第110話 踏み入れた先で
☆☆☆再会
モブコザ村に足を踏み入れる。すると……見覚えのある女性がいた。
「っげ、エクシリオ……風の様にいなくなったかと思ったら、急に戻ってきてどうしたの……そちらの女性は」
ミルコ。確かエクシリオの幼馴染で、馬鹿みたいに告白してフラれた相手の一人だ。
回想の中でもちょくちょく出てきた記憶がある。あまり歓迎されていないな。
「ミルコちゃんおひさ~ウェイウェイ……!」
後ろから凄い殺気を感じた。恐らく女性に声をかけたのが良くなかったのだろう。スルーしとこう。
「それよりあんたもしかして、外の街でも同じことしてたわけ? 全く変わってないんだね……そちらの人もこいつだけはやめといたほうがいいよ?」
ミルコは不機嫌そうな顔をしている。正論やめてくれ……
「……どうしてそんなことを言うのですか? エクシリオさんの何がやめておいたほうがいいのですか?」
「っひぃ……!」
ジエイミの笑顔が怖かった。って威圧感威圧感!
メルの威圧感倍増装置といい勝負だぞ。
「ジエイミ落ち着いてっしょ。別に自分がその程度のこと気にするタマじゃないから……」
「(それにここで問題を起こすのは良くない。冷静になれ)」
真面目な口調で耳元に囁いた。
「……ごめんなさい。失礼しました」
「と、とにかく。そいつはやめたほうがいいって、誰にでも声をかけて告白する男だよ? 確かに強いけどそれしか考えていない。女心を分かっていないのだよ!」
ミルコの言うことはごもっともだ。あれ……もしかして、ミルコって……
エクシリオのことが好きだったのではないだろうか。女心を分かっていない。
つまり、一度の告白で諦めたエクシリオに対して、怒りを覚えていた。
それで今、別の女とくっついているのを見て苛立っている。
「別にいいじゃん~俺の女なんだし、お前と違って優しいぞ~な、ジエジエ~」
頭を撫でる。
「は、はい……エクシリオさんの女~エクシリオさんの女~はわわ……」
ちょろい……本当に大丈夫かジエイミ。悪い男に引っかからないか?
あ、現在進行形で引っかかっているのか。
「じゃあ、あの時私に好きと言ったのは嘘だったのかよ!」
……やっぱりか、これは、その……どうしたらいいんだか。
エクシリオよ……もう少し女心を学んでいれば、君は勇者にならずに済んだのではないだろうか……ミルコ全然脈ありだったんだぞ。
もう少し彼女の心を理解してあげるべきだった。ただ素直になれないだけなのだ。
「今ミルコっちはあいつと幸せそうにやってるじゃん? それの何が不服なのさ」
そう、ここにいる同年代の女性は皆、異性とくっついている。
エクシリオだけがこの村で未婚者のまま。
つまりバチェラーだ。なんと恋愛リアリティショー!
ミルコも今や既婚者なのだ。
「俺が答えてもいいんだけどさ、ミルコっちは今幸せならばそれでいいじゃん。そうしないと全部失うことになるよ」
適当にはぐらかす。
「……ぐぅ」
「とりあえず『俺は帰ってきた』だから、少しの間ここでお世話になるぞ〜みんなに伝えといてくれ。ウェーイ!」
そうして、エクシリオの恋路と未練は断ち切っておいた。
これ以上恋愛フラグを立てるのは良くない。
ただでさえ三角関係が大変だと言うのに、四角関係に発展したら地獄だし、恐らく国民から非難の声が無限に溢れ出ることだろう。
「エクシリオ……王都に行って変わったんだ……昔はもっと馬鹿だった」
やべ……なんか不信感を抱かれたくない。馬鹿っぽくしないと……
「そうだ。王都に行きとても賢くなった。頭が良くなる本を買ったんだ!」
そんな本買う奴が頭が良いわけがない。
「……あ、気のせいだった。忘れて忘れて」
よし、それでいい。とりあえずミルコは自分のことを馬鹿だと信じているだろう。
「ほんと……もったいない事しちゃったな。帰ってきたのなら村長に挨拶しておいたほうがいいよ」
村長。確か回想にもちょくちょく出てきたけど。エクシリオとは仲が悪かった気がする。
まあ、破天荒なことばっかしているから、風習を大切にする連中にはどうしても異端扱いされるものだ。




