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第114話 気にしないこと

☆☆☆突然の……


「たっだいま~」「おじゃまします……」


ということで、ジエイミと一緒に自宅へ帰宅した。


ドアを開けると母親は顔を水で洗っていた。


「……え?」


母親も意表を突かれた顔をしていた。よく見ると目も充血している。ほんとに目をこすったんだ。


「あぁ、息子の再会だからって感動したんだねぇ~涙止まらない! うぇーい!」


「……え? あ、あれ? エクシリオ?」


恐らく、母親は夢ではないかと勘違いしている。


だってそうだろう。先ほどあんな別れ方をしたのに、こんなのんきに帰ってくると思うだろうか。自分だって思わない。


だけど、こんな田舎に宿屋があるわけなく、女連れ泊めてくれる場所があるわけない。野宿も考えたが心が休まらない。


つまり、寝床を確保するにはここが一番都合が良いのだ。


「え、いや、待ちなさい……私がお前を捨てたと知って……怒りに身を任せて復讐する気なのか……ひぃ!」


やはり、復讐をしに来たと感じたのだろう。もう終わってるんだけどな。母親は恐怖で震えていた。


一応ここでは最強の一角だ。母親でも簡単に倒せるのだろう。


だけど、今更でかい態度を取って負けた時なんて言い訳すればいいのか分からない。


「そんなことでいちいち目くじら立ててる場合じゃないんだよ! 俺は家に帰ってきたんだ!」


「「え?」」


ジエイミも驚いていた。


「ジエイミ。今はデート中だ」


「はいそうですね。デート中……ふふふ。嬉しいです」


のろけ顔になっているぞジエイミ。


「デート中に復讐の話なんかしたら気分が下がるだけだ。ダサいだろそういうのは……だから気にしないことにした」


デート中に『俺は憎しみに生きていた……』とか言われても困るし、どう反応すればいいのかも分からない。パフェ食いながら話していたら少し面白いかもしれないが。


つまり、デートでごり押して一泊する。そういうことだ。


母親の考えすら捻じ曲げてやる。罪悪感? 知ったことかこっちは一泊が掛かっているんだ! 何としても野宿は避けたい。


「えっと……そういう可能性もありますね」


「デートと復讐。ジエイミならどっちが大事――」


「――デートです」


即答した。


「つまりそういうことだ」


「い、いや、おかしいでしょう。私はお前を見捨てて! 罪悪感で押しつぶされそうだってのに! まるでお前は私を恨んでいないような言い方を!」


いちいちうるせーよ。もうこっちは気にしていないんだからいいじゃないか。


「そのような些細な事を気にするやつがモテるわけないだろう! だから不問にしてやる! いつまでもウジウジしているんじゃない! 俺の母親だろ! 俺を見習え!」


ごり押しだ。


「えええ……どういうこと? 私の息子こんなに馬鹿だったっけ」


「というわけで、俺とジエイミは今日ここで一泊していくから~よろ~部屋使うわ~」


「お、お邪魔します……」


そのまま家に上がり込み、自分の部屋へ着く。


「どういうこと?」


最後まで母親は理解できていないようだ。


☆☆☆就寝を守れ


初めての自室であるが、エクシリオの私物はほとんど捨てられていた。


恐らくエクシリオが死んだと思い処分したのだろう。


しかしスペースはあるので、寝ることは可能だ。


だが……


後方にわくわくているジエイミの姿があった……


「ジエイミ。どうして自分の部屋に来ている?」


リフォームしたと聞いたので、隣に部屋は余っているはずだ。


なのにジエイミは部屋の端で座り自分を見つめていた。


「え……一緒に寝ないのですか」


「寝ないよ。むしろなんで一緒に寝る気でいたのか聞きたい」


「だって……『俺の女』って言ってくれましたよね」


「それはエクシリオのキャラを演じていたからだよ。エクシリオならそういうだろうなって推察!」


「そうですよね……私じゃ釣り合わないですよね」


少し悲しそうな顔をする。だが、一緒に寝ることだけは何としても回避する。


「いや、そういう問題じゃなくてだな。他の部屋が空いているだろう」


「私! 自分さんと一緒に寝たいです……」


若い男女が同じ部屋で寝ていいわけがない。


「ダメだろ。ほら、間違いが起こるとか可能性もあるんだ!」


「間違い……ですか? あ、もしかして自分さん! 私の寝相が悪いと思っているのですか? 大丈夫ですよ! 動きませんから」


寝相が悪くないって本人が言っても信用できない。そういう問題じゃないし。


「いや、それは、男女がその一緒に寝るとな? ほら、あるだろ? 良くないこと」


「……?」


……あれ? ジエイミは首をかしげているぞ?


「良くないこと……えっと、なんでしょうか?」


……もしかして、前提を間違えていたのか……ジエイミにはアレの知識がない。


その可能性が出てきた。だから男女で寝ることを恐らく、家族で寝ることと同意義に感じているのだ。


ジエイミは早くに両親を失って、ドビーによって育ててもらった。


あの親バカが性知識なんて教えてるとは到底思えない。


「つ、つかぬことを伺うが……ジ、ジエイミ……子供がどうやってできるか知っているか?」


少しどもってしまった。知っていたら完全にセクハラで訴えられる。


「はい! 結婚したらカクセイランバードが運んできてくれます! 流石にそれくらい知っていますよ!」


あーはいはい。大体分かった。


多分コウノトリのことだ。なるほど……つまり、ジエイミにやましい気持ちはなく。ただ仲良くしたい。その一心で一緒に寝ようと発言したのだ。


教えてやりたいがとりあえず。いいやそれは……


例えやましい気持ちがなくても、一緒に寝るのは精神的に良くない。主に自分が。


「……自分の寝相と寝言が酷いのだ。だから、そのジエイミに嫌な思いをさせてしまうかもしれない。顔とか蹴られたらいやだろう?」


「あ、それは知っています自分さんがお酒を飲んで寝ていた時に変なこと呟いてましたよね。らーめん。ざーさい。ちゃーはんとか……あとぎょうざ?」


「え……そんなこと言っていたの?」


ほぼ中華料理じゃねぇか、酔いつぶれた時に何言ってたんだ自分!


「私の寝相が悪ければ危うく自分さんを殺してしまうかもしれません」


割と冗談にならないのが怖い。小動物などのペットと寝ていて気が付いたら押しつぶしているような感じだろう。


「ですが、自分さんの寝相が悪くても私には問題ないです! 勇者ですから! 顔を全力で蹴っ飛ばされたとてびくともしません!」


ジエイミはそこそこ膨れた胸を張った。ここで勇者を持ち出さなくてもいいような気もする。


「と、とにかく。ジエイミは別の部屋を用意してあるからそこで寝るんだ」


「ぶー。自分さん……そんなに私と一緒に寝るのが嫌なんですか?」


「嫌ではない。嫌ではないんだ。だが! 自分の世界の常識に当てはめるととにかくだめだ! この埋め合わせはするつもりだ。だから、一緒に寝るのだけは勘弁してくれ!」


「ぶーぶー……分かりました……」


納得がいってないため顔を膨らませている。とりあえずジエイミは別の部屋に寝ることとなった。


ジエイミとの距離が近くなった感じがする。遠慮せずに文句を言いあえるのって、案外いいことなのかもな。



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