第100話 勇者。占います。Ⅱ
☆☆☆ジエイミを占え!
よし、占いに入るぞ……魔法で水晶を光らせた。
「話を聞いた限り相手の人物像は、虚勢を張ることが得意であり、弱さを見せたがらない。だから嘘に頼り沢山の相手を巻き込んだ。貴方にも大きな嘘をついていた。違いますか?」
「ど、どうしてそんなことが分かるんですか? 占いって凄い……」
自分のことだしな。さすがのジエイミも驚いているようだ。
あのジエイミの暴走を占いによって変えることが出来るのではないだろうか……やってみる価値はある。
「あなたは意中の相手を理解することから始めないといけません。どうすれば嫌がるのか? どうすれば喜ぶのか? 身勝手な行動を優先しすぎれば必ず恋愛に亀裂が生まれます」
「な、なるほど……でも私はどうすれば」
「この手の動きは……恐らくその相手に力尽くで迫っていますね」
ジエイミの動揺した動作を適当に事実とでっち上げる。これも技術のうち。
「……どうしてそれを!」
知っているからだ。本人だし。
「まず、その行動をやめるべきです。普通に話し合い。デートに誘ってみてはいかがでしょうか、あなたは少し変わった恋愛の価値観をお持ちのようです」
「デート……ですか。でもどういうことをすればいいのか分からないのです……恋愛観に疎くて……」
確かに勇者業が忙しくて、恋愛どころではなかったのだろう。自分のパーティーにいた頃も雑用を押し付けられていたし……あまり役に立ってなかったが。
言われてみればジエイミのことをあまり知らない。ドビーからある程度は聞いているが、親バカモドキの脚色が入っているだろう。
これを気に聞いてみるか。占い師だし。
「占いというのは相手を知ることで更なる答えを得られます。貴方が抱えていること、ため息を吐くのと同じように話してみてはどうですか……? 楽になりますよ?」
ジエイミは自分の過去を語った。
生まれてから勇者に憧れを抱いていたこと。ブイレブ村が滅ぼされたこと。便利屋さんとの冒険。ドビーとの別れ。エクシリオとの出会い。
そして、幼い頃の夢が勇者と結婚をすることらしい。
恐らくその夢は自分と結ばれることに変わり、今の現状になっている。
なんとなくジエイミの人物像が掴めてきた。
「……恐らく恋愛は受け身な方が似合います。控えめな女性は異性にとって支配欲というモノを掻き立てられる時があります」
一般的にだが、ジエイミを支配できるなんて一ミリも想っていない。逆に支配されそうであるのが現状だ。
「デートプランというのはその相手に考えてもらえばよいのです。あなたがやることは一つ。デートに誘うことだけ、そして相手を引き立てさせてあげること」
「相手を引き立てさせる?」
「はい。恐らく一般的な男性の意見としては、彼のエスコートを素直に受け入れることです」
「(自分のデート有利に進めたいからってその助言セコくない?)」
メルに背中を叩かれる。
「(……うるさいよ)」
完全に図星を突かれていた。
「そう、ですか……でもどうやってデートに誘えば……」
「普通に誘えばよいのですよ『デートしてください』その一言だけで大丈夫ですよ!」
「わ、分かりました……あ、ありがとうございました!」
そういうとジエイミは席を立つ。
「私、頑張ります! 占い師さんのおかげで勇気が出ました!」
ジエイミは笑顔になる。やはりかわいい。
「頑張ってください。応援していますよ……」
どの口が言ってるんだか……ジエイミはそのまま去っていく。
よし、これにて占いは終わりだ。デートに戻る……
「(……ぶーぶー)」
メルはローブの中で抱き着いたまま放さなかった。
「メ、メル?」
「私とのデートなのに……なんで他の女のデート手助けしてんの」
ごもっともである。




