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第123話 最強ヒーラー。現行勇者に無双します!

〇〇〇グリエルモ


かつて、初代勇者パーティーにはヒーラーが存在していました。ですが、それは、勇者伝説に伝わる大昔の話です。


目の前に存在している彼女が本物だという保証はありません。ですが、そうでないと証明できないほど、ヒーラーとしての腕前は本物です。


確かグリエルモは勇者パーティーで最弱であり、全く貢献していなかったと記されていました。


その彼女がどうして、これほどまでの強さを持っているのか……


そもそもどうして、この時代に生きており、勇者と魔王の戦いを裏で支配していたのか……何一つ分かりません……


「ありえないと思うのかい? 初代の勇者パーティーがこの時代に存在しないと」


図星を突かれます。


「ヒールだよ。ヒール」


確かにヒールの力なら納得がいきます。


「例え、あなたが初代勇者パーティーのグリエルモだとしても、私のやるべきことは変わりません……」


剣を再び握ります。大丈夫。まだ戦えます……


彼女を倒せば全てが終わるのです……何を躊躇っている。


私は勇者伝説に憧れ、目の前にはその伝説と触れ合うかもしれない。初代勇者パーティーのメンバーがいる。


昔の私に言っても信じてもらえないでしょう。だって今。


私は勇者になって、そして、その戦いの最後を飾ろうとしているのですから!


「私は勇者と魔王の戦いを終わらせて、世界を平和にします!」


「――戦いが終われば平和ね……それが困るんだよ……やっぱ、勇者の血は勇者か……」


「それでも私は……あなたを倒します!」


例え憧れの対象だとしても……それだって超えないと……あの人の隣を歩けない!


すると、グリエルモは猛攻を仕掛けてきました。


だけど、動きにはもう慣れました。対応できます。


剣での戦闘は私に優位に回り攻め続けます。


彼女のヒールだって無尽蔵なわけがない。ならば、回復を上回る攻撃を当て続けることが出来ればいずれ魔力切れを起こすはずです。


「――オーバークロック!」


加速します。やはり、身体能力の面ではヒト族と人間族の差が大きく出てきます。


グリエルモの動きを見切れば見切るほど、トリッキーな動きで翻弄し、速いと思わせていただけです。現実にそこまでのスピードは出ていませんでした。


「……こそこそと!」


「はぁあああああああぁぁ!」


「っぐ!」


剣で突き刺し腹を貫通させます。


「これなら再生は出来ません! オーバークロック! ライトニング・バレット!」


そのまま思い切り地面を突き飛ばし、彼女を勢いよく木に叩きつけます。


腕や足を魔法の槍で貫通させ完全に身動きを封じます。


「っぐぅ……ヒール……何? 治癒が……進まない?」


やはり貫かれている部分は再生が行われない。


「諦めてください。もうあなたに勝ち目はないです」


「勝った気でいるのか人間の勇者……っぐぅ!」


「この状況で、あなたができることはないです……できれば命は奪いたくありません。降参してください!」


その言葉が逆鱗に触れたのでしょうか……


「命を奪いたくない? ……ふざけるなぁぁぁぁぁ!」


最後の抵抗をしようとします。ですが……仕方がありませんね……


「――ライトニング・アブソリュー……!」


その瞬間。胸がドクンとなります。目の前が真っ白になり意識が途切れ掛けます。


「……うっ……あっ! っぐ!」


あれ、身体が言うことを聞きません……


「まさか……ここで奥の手を使うとは思わなかったよ。ヒール……」


刺さった剣を抜き去ると、グリエルモは笑っています。傷口は完治しこちらに近づいてきます。


意識は一瞬でも集中を切らせば持ってかれそうに……


何とか意識を保っている状態です。


「何を……っぐ!」


「抗うんだね……流石は勇者だ。確かに君は強かった。初代勇者よりもずっとね……」


「何をしたと……聞いています……っぐ!」


駄目です。何か強い力が体中を走ります。体が熱くなり、意識が何度も何度も奪われかけました。


「その流れている薄汚れた血に聞いてみればいいさ……と言っても、もう君はいなくなるんだ。別に気にすることはないさ、君が守りたかった世界も『人間』も全部終わりを迎えるのだから」


彼女の目的は……世界を破壊すること? 人間が終わりを迎える……? 


「そんな……こと……させませ……っぐ!」


駄目です……あと数秒で、私は飲まれてしまう…-


「大丈夫。辛いなんて感じることはないから。もう身をゆだねて楽になろうよ……僕に従って……勇者ジエイミ・メダデス」


すると、私の胸を剣で貫かれます。


「もう少しだけ利用させてもらう……勇者の力を」


「ご……め……なさい。……さん」


せめて、自分さんに何かを残して――――


――――――――――――――――


△△△この世界の黒幕


グリエルモはジエイミが意識を失ったことを確認すると剣を引き抜く。


「……ヒール」


ジエイミの貫かれた傷はみるみる回復していき。やがて、完治した。


すると、ジエイミは操られるように起き上がる。


「……」


ジエイミの意識はない、グリエルモの操り人形と化していた。


「……成功。勇者機関を失って計画は大きく変わってしまったけど、まだ修正できそう……勇者の力を手に入れた」


ジエイミの身体は自由に動かされていた。剣を振るうことも変わらない。


「これで……ようやく悲願に辿り着けるよ。みんな……」


グリエルモは少しだけ悲しそうな顔を浮かべると、すぐに強い眼差しになる。


ジエイミとグリエルモは共に歩き出す。向かう場所は人間族のいる王都だった。


「人間族と魔族を滅ぼすことが……!」


――第九章。完!



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