第130話 魔導型強化外骨格一式
☆☆☆魔導一式とジエイミ
メルとジエイミは戦っていた。魔導一式の戦闘能力は極めて高く。勇者であるジエイミと互角の戦いを繰り広げていた。
「はぁぁぁぁぁ!」
魔導一式はジエイミの剣を装甲で受け止め拳で反撃。更に連続で拳を叩きこんでいく。
「っく! っく! 装甲が硬い……全力の一振りですら受け止められるなんて……!」
そして、戦闘の駆け引きは明らかにメルの方が上だ。彼女の知能に戦闘力が合わされば恐ろしい化学反応を起こす。
一瞬の判断力ならジエイミが勝る、だが、それを予測する動きはメルが勝る。
「だけど……これならば……! オーバークロック!」
ジエイミは加速魔法を使い高速で動き回り、攪乱している。
「……加速魔法……ならば」
すると、メルは別の魔法石を取り出すとベルトに装填させる。
「おい! その動作はまさか……そんなことあるわけが……!」
『デモニックチェンジ・ラースムドウ』
その音声と共に時間の流れが緩やかになる。
「どうして……スローレクイエムをそれは、ラースムドウの固有魔法のはず……!」
ジエイミは驚きを隠せていない。やはりそういうことか……
恐らくだが、メルの魔導一式は装填した魔石によってその能力を変えることが出来る。
今装填したのは恐らくラースムドウの魔力がこもった魔石であり、それを使うことによって減速魔法。つまり『スローレクイエム』を使ったのだ。
よく見ると、魔導一式の姿が変わっている。要するに日曜朝でよく見る形態変化だ……
……凄く作りこんでるなぁ。ラースムドウのデザインを上手く落とし込んでいる。かっこいい。
「ジエイミ! 気をつけろ! 恐らく今のメルは四天王の力を全て使えると考えていい! かなり強いぞ!」
「はい……!」
高速戦闘が行われている。ジエイミは減速魔法にも一瞬で対応していた。
やはり戦闘の経験で言えばジエイミの方が上である。
「貰いました……はぁぁぁぁぁ!」
『デモニックチェンジ・アークジャドウ』
姿を再び変えて攻撃を影に隠れすり抜ける。そのままジエイミに拳を当てる。
「っぐ!」
「どうした……その程度か勇者ジエイミ。情けない」
「うるさい! ならば……」
ジエイミはすぐに起き上がり剣に魔力を加える。その構えは……
「ジエイミ止せ! 安い挑発に乗るな!」
ライトニング・アブソリューションの構えである。
「ライトニング・アブソリューション!」
恐らく、ジエイミにライトニング・アブソリューションを打たせることがメルの目的だ。
普通の攻撃では傷がつけられない。ならば大技を出すほかない。ジエイミはあの四天王と一度も戦ったことがないはず。だからこそ、この判断をしたのだ。
時すでに遅く閃光は既に放たれてしまう。
『デモニックチェンジ・ジャークゲドウ』
その光の魔力は全て魔導一式に吸収される。
「な……に? 私の一撃が……」
やはり……ジャークゲドウの吸収と放出の力を使ってきたか!
「こっちの番だ」
そして、気付く。今この場には自分達がいる。つまり、ジエイミはこの一撃を絶対に避けることはできないのだ。自分達は人質として上手く使われた。
メルはそこまで計算していて、ライトニング・アブソリューションを出させたというわけだ。
ジエイミの性格なら自分達を絶対に守ろうとする。つまり、その一撃を身一つで受けなければらないのだ。
「ライトニング・アブソリューション」
光は放たれる。そしてジエイミに直撃した。
「……ジ、ジエイミーーーー!」「ジエイミ様!」「ジエイミ殿!」「勇者!」
周囲は爆発しすさまじい光に包まれる。
「……はぁ……はぁ……」
☆☆☆最後の手段
ジエイミは未だ健在だった。というより、ほとんどダメージがないように見える。
ライトニング・アブソリューションの威力が落ちたのか?
