第109話 モブコザ村へ
☆☆☆移動中
わんわんモフルン丸に乗り圧倒的な速度で移動する。これなら東京と大阪も一時間ぐらいで着きそうだ。
「ジエイミ……モブコザ村に訪れるにあたり覚悟してほしいことがある」
「もしかして、ヒト族の村だから正体を隠しておけということですか?」
……それもじゃん。完全に忘れてた。危ない危ない。
ジエイミは人間族だ。おそらくモブコザ村にはヒト族しか存在しない。
その中で人間族が何かしらの行動を起こせば、事件になるのは確実。しかも人間族最強。人間と蟻くらい力の差がある。
自分が気を張ってなければならない。
「それもあるなジエイミ。自分と最初に会った時のことを覚えているか?」
「もちろんです。確かあの時は……テンションがすごく高くて、驚きました」
パリピエクシリオを覚えていてくれたか、よかった。
「そう言う事だ。つまり自分のキャラが少し変わったとして動じないで欲しい」
「分かりました……」
それ以降は会話はないので少し気まずい。こちらから切り出すか。
「ジエイミはヒト族に興味があるのか?」
「私たちは魔族の血が流れていて、エクシリオさんには流れていない。それだけなのに、どうしてここまで力の差が出てしまうのか……ヒト族とは何か、私は勇者として知る必要があるのではないかと」
しかしすぐに考えを訂正する。
「いいえ、勇者の名を持ち出すのはやめます。私自身が知りたいのです。人間族とヒト族について」
「そうやって自分で考えるようになったのは成長をしてる証だ。偉いぞジエイミ」
頭を撫でる。
「ありがとうございます……すごく嬉しいです」
ほんと人懐っこいな……かわいい。
「あ、村が見えてきました!」
そこは、かつてエクシリオが育った村。モブコザ村だ。
でも、自分が訪れるのは初めてである。
日が沈む前に村に着くことができた。
「これがエクシリオさんの故郷……」
☆☆☆村の門にて
モブコザ村の門の前に立つ。
すると、門が開かれる。
「何者だ……この村によそ者は……」
門番である強面の男が出てくる。確か名前はゴララだったか……こいつ確かエクシリオより弱かった気がしたぞ。回想でだけど……
やはり警戒されているな……いくぞ!
「うぇーい! まじお久〜ウェーイウェーイ!」
「エクシリオさん!?」
ジエイミな案の定驚いていた。
「エクシリオ……貴様か、村を飛び出していったと思ったら、戻ってくるとは……」
「ゴララっちまじお久じゃん! ウェーイ!」
「うぇーい?」
ゴララとハイタッチする。
「ってことで俺、ちょっと帰省楽しんでるとこなんだよ、王都で女連れてきました〜」
この喋り疲れるな……とりあえずジエイミを紹介した。
「はじめまして! ジエイミです!」
「いや、どうしたものか……」
やはりよそ者を拒むか?
「いいじゃんいいじゃん入れちゃいなよ〜」
「だが……エクシリオはともかくよそ者を」
「ジエイミは自分の家族も同然の存在だから平気だって〜それならよそ者じゃないよ」
「ひゃ、ひゃい!?」
詭弁だよ。
「それともせっかく足を運んでもらったのに、もてなさないで帰ってもらうってゆーの? 俺たちの地元ってそんな冷たいやつらの集まりだっけ? 違うっしょ」
ゴララは故郷愛が強いだろう。それを否定されれば動揺する。
「だが決まりが……」
そしてトドメに金貨を一枚渡す。
「いつまで古い考えに囚われているんだい! ただゴララはウンと頷くだけでいいんだ。それで何も問題があるわけじゃない? 実家に帰省するんだけじゃん~」
「……いいぞ」
ゴララは悔しがりながらも金には勝てなかった。
「いくっしょ、ジエジエ」
「ジエジエ?」
門は開かれムブコザ村の中に入る。
すると本当に何の変哲もない田舎の村だった。
自然は生い茂り、大きな池もある。本当にただの田舎。
そしてここが最弱種ヒト族が暮らす唯一の村である。
「ここが……モブコザ村ですか。それよりさっきの喋り方は……」
「いや、本当に気にしないでくれ、そういうキャラなのだあの村では」
正直あの演技は死ぬほど疲れる。
「は、はい。そう言う喋りのエクシリオさんも素敵ですから!」
それはそれでどうなの!?




