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第25話 便利屋さんとジエイミの日常Ⅲ(終)


〇〇〇夢のために捨てたもの


私は冒険者になれる年齢に成長しました。


ですが、ドビーさんは私が冒険者になることに反対しています。


「……ジエイミ。お前に冒険者は無理だと言っているだろう。大体、スクワット二回できるようになったからってなんなのだ。そんなの冒険者なら二百回やっているぞ、十倍だ十倍」


百倍では?


「それに、俺がお前に教えたのは、あくまで自衛のための戦い方だ。自らが危険の中に飛び込む冒険者の戦い方を教えたつもりはない」


「教えてくれませんか、私、冒険者になりたいのです」


「ダメだ。それは業務内容にない。俺が依頼主から請け負ったのはお前の身の安全だ。なんで危険な事させなくてはいけないのだ」


やはり、頑なにドビーさんは拒否します。


「なら、お金を稼いで私がドビーさんに依頼します。便利屋さんなら断れないでしょうに」


「依頼は金で受けていない。だからお前に戦闘訓練を教えることはないんだよ」


「では、どうすれば教えてくれるんですか?」


「なぁ、どうしてそんなに冒険者になりたがる? 料理人や商人や職人……沢山の安定した職業があるだろうに、冒険者なんてものは命知らずの馬鹿にしか務まらない」


私には夢があります。そのためにはまず冒険者になる必要があるのです。


思い返せば私はドビーさんに何も出来ていません。


確かに便利屋のお仕事で私のことを助けてくれているのは分かっていますが、それでもいつも頼ってばかりだと、もしこの人がいなくなった時に私は何もできなくなります。


だから今回は強めに頼み込みます。だってそうしないと……私は一生このままな気がしますから。


「冒険者やらせてください」


「なんだい?」


「冒険者やらせてください。結局私何も役に立ててないです。いつもドビーさんに助けてもらってばかりで。夢のためなんです。ドビーさん。私何も役に立ててない。なんなんですか私は……」


「本気か? それに夢ってなんだ? 言う前に夢ぇ語れ」


「本気ですよ。私は夢を実現させるため、本気で冒険者になりたいんです」


「命かけれるか? 死ぬんだぞ冒険者は、お前無様に死ぬ可能性考えたのか!」


「いつまで続くんですかこれ、私はもう冒険者ギルドに入れるんです。このままじゃ誰かを頼ることでしか生きていけなくなります。そうはなりたくない」


少し気持ちが強くなってしまいます。


突き放してしまったのでしょうか、ドビーさんは兜のそこで寂しそうにしています。


まるで遅くに訪れた反抗期のように。父にぶつけることが出来なかった怒りをぶつけてしまいます


「『やらせてください』と言う奴は何もできないんだよ。できている奴っていうのは、ぶち破って勝手に冒険者になっているんだ!」


言ってはいけないこと……です。


「……ほっといてくださいよ私のこと!」


言ってしまった。完全に反抗期です……


「ジエイミ……?」


私はそのまま腰に備えていたナイフで長く伸びた後ろ髪を切ります。


バッサリとその場に髪が落ちました。


「待て待て待て」


「やりますよ。勝手に私は冒険者になります。もう私は一人で生きていけます。ドビーさんが教えてくれましたから!」


「ち、違うんだ。ジエイミ……俺は――」


ドビーさんはその場で膝をつきます。


「さようなら、ドビーさん。ありがとうございました」


「……ジエイミ」


ドビーさんが追ってくることはありませんでした。


何故でしょう。親の様に育ててくれた恩師を突き放してしまいました。


私は本当に最低です。


今すぐにでも謝りたかったです。だってドビーさんは大切な家族のような存在でした。


それでも……戻ってしまうのが、私は怖かったのです。







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