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第120話 モノマネが終わり、そして――

☆☆☆人間族を語る謎の人物


さて、モノマネで話題がそれたので、本題に入ろう。


「ところでその相手はどんな奴だったんだ。他に気になる点はあったか?」


「そうですね……一瞬のことだったので……確か馬鹿みたいな歌を口ずさんでいました。ほんとに酷い歌を」


馬鹿みたいな歌ってなんだそれ?


「それは関係ないと思うな。モブコザ村だぞ? 馬鹿みたいな歌を口ずさむやつなんて、星の数はいるだろ」


改めて思うが、モブコザ村は変人揃いだ。


唯一まともだと思えたのは、先ほど遭遇したヌシだけだ。


『一人でいたい』と言っていたのも、狂った村の連中と関わりたくないのだろう。


外気に当てられてバカになりたくない気持ちは分かる。


「そういうものですか?」


「そもそもこの世界の娯楽レベルは、自分の元居た世界に比べてゴミ同然だ。ユーシャインの曲を聞いて耳が肥えたジエイミには、それは酷い歌に感じるのだろう」


「そういうことですか……なるほど。確かユーシャインさんの曲は……」


「自分が作ったと言っても過言ではない。あちらの世界では、そういった曲が無数に溢れているからな。神だと思ってくれ」


嘘です。全部パクりです。アイドルソングを利用しました。


「す、すごいです……自分さん……!」


「しかし、この村に人間族に知る相手がいるというのは、恐らく、この村を支配している者である可能性が高い。いったい何の目的があるのか……ジエイミは分かるか?」


「いいえ、分かりません……自分さんは気付いているのですね」


分かんねえよ! なんて言えるわけもなく……


う~ん。なんかないかな……あ!


「覚えているか……以前言った『黒幕』のことを」


そうやあ、忘れていたけど、ジエイミのことだ。覚えているだろう。


「あ!」


「まだ。推測の域を出ないが、この村はヒト族で成り立っている。なぜ、これほど繁栄している人間族が一人もいないのか、疑問に思ったことはないか」


「それは……ヒト族はこの場所に追いやられたからで……」


「だとしても、人間族が一人もいないのはおかしいと思わないか……それはだな。つまり……うーん。この村に人間族がいることがおかしいんだ。だからその相手は人間族がいることを良く思っていないってことだ」


至極当然なことを言う。何も分かんないよ……


「な、なるほど。では、その相手がこの事態を仕組んだ黒幕だと……捕まえていれば争いは終わったかもしれないのに……すいません」


まあ、人間族って知ってるんだしあながち間違いではないのか。


「いいや、下手な真似をしなくてよかった。相手が何をしてくるか分かっていない場合は迂闊に動くべきではないよ」


それに一般人だったら、そいつは死んでるだろうし……


「ですが……」


「落ち着け、あくまで自分は仮定の話をしているにすぎない。その決め付けで、無関係な一般人を巻き込む可能性があるんだぞ。あくまでジエイミの会話から状況を整理したんだ。いくらだって違う点も出てくるだろう」


「分かりました。ではこれからどうします?」


正直そんなこと気にせず、家でゴロゴロしたい……というわけにはいかないな。


「とりあえず、そいつを探して尾行するべきだ。まず相手を知ることから始めないとな……特徴は覚えているか?」


「はい、その人は――」


ドカーンっと、ジエイミの声は衝撃によって掻き消される。地面が大きく揺らいだ。


☆☆☆ハプニング


「「!」」


さらに別の方向からも大きな物音が……


ドカーン!


それと同時に村人の悲鳴が聞こえてきた。


「自分さん……!」


「二カ所ほぼ同時に衝撃が走った。恐らくこの村で何かがあったのだろう……」


「今すぐに助けに行かないと」


「待て……ジエイミ。今の状況を整理――」


ドカーン! さらに大きな悲鳴が聞こえる……。


「冷静に分析している場合ではないようだな。音が聞こえたのは恐らく東西でかなり離れている。二人で同時に向かえば片方の助けが遅れるはずだ。ここは二手に分かれる必要がある」


「……ですが、自分さんは……」


弱い。戦力にならないと言いたいのだろう。ジエイミは自分が負けることを恐れている。


何が起きているか分からない状況で自分が一人になるのは得策ではないと……


不安がジエイミ本来の力を発揮できなくする。恐らくジエイミなら今起きている問題を簡単に片づけてこっちに来てくれるだろう。


その間の時間稼ぎを自分ができればいいのだ。


「……確かに自分は外の世界じゃ最弱だ。だが、少なくともこの村では最強のヒト族だよ。それにこの村のレベルの敵なら、自分にも対処できるはずだ」


「ですが!」


「――生憎生き残ることには自信がある。四天王から三回も逃げ果せたんだ。それに、ジエイミがすぐに終わらせてこちらに駆け付ければいいだけの話だ。その間にも誰かが命を落とすのは二人の『勇者』として見逃せないだろ」


虚勢であるが、ジエイミは納得してくれた。


「はい……」


「では、ジエイミはここから遠い方を頼む。なるべく力を抑えてほしいが、やむ負えない場合はジエイミの判断に任せる。自分は近い方を確認してくる」


ジエイミはすぐに臨戦態勢に入る。


「分かりました! 自分さん……どうかご無事で!」


こうして自分達は分かれた。




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