第102話 デートは二回目です。
☆☆☆待ち合わせⅡ
メルのデートから数日後。王都の広場で同じようにある女性と待ち合わせをしていた。
「あ、エクシリオさ~ん!」
相手はもちろんジエイミだ。数日前に彼女から『デートしてください』との誘いを受けたのだ。
まぁ、全部知っていたことなのだけどなんとなく……あれ?
「……え!」
手を振りながら笑顔でこちらへ走ってくる。ジエイミは少し変わった服装を纏っていた。
白いワイシャツに赤いネクタイ。紺のブレザーを羽織っている。
そして、スカートもチェックで長め……要するに……
「制服じゃん……」
完全に元居た世界でよく見た制服である。
ジエイミは元々黒髪のせいか良く似合っていた。
めちゃ可愛い……大和撫子という言葉が良く似合う。
「……どうですか? エクシリオさん。ポポさんに縫っていただいた服ですが、変じゃないですか……そのじぇーけーせいふく? というモノらしいです」
JK制服。つまりあのオネエも漫画を読んで衣装に起こしたのだろう。
流石はオネエ。ジエイミの個性を生かしきっている。
「すげぇ似合っている。滅茶苦茶可愛いよ……」
「……(よし!)」
ジエイミはガッツポーズをする。本当に分かりやすかった。
「それじゃあ。デートをするか」
自分はジエイミに手を差し伸べる。大丈夫だ……大丈夫だ……
今度は押し倒されない。ここは外だ。
「はい!」
笑顔で手を握られた力は加えられていない。
「エクシリオさんの手とても温かいです」
☆☆☆デート中に
自分達は王都の街を歩く。するとつい最近訪れた路地を歩く。ここは……
「あ……ここの占い屋さんやめてしまったみたいですね。お礼を言いたかったのに……」
ギクッ!
そう、ここは以前自分が占い師モドキをしていた場所であった。
水晶とローブだけが取り残されておりそのままの状態である。
あの無職女早く回収しに来いよ……
「ジ、ジエイミも占いとか行くんだな。お、おどろいたよ」
「それが絶対に当たると噂されていて、占ってもらった人たちは皆前向きになったと評判で! すごくないですか?」
「す、すごいなぁ……」
「それで私もぎりぎり間に合ったので占ってもらったのですよ!」
うん。全部知っている。だってその占い師自分だもん。
「本当に残念です……」
「まぁ、そいつも占ってばかりじゃなくて自分の生き方を見つけたかったんだろう。だから別の占い師の元へ旅に出たところかな」
とんでもなく適当なことを言った。
「どうしてわかるんですか?」
すると、ジエイミは首をかしげる。
「まず、あの撤収の後を見てくれ、水晶と机を置いてけぼりにして誰も取りに来ていない」
「はい」
「つまり、占い師はその職を捨てたことを意味するんだ。大事な仕事道具を置いてどこかに出かける奴がいるか? いないだろう」
「それもそうですね……」
「だから、これは仕事道具を捨ててまでも、目的を成し遂げる強い意志があったのだ」
「凄いです……この状況だけでそんな判断ができるなんて! エクシリオさんも占い師向いているんじゃないですか? 凄まじい洞察力です!」
ギクッ!
「いや、自分の場合は常に冷静な状況判断をしているだけだ。一手二手先を考えないと生き残れなかったからな」
「それでも、私には一つのことを成し遂げるのが精一杯ですので……」
「それが、ジエイミの良いところだと思うよ。誰もが同じように生きていたら、世界なんて退屈になってしまう。互いに互いを足りていないものを補うから『仲間』という存在は成立するんだ」
「足りないものを補う。ですか?」
「そうだ。自分は圧倒的に戦力が足りない。最弱種だからな。それを補完してくれるのはジエイミや仲間だったんだ。少なくとも自分が勇者やっていた頃は、仲間を頼りにしていたぞ」
利用していたとも言う。
「それに、ジエイミが孤立していた時だって、自分一人の力じゃ説得は出来なかったんだ」
「……はい。言われてみれば……あの時エクシリオさんに全力で攻撃をぶち込んでいたら死んでいたかもしれないんですよね。危険なことをしていたんですね」
かもじゃなくて、確実に死んでいただろう。人間族最強にそんなことされれば。
「ジエイミが攻撃できない状況を作り出したから平気だ。そのためにドビーや他の仲間達を頼ったというわけだ」
まあ、あの時はドビーの説得で行けると思ったが、最後の一押しを自分がしただけに過ぎない。
「やっぱり、凄いですよ。エクシリオさん……」
「弱いことを除けば凄いさ。結局どんな状況になっても、戦いになってしまえば自分は雑魚だ。だから、自分は『戦わない』道を探すことしかできない。勇者と魔王の戦いを終わらせるのも、結局は保身のためだよ」
「『戦わない』ためですか……」
「まあ、そういう話はいいさ、今はデートなんだ。もっと明るい話をしようよ」
すると、近くに喫茶店があるのを見つける。
「そうだ。ここで少しお茶でもしていこうか」
「はい」
そういって、喫茶店に入っていく。
「不味い不味い不味い不味い!」
そこには大きな体格をした暴漢が店員を怒鳴りつけていたのであった。