「生きている……? あの一撃は完全に当たっていたはず」
「自分の攻撃で死ぬ生物はいない。だから、私の攻撃で私を倒そうとするのは無意味だよ。メル!」
いや、普通に自分の毒で死ぬ生物いるだろう。
「っち……」
メルは舌打ちしながら魔石を装填させた。やはり、ジエイミの強さは想定以上ということか……
「あなたはようやく魔王としての圧倒的な力を手に入れた。そして本当の意味で魔王として君臨した……ありがとう。メル……」
それに対しジエイミはにやりと笑う……え?
「これで……ようやく、私も……あなたを全力で……完膚なきまでにぶっ潰せる!」
するとジエイミは魔力を大量放出する。
え……? 今までが本気じゃなかったというのか?
そういえば、自分はジエイミが本気で戦うところを見たことがない。
以前見たドビー達との戦いだって、全力は出したが、殺意を持って攻撃していたとは思えない。
ジエイミとメルは本当に仲が悪い。つまり、カッとなってジエイミが一発メルを殴っていれば簡単に勝負がついてしまうほどだった。
だけど、今のメルは魔王と言っても差し支えない力を手に入れた。
つまり、何の躊躇いもなくジエイミは力を使えるということになる。
殺してしまう心配がなくなったということだろう。いや、むしろ殺す気ではないか?
……ジエイミ怖!
『デモニックチェンジ・トークビドウ』
「はぁぁああああああああ!」
それからは猛烈な戦いが続いた。メルの予測を遥かに超えた動きで圧倒していく。
やはり、ジエイミは勇者でありその強さも他の人間族と別格だ。そして……
魔導一式が負けている姿を見たくない自分もいた。正直に言おう。幼少期ヒーロー番組を見て『自分もヒーローになりたい』と思った憧れが、ジエイミに砕かれているようだった。
それほどまでに、魔導一式デザインはかっこいいのだ。
「がんばえ~まどういちしき……あ、ごめん今のミス!」
やべ……つい少年心が蘇ってしまった!
「え、自分さんどっちを応援しているんですか……しまった!」
魔導一式はジエイミの腹に足の裏を当てる。
『デモニック・コンクルージョン』
バッタの脚力でジャンプするようにジエイミを踏み台にして突き飛ばした。そのまま魔石を入れ替える。
『デモニックチェンジ・ラースムドウ』
時間が緩やかに流れ、ジエイミは飛ばされたまま減速する。
すると魔導一式はその反動を活かして、ジエイミの後ろから飛び蹴りを食らわせた。
さっきの音声はまさか……『必殺技』だ! 二段階踏んだ蹴りとはなんともかっこいい!
「きゃあああああああ!」
闇魔法がジエイミを圧縮し解放。そして――爆発する。
「ジエイミ―ーーー!」
皆がジエイミの名を叫ぶ。
だが、ジエイミは傷はあるものの倒れてはいない。だが、何とか立っていられる状態だろう。
「はぁ……はぁ……今のはやられた。だけど、ようやくあなたの力を理解した……」
「……っち」
魔導一式が魔石を装填しようとしたところ……
「させない! オーバークロック!」
加速魔法で魔導一式の魔石を持つ腕を掴む。
「……!」
「あなたの力はこの装置と魔石からくるものだ! ならば、この装置を剥がしてしまえば……うおおおおおお!」
え、ベルト外すとか一番やっちゃダメな奴じゃん。特撮的に……いや、正攻法なのはいいんだけど。
「よせ! それはやめろ! っぐ! うわぁぁあ!」
メルは焦り出す。やはり、ベルトを外されれば魔導一式は解除されるのだろう。
ジエイミは魔導一式のベルトに手をかけ無理矢理剥がそうとする。
「うおおおおおおおおお!」
剣をベルトと胴体の間に入れると……
「ライトニング・アブソリューション!」
その距離ではジエイミにも被害が出るはず……
「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉ!」
そのまま二人は爆発する。
「魔王様ー」「ジエイミー」「ジエイミ様ー」「ジエイミ殿ー」




