第101話 占いもデートも終わりです。
☆☆☆拗ねるメル
普通に考えたらデート中に別の女デートに誘うとか最低だな。
「それに関してはすまんかった」
しかし、一向にメルは自分から抱き着いて離さない。
「許さない」
更に力強く抱きしめられる。痛くはないが少しきつい。
「……ときめかせて」
「え?」
「私を……ときめかせて……ハート……」
ときめかすって、どうすれば……ハートって自分で言うんじゃないよ。
あ、そうだ。この状況を利用する。
「では、これが本当に最後だ。メル。手前の机に座ってくれ。占ってやる」
「……え、分かった」
メルは自分から離れ、机に座った。
短時間で占いのテクニックを付け焼刃で学んだ。
なら、彼女を占うことだって可能なはずだ。
「それじゃ、始めるぞ。最近悩みとかありますか?」
「意中の相手に振り向いてもらえません! 私は猛アタックしているのに、いっつもはぐらかされて……」
ドストレートに来たな。確信犯だろこれ。
「……それでは占ってみましょう」
めんどくさいので水晶は光らせない。どうせネタは上がってるんだ。
メルの好意について考えてみた。
自分に好意を抱いたのは恐らく、魔王の一件であろう。
以前は妄想癖がバレたことにより気楽に話せる友人の距離感であったが、魔王双子事件の真相をきっかけに決着をつけられたことが原因だろう。
元々居心地の良い関係だったがそれ以上に自分を求めてしまう。
自分を『魔王』という魔族の最高地位へもっていき、最悪のタイミングで突き落とす。
……なるほど。大体分かってきた。
「あなたはその相手を独り占めしたいのですか?」
「はい」
即答。やっぱりか……順調に告白されている。
「その相手を最高地位まで上げ、そして最悪のタイミングで大嘘つきのレッテルを張り、一気に底辺へ突き落した。そこには何かしらの理由があります」
「……」
ポーカーフェイスを貫く。だからこそ確信を突く。
「あなたはその相手の評価が世界で最も低くなることを願っていた。そして孤立して、あなた以外が彼を好きにならない世界を作ろうとした。違いますか?」
そう、あの時自分の正体を暴露したのは結局のところ恋のライバルを消すことだ。
最低な相手を好きになる相手はほとんどいないからな。
ジエイミはその影響であそこまで変わったし。予想外だったのだろう。
最低な人ヒト族であることを暴露され、自分の性格を理解したうえで底辺まで堕ちたら戻ってこれないと判断された。弱いなりに開き直ったのだけど……
結局。メルは自分を独り占めしたいだけなのだ。
さっき自分の評価が上がることを嫌がってたのはそのためだろう。
つまり、彼女の好きは本物である……少し変わった形ではあるが理にかなっている。
『君が世界の全てに嫌われたとしても私だけは味方だよ』みたいなもんだ。
にしてもその状況に持っていこうとするのはやりすぎだろ。普通にやばいぞ。
「つまり……貴方の愛は本物ですね」
流石のメルも顔を真っ赤にしていた。でも心から笑っていった。
「……うん! 大好きだよ!」
ローブあって良かった。その素直な告白が一番来る……
☆☆☆デートの終わり
デート時間ほとんど占いに使っていた気がする。ローブも水晶もその場に戻し、街を歩いていた。
巻き返そうと思ったが、メルの本心を知れたので焦ることはないだろう。
夕暮れの街でメルは自分の腕に抱き着いてくる。
「そういえば、あのインチキ占い師に私と君の相性最悪って言われちゃったね~こんなにラブラブなのに~」
「占い師でもない奴の言葉信用しちゃダメだろ」
ただの恋人に嫌がらせする無職の女だ。少なくとも自分の方が占い師していたという自負はある。
「でも、私は信じてみたいな。本来なら占い信じないタイプなんだけどね!」
再びメルが抱き着く。
「ど、どういうことだ? なぜそんなに最悪を好む?」
「だって今が最悪なら、これ以上悪くならないってことでしょ? それなら、もっと仲良くなれるんだよ……自分君……」
なるほど、そういう考えもあるというのか。前向きだ……
「――私、君が思っている以上に、君のこと好きだから」
メルの顔が直視できなくなっていた。こういうのに弱いことを分かってやっているのだ彼女は……
「……う、うるさい」
「あ、顔が赤くなってる……かわいい~自分君~かわいい~すきすき~」
「絶対私を選んだ方が幸せになれると思うよ~気を使わなくていいってだけでお得じゃん!」
確かにメルには気を使わない。だけど……
「ま、まだ考えてる最中だ……」
未だ結論を鈍るだけだ。だって……どちらかを選ぶってことは
「ヘッタレ~」
ごもっともである。




