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鈍色の封剣士  作者: 沙菩天介
第七章 闇の皇帝と絶望の塔
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第一話 帝の話

 アゼルスは気を利かせて、ジンとイリアを同じ任務に向かわせてくれることが多い。

 なのでジンとイリアは、ほとんど常に一緒にいることができるのだ。


 確かに危険な任務も数多く存在する。

 だがイリアがジンの心の支えとなることで、ジンはどんな困難も乗り越えてきた。

 それこそ、小さい時からずっとだ。


 すでにイリアは、ジンにとって不可欠な存在になっていた。


「そろそろ結婚しないか?」


 ジンはついに、イリアに結婚の話を持ちかけた。


 ずっと彼女と一緒にいたい。

 そんな思いが背中を押したのだ。


 目の前の赤髪の女性は、そっと微笑んだ。

 そして鈍色の世界の中で、ジンとイリアは抱きしめあった。



 ※



 冷たい地下室のベッドの上で、ジンは額に手を当てて俯いていた。

 鈍色の思い出が、ふとした時にジンの脳裏を掠めるからだ。


 そしてベッドの上で睡眠を取れば、イリアがいるはずの現在が必ず夢に出る。


「…」


 いつまでもこうしていてもしかたない。

 ジンにはヴァルタイユを殺すという目的があるのだ。


「『黒炎』は使えねえ…か」


 数日前異能士団に入団したディルセイから聞いたことだ。


 禁属性の剣型を使えば、世界のどこかで死定者が出る。

 それはすなわち、『黒炎』の剣型を使えば無差別に一人殺すことになる。


 このことを知った時、ジンは最初かなりショックだった。

 何故なら、今まで頑張って剣技を出す練習をしていた時も、誰かを殺していたことになるからだ。


 しかしジンには、復讐心があった。

 復讐を為すために、一刻の時間も無駄にはできないと言うことを分かっていた。


 だから無理矢理立ち直ることができたのだ。


 ジンは、すでに取得している二つの剣型『純光』と『流星』を使うしかない。


「上手くやるさ、あいつを殺すためならなんだってやってやる」


 そう言ってジンは、自室を後にした。



 ※



「新入り?」


「ああ、3人来るみてえだ」


 異能士団本部に設けられた談話室で、フィクス、ディルセイ、クロスの3人が会話をしていた。

 談話室には団員がジンとエルド、そしてウァルス以外全員が集まっていて、それぞれが談笑している。


「3人って、相当来ますね。まあ俺が言えたことじゃないですけど」


「確かにそうだな。そこまで異能者が集まるもんでもねえし」


「もしかしたらディルセイやジンのように、異能者じゃない強者もいるのかも」


 エルドが認めるほどの戦闘能力を持つ者であれば、異能者でなくとも入団することができる。

 ヴァルタイユを討つのが最終目的だ。必要な戦力は確保しておきたいのだろう。


 もしかしたら新入りも、その類いかもしれない。


「新入りを連れてきたぞー」


 耳に絡みつくような声が談話室に響き渡り、ウァルスが3人を連れて入室してきた。


 一人は、黒髪を肩まで伸ばした男で、目は海のような色をした青年。

 一人は、水色の髪をハーフアップにした、大人びた印象の女。

 一人は、藍色の髪を目が見えないくらいに伸ばし、おかっぱにした青年。


 その全員が、すでに異能士団の服装に着替えていた。


「んじゃ黒髪のやつから自己紹介」


「…『皇帝』のアレク・ネオプトル。よろしく」


「『女教皇』のエマ・アルバです。よろしくお願いします」


「『教皇』のオーラス・プラーマー。ごめんね、3人ともつまらない挨拶でさ」


「あ、全然大丈夫。これから知っていくんだから」


 困ったように笑うオーラスに、ウァルスは頷いた。


 そして3人を近くの椅子に座らせると、パンと手を叩いて話し始めた。


「さて、こいつらは随分重要な情報を持ってきてくれた。勇者と魔王が過去に起こした行い、各地で出没し混乱を招くアクト・バロピサの目的、そしてヴァルタイユの異能の手がかり…」


 それを聞いて、一同は目を見開いた。


 ヴァルタイユに異能があることは大体判明していた。

 その異能の手がかりが見つかったと言うのはかなり大きい。


「ついでにこいつらのことをよく知るために、こいつらが団員になるまでの話を聞こうじゃないか」


「ジンとか団長は呼ばなくていいのかい?」


 ルフの質問に、ウァルスは呆れたように嘆息した。


「俺も言いに行ったさ。そしたらジンは興味なくて、エルドはすでにこの3人から聞いていたらしい」


 ジンはヴァルタイユへの復讐以外何も考えておらず、エルドは必要な情報だけ抜き取ってやるべきことをする。

 あの二人は本当に相変わらずだ。


「じゃあ話すよ、俺たちが経験してきた旅を」


 気怠げな声でそう言うと、アレクはゆっくりと話し始めた。

《キャラクター紹介》


○ジン・デルフ・エスパーダ

物語の主人公。幼馴染のイリアを殺され、復讐の道を辿る。

イリアとの思い出に囚われ、周囲に攻撃的になっている。

剣型は『黒炎』(主属性:禁、副属性:炎)、戦意解放力は65%


○アレク・ネオプトル

新たに異能士団に入団した、気怠げな青年。

『皇帝』の異能を持つ。


○エマ・アルバ

新たに異能士団に入団した、大人びた印象の女性。

『女教皇』の異能を持つ。


○オーラス・プラーマー

新たに異能士団に入団した、明るい性格の青年。

性格とは違って、前髪は目が隠れる長さのおかっぱにしている。

『教皇』の異能を持つ。

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