第14話 加速と減速の狭間で行われた死闘。ジエイミの意志が試される!
〇〇〇決戦! 魔王軍四天王ラースムドウ
ラースムドウは人質を取ることに失敗しました。どうやら減速する時間の中で防御魔法を使えばより強固なシールドになるらしいです。
確かに壊れるタイミングも遅くなる……凄い発想です私には思いつきませんでした。
「っち、人質作戦は失敗したか、あんな女に感けていたのが失敗だったな……」
「時間を支配できるのなら失敗を後悔する意味はないのでは……それこそ時間の無駄ではないですか!」
加速魔法を解除、身体に相当な負担がかかります。何とか回復魔法で治癒をしていますが、あと何回出来るでしょうか……
「うるさい! 私の……スローレクイエムは! 絶対的な力である! それを……無駄だと?」
「少なくとも、人質なんて取らずに私と戦っていれば……無駄な魔力を消耗せずに済みましたね!」
「黙れ! スローレクイエム!」
「――オーバークロック!」
瓦礫が落ちる過程を見るに、時間の流れは十分の一ほど、だからこそ私は二十倍の加速をすれば追い越せる!
「知っているさ加速していることを……だから!」
「え――」
気付けば闘技場の壁に突っ込んでいました。
すぐに後方を確認。すると減速魔法は解かれている……なるほど。理解しました。
彼は私が加速したと同時に減速魔法を解除した。
そうすることで私は通常時間の中を加速してしまう……そうして反応すらできず、壁に衝突した。
迂闊でした。
「同じ方法が通用すると思うなよ? 加速していると知れればならいくらだって方法はあるのだ!」
壁に衝突したダメージは大したことはないがこの加速に使った魔力の消費が大きいです。
恐らく後三回……いや二回ほどしか使えないと思います。
「そう……ですね。ライトニングバレット!」
「スローレクイエム!」
彼の元へ魔力を放つと同時に減速が始まります。もう一度……使うしか!
「オーバークロック!」
度重なる加速魔法の影響で全身から悲鳴が上がっています……堪えなければ!
十倍なら、どうにかなる。
流れゆく減速の空間。私は剣を抜き彼に切りかかります。
鍔迫り合いになればこちらは有利、一体いつ解除されるか、その動作を見つけなければ!
「時間は誰にでも平等に流れているものじゃないのさ! 問題はその質なんだよ、全力で生きている者! 堕落して生きている者! その両者は同じものが流れていると思うのかい?」
流石は四天王、その剣術も圧倒的だ……正直言っていることはさっぱりわかりません。
「だから人と魔族の流れている時間は違う……魔族が全てにおいて優れているのだ。それをお前は踏み出した。本来私達のためにある時間を……許せるわけがないだろうに! それが分かるかジエイミ・メダデス!」
「分からないですよ!」
「なら、全力で殺すまでだ!」
――しまった! 攻撃がこちらに――
「ホーリー・シールド」
シールド魔法が展開され守りに行く。時間の減速でさらに強固なものになっているはずです。
「やっぱり使うよなシールド! そのタイミングを待っていたぜ! 減速解除!」
私は加速に耐えられず吹き飛ばされます。
すぐに起き上がれ! ジエイミ・メダデス!
「何! どこから攻撃が!」
彼の悲鳴が聞こえます。そのまま私は剣を構えます。
「ライトニング・アブソリューション!」
そう……先ほど放った魔法『ライトニング・バレット』減速し緩やかに彼の元に飛んで行っています。
鍔迫り合いに持ち込み意識を私に向けさせ。先ほど警戒していた防御魔法『ホーリー・シールド』によって攻撃の存在を忘れさせた。
彼が減速魔法を解除すると同時に『ライトニング・バレット』は通常の速度へ戻り、彼に命中。
そして今怯んだ隙に私の魔力を込めた一撃を放つ……
「貫けぇぇぇ!」
「な、何ィ……スロー……魔力切れか! ぐあぁぁぁ!」
そう、勇者の私だって加速魔法の魔力消耗は激しかった。なら、四天王も減速魔法の消耗だって激しいはず……
だからこれは先に魔力切れを起こした方の敗北になります。
「……ありえない……馬鹿な……」
これでようやく借りが返せました……
「私の勝ちです……四天王時滅のラースムドウ」
と言いつつ私もかなりの魔力を消耗しています。早く倒さなければ……
「止めを……」
〇〇〇魔王降臨
「――そこまでじゃ」
威圧感……なんですかこのプレッシャー!? 突如現れたローブを被った少女ともう一人の男。
「ジエイミ・メダデス……流石は歴代最強とうたわれる勇者じゃ。実にお見事であった……まさか時滅のラースムドウを倒すとは」
「ただものじゃない……誰ですかあなたは!」
虚勢だった。今の魔力が消耗しきった状態ではとてもではないが相手にできません。
「そう気を立てる出ない。今日は挨拶をしに来ただけじゃ……この場では興味深いモノも見られたのでな見逃してやろう、くくく……」
彼女はローブを外す。すると……綺麗な顔をした少女でした。
「角……魔族……まさか!」
「そうじゃ! 妾がお主の探し求めていた魔王『エボルーテ・ドロプス』じゃ」
すると圧倒的な魔力を開放する。時間の流れを操るんなんてそのような生易しいものではないです。
まるで全てを支配し掌握するような圧倒的恐怖、勇者伝説に出てきた魔王と何ら変わりがありません……
「今日はお主の勝利じゃ、ジエイミ・メダデス。こやつには後で説教でもするのでな! がっはっは!」
魔王はラースムドウ回収しその場を去っていく。
「ま、待ちなさい!」
剣を構えなくては……!
しかし、私はその場を一歩も動けなかった。
そこに立つ圧倒的な威圧感の前に……恐らく彼は……
『影縫のアークジャドウ』
『不沈のジャークゲドウ』
『時滅のラースムドウ』
その三人の四天王を総括している最強と言われたもう一人。
「沈黙のトークビドウ……」
「……」
何も語らず。だからこそその恐ろしさは跳ね上がる。
「それではさらばじゃ! 次合う時は殺してやるからな! 勇者よ! くくく!」
そうして、波乱の闘技場には私だけが残されました……いや、まだ気を抜いてはいけません。
まだ周辺にも魔族の気配が存在しています……誰かが傷つく前に助けに行かなくてはいけません!
―――第三章。完!




