ……好きにしてください(クソが)」
再び女性の人は舌打ちをしています。
「ジエイミちゃん? どう? 勇者パーティー入らないwww?」
もちろん私の答えは一つでした。
「私でよろしければ……お願いします」
「っしゃぁwww決まりwwwあ、俺エクシリオ・マキナ。勇者やってま~すwww(押せば行けるな)」
思っていたより、勇者様は爽快な方でした。
ですが、恐らく魔王軍と鉢合わせた時、相当な実力を見せるに違いありません。
あの剣から繰り出される一撃も……凄い。勇者様
「私はマジョーナ・アンデです。勇者パーティーの魔法担当ですね……全く。彼の勧誘に乗るなんて……貴方田舎出身ですね。気を付けたほうがいいですよ」
ブイレブ村はやはり田舎みたいです。
「ジエイミ・メダデスです……こっちに来たばかりで……すいません」
「私に謝る必要はないですって、まぁ、貴方が入りたいというのなら止めはしませんが……そもそも、勇者パーティーは彼女のような素人が……」
「いいって、いいってwwwそういうのはさwww大体、俺は、何でも即決。問題解決なのに仲間の品格なんていいじゃん。楽しくいこうぜ~ウェーイwww!」
明るい勇者さんはとても素敵です。
「(ちょっろ)……ウェ~イ!」
「……はい? うぇ~い?」
私もエクシリオさんとハイタッチをします。
「……だめですねこれ……本当に『あの日』まで持つのかしら」
マジョーナさんがまた、ため息を吐いています。
勇者パーティーってこういうのりなんですね。
もっと厳かな世界を救う気持ちで満ち溢れていると思っていましたが……こういう勇者様もきっと先代の中にいたのでしょう。
多分……はい。
「よろしくお願いします……エクシリオさん」
これが私とエクシリオさんの出会いでした。
〇〇〇いざ、最初のダンジョンへ
それから私達はエクシリオさんと共に行動し、最初のダンジョンへ訪れることとなります。私は雑用という形で雇われました。
そこに新たな新メンバーが入ります。
「……俺をタンク役として仲間に入れるんだ。実力は申し分ないぜ? ヤィーナ・イッツだ」
毛髪がない屈強な男の人が入ってきます。名をヤィーナ・イッツさん……どこかで見たことのある肉体をしていますが……気のせいでしょう。
あの人が私と会うとは考えられません。
「え~男かよ……まぁいいか。タンク役を女の子に任せるのは俺の主義に反するし、マジョーナもいいよね?」
「……もう勝手にしてください。どうせ一人入ったところで……」
マジョーナさんはいつも頭を抱えていました。
それよりも……なぜか、ヤィーナさんは私を見つめています。
「……お前無能だろ?」
「え」
ヤィーナさんは私に敵意を向けてきます。
それから何かミスをすると怒鳴られ、役に立たない。向いていないと言ってきました。
何故でしょうか……それも、エクシリオさんがいないところで……
私とヤィーナさんは馬に乗り、エクシリオさんとマジョーナさんは荷台で休んでいます。
すると私の鼻に虫が不意に止まりました。
「う、うひゃぁあぁああああああ!」
果たしてこのまま私は勇者パーティーにいられるのでしょうか……
そして初めてのダンジョン攻略は上手くいくのでしょうか……




