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第124話 これから起きる悲劇の前夜祭

☆☆☆駆け付けた先で


「ジエイミ! どこにいる!」


衝撃の方へ辿り着くが、もぬけの殻だった。近くにはジエイミが倒したであろうボボボボアが数体がまとまって転がっていた。


「ジエイミ! おーい! 自分はここにいるぞ!」


しかし一向に返事はない。隠れていることはないだろうか……


「今すぐ出てきたら抱きしめてやる!」


シーン……


これ本当にいない奴だな。恐らくジエイミならこれですぐ出てくるはずだ。


周囲を確認すると血痕の跡が見られる。相当の出血量だ。


「……これは」


近くで確認するとまだ新しく固まっていなかった。


……そういえば……少し気になることがあった。


「っぐ!」


自分の手をナイフで少しだけ切る。


すると少量の血が溢れるが……


「……なっ!」


瞬時に傷は癒えた。やはり、何らかの原因でここでは傷が回復するようだ。なら、この血はどうやって出たものだ?


確認のため近くで倒れているボボボボアをナイフで刺すと血が噴き出す。しかし治癒はされない。


他のボボボボアを確認しても大きな傷は見受けられなかった。恐らくボボボボアはジエイミが一撃で倒したのだろう。


「はぁ……はぁ……エクシリオ。いったい何があって……ちゃんと説明を……!」


そこに自分を追って走ってきた村長が駆け付けた。息が切れていた。


「村長。ちょっと悪い」


村長の手を掴み、ナイフで少しだけ傷をつける。


「おい! エクシリオ! 何を!」


少量の血が溢れるがやはり治癒が行われた……つまり……


「痛いではないか! 気でも狂ったかエクシリオ!」


「なぁ、村長。この村で事故死した奴っていたっけ?」


「あ? なんでそんなことを……いや、いないな。少なくともわしが生きている時にはいなかったぞ。皆寿命を全うして……それがどうしたというのだ?」


やはりか……


「なら、けが人もいないってことだな?」


「あぁ、いないが……」


なるほど……そういうことか。


つまり、モブコザ村の中は治癒魔法が働いており、怪我をしても瞬時に回復するようになっている。


だから、怪我による死人は存在しないのだ。皆が寿命を全うして死を迎える。


ならば、ここら一体の血は誰のものか? 確証はないが、恐らくこの血はジエイミのものである。


少なくとも、ボボボボアの傷は治癒されていない。つまりこの治癒は『ヒト族』だけのものだと考えていいだろう。


ジエイミは何者かによって連れ去られたと仮定する。


その相手は、先ほどジエイミ言っていたあの相手で間違いないだろう。


今回のボボボボアをこの村に解き放ったのも、恐らくそいつだ。


いくら村人が襲われても怪我の心配はない。それに立ち向かう相手を疑ったことだ。


つまり、ジエイミに一撃でも浴びせて傷が治癒しなければ『ヒト族』でないことの証明になる。その相手はジエイミが人間族だと気付いたに違いない。


まんまとハメられたわけだ……クソ。いったい何が起きようとしているんだ……


「おい! エクシリオ! 聞いているのか!」


村長の声で思考が中断される。


「ちょっと黙っててくれ! 今大事なとこだから!」


「ワシの扱い酷くない!?」


そもそも、その相手の目的がさっぱり分からない。


だけど、ジエイミが消えてこの村に実害はない……それに村に治癒が蔓延しているということは、この村に何かが起こるということはないだろう。


ならば……人間領か魔族領に向かったということか……? 


☆☆☆いざ王都へ


駆け出すと、村の門付近まで移動した。


「おいおい。エクシリオ。昨日来たと思ったら今日村を出るのか」


門番のゴララがいた。


「なあ、俺の女見なかったか?」


「いや、見てないが……」


村からは出ていない……いや、別にジエイミなら門からでなくても、ジャンプで村から出られるか……


「村から出るぞうぇーい!」


「お、おい!」


とりあえず、村の外に出る。いったん試しにナイフで手を切ってみる。


「っく……」


予想通り、傷は再生されない。血は流れ続ける。やはり治癒の効果は村の中限定ということか……


しかし……どうやって、王都に戻るかだ。ジエイミがもしフェルフェル使っていたとしたら徒歩で移動じゃ何日後になるか……


……フェルフェルはいるかな……?


「ワン!」


いました。


「フェルフェル!」


「……」


「わんわんモフルン丸!」


「ワン!」


やっぱ、わんわんモフルン丸なんだな……


「王都まで頼む……!」


「ワン!」


こいつほんまいい奴だな。わんわんモフルン丸……


こうして、自分は王都へと戻るのであった。



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