第119話 やっとの思いで食事
☆☆☆食事の時間。
ジエイミと自宅前で合流した。
「自分さ~ん! 魚釣れましたか~」
「あぁ、釣れたぞ。脂乗ったのがな。これ絶対塩焼きにして食うぞ」
「皮残しませんよね」
まだその話続いてたのかよ……
それからジエイミと共同で料理をした。自宅のキッチンを母親の許可なしに使ったが、まぁ、自分の家だし良いだろう。
母親に関してはもう消沈しているので、ほっといても平気だな。
「できました~」
完成した料理を二人で食べている。
「「いただきます!」」
魚の塩焼きは普通に美味い。なんの魚かしらないけど。
「そういえば、さっき、変な人に会ったんです」
「この村にいる奴は皆変だろう。いちいち気にすることでもないんじゃないか? この村でまともなのは自分だけだ」
「え?」
ジエイミが驚いていた。それじゃまるで自分が変なやつみたいな言い方じゃないか……
「え?」
それに対し自分も……
「「え?」」
二人で同時に……
「まあ、それは置いといて、そんなに変な奴だったのか? 酔っ払って田んぼに頭から入っていったとかか?」
「いえ、それは見かけましたけど……違うんです」
見かけたのかよ……
「私を人間だと疑いをかけてきた者がいまして……」
あ、これ思ったよりマジなやつだ。
ジエイミが『人間族』だと、気付かれたことが問題ではない。
人間族という言葉を知っていることが問題なのだ。
この村に人間族は存在していない。ヒト族だけの村であり、外に出ることがなければ、人間族という存在を知ることはないのだ。
そしてこの村から外に出た人物をエクシリオを除いて知らない。そういう話もあまり聞かなかった。
『出たい』とは思っても、村の外へ出ない連中ばかりのはずだ。
つまり、一生をモブコザ村で終える村人がほとんどである。
なら、その相手はどうやって、人間族のことを知ったのだろうか。
「なるほど……どうやって切り抜けたんだ?」
「そ、それは、言われた通り自分さんの真似をして乗り切れました。あはは……」
マジか、パリピパワー強いな。
しかし、ジエイミの表情何か隠しているな。言いたくないことでもあったのだろうか?
「あ、あの何か……」
ちょっとジエイミがどのように自分の真似をしたのか気になるな。
「真似ってなにしたの?」
「……!」
「あ、ほんと普通の真似ですよ。うぇいうぇいって……うぇーいってーあははー」
顔を赤くして、目を反らしている。あ、これ自分の真似に失敗したな。
「もう一回! もう一回! ジエイミのモノマネみたい~!」
リズムよく手を叩きムチャぶりをする。
「で、ですが……私では自分さんのカッコよさは全く引き出せなくて。絶対に怒りますから!」
そこが問題なの?
「少なくとも怒ることは絶対ない。真似してと言ったのは自分だ。どんなに下手糞な真似でもマジギレする心配はないよ。頼む! 自分の真似するジエイミが見たいんだ! この通り!」
とりあえず頭を下げた。
「あ、頭を上げてください! 分かりましたから……失望しないでくださいね」
ジエイミがウェイウェイ言うのすげぇ楽しみだ……
☆☆☆モノマネの時間。
「では……行きます」
パリピになったジエイミ絶対に面白いぞ……
「――っふ! 私はジエイミ・メダデス……――っふ! ――っふ!」
……え? あれ、なんか思っていたのと違うぞ。パリピジエイミが見たかったのに……
「――っふ! 自分殿よ……この魚とても美味しいぞ? 食べてみるか――っふ!」
――っふ! って言いすぎだろ! 流石にそんなに言ってないよ自分。
「――っふ! ――っふ!」
恐らくジエイミがかっこいいと考えたポーズを何回もしているのだ。
……馬鹿にしているだろ。いや、ジエイミに限ってそれはないか。
だけど、これがジエイミが抱いている勇者モードの人物像なのだろう。なんか嫌だ。
「……ど、どうでした……似てないと思うんですけど……ご、ごめんなさい」
「……」
ジエイミは顔を真っ赤にしていた。
「はっはっはっは! ジエイミ面白すぎだろ! がははは!」
とりあえずツボに入ったので爆笑しといた。
「えーーーー!」
笑い終え、食事終える。
「悪かったジエイミ。この通りだ。似てたぞ~すっげ~馬鹿っぽさが表現できてた。そりゃ相手も馬鹿だと信じたに違いない。だってこんなに馬鹿っぽいんだもん……ぶぶぶぶ……あははは! ――っふ! だってよ! がはは!」
初対面で「――っふ!」とか言う奴と会話したら、絶対に馬鹿だと思われる。
つまり、相手はこんなバカな奴が人間族でないと考えたのだろう。
「……ぶ~。自分さんの意地悪ぅ……笑うことないじゃないですか……」
ジエイミはモノマネで笑ったことを拗ねていた。渾身の真似だったのだろう。
「いや、悪かったって! 自分も誰かの真似するから許してくれ」
「……あ、それちょっと見たいです。私の真似も可能ですか?」
ジエイミの真似か……一応見てきたから特徴は掴んでいるが……
「一応できるけど、あまり期待するなよ?」
よし、やるか……裏声で……
「ジエイミさん! ジエイミさん~食事の片付けは自分に任せてください! えへん!」
誇張しすぎたか? 胸を張る。
「あ、ご、ごめんなさい。自分の態度図々しかったですよね……はわわ~ジエイミさ~ん! わーい! ……というわけだ」
正直めっちゃ恥ずかしい。男が女の真似するのって普通に無理があるし。
「……あっはははは! 自分さん……私をそんな感じではなくて……あはは!」
仕返しのごとくジエイミに爆笑された。
とりあえず自分も笑っておいた。
「はぁ……はぁ……笑いすぎました……」
とりあえず食事を片付けよう。




