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鈍色の封剣士  作者: 沙菩天介
第八章 記憶の囚人と復讐鬼
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第四話 黒い騎士

「今回の魔窟は入り口が5つあるみたいだからチーム分けするぜい」


 魔窟に到着すると、ウァルスが人差し指を天に掲げながらチーム分けを宣言した。


 異能士団のメンバーは、それぞれ特徴的な戦力だ。

 組み合わせがうまくいけばかなり強力になる反面、うまくいかなければ戦力はガクンと落ちる。


 幹部としてのリーダーシップが試される場面だ。


「えー、んじゃディルセイとルフはグループ1。ジン、フィクス、ラーナはグループ2。ホルスとエマがグループ3。アレク、ティリア、オーラスがグループ4。俺、ローズ、クロスがグループ5。レクトとナリムは一緒に魔窟内を一周して、いつでもワープして回復できるようにしてほしい」


 ウァルスのグループ分けに、皆は納得したように頷いた。


 グループ1のディルセイとルフは親友であると言うのは、団員全員が承知している。

 彼らの長年のチームワークで、上手く魔窟を攻略できるだろう。


 グループ2のジン、フィクス、ラーナは、それぞれが個々に強力な剣士だ。

 雑魚の魔物が出てきても、上位魔物が出てきても問題ない、汎用性の高い編成だ。


 グループ3のホルスとエマは前衛後衛のバランスが取れた二人だ。

 短期決戦のホルスを援護できるだけの、最強クラスの射撃能力がエマにはある。


 グループ4のアレク、ティリア、オーラスも、攻守のバランスが取れている。

 魔力解放で特攻し、エルクが道を開く。そして神の刃で魔物をオーラスが一掃する。

 仮に強力な魔物が現れても、ティリアの『正義』で対処できるだろう。


 グループ5はまだ戦力の詳細が不明だが、幹部のウァルスがいる時点で安心だ。


 味方の能力をよく観察できている。

 あの間抜け面から出てきたチーム編成だと考えると、ジンは驚きを隠せなかった。


 そういえば、どの団員が決闘を行うにしても、野次馬で来ていた気がする。

 あれは団員の能力を把握するためだったのだろう。


 正直みくびっていた。

 ウァルスの戦闘をこの目で見たわけではないが、今回の件で彼への安心感がさらに高まった。


「そいじゃ、攻略開始!」


 ウァルスの指示と共に、魔窟攻略作戦が開始された。



 ※



「長い通路だな」


 後頭で腕組みをしながらディルセイは言った。

 十分ほどずっと同じ光景を見ているのはそろそろ飽きてきた頃だ。


「魔窟が火山より大きいなんてことはあり得ない。だからもう少しでトンネルを抜けられるはずだよ。ほら」


 そう言って、ルフは前を指さした。


 見れば、確かに灯りが見える。

 濃密な魔力による光だろうか。


 そんなことを考えながら二人はあかりに向かって歩いた。

 そして信じられない光景を目にした。


「…嘘だろ…?」


 二人が立っている足場の数十メートル下、その巨大な空洞には、見事な街が発展していた。



 ※



「と言うことらしい」


 通信石をしまうと、フィクスは二人に言った。


 ディルセイたちの報告によれば、この魔窟の内部では魔物の文明が発展している。

 おそらく一際濃い魔力濃度のせいだろう。魔物の進化が進み、知性を身につけてしまったのだ。


「これだけ濃度が濃いと、欠片が2個ある可能性も考えられなくはねえな」


「そうね、それだけ強力な魔物もいるかもしれないわ」


 改めて気を引き締め、ジンたちは魔窟を進んでいった。


 周りはトアペトラにある建物のように、鉄のパイプで埋め尽くされている。

 しかしジンたちはそれを見たことがないので、魔物の文明として認識した。


 しばらく歩いていると、ふとフィクスが止まった。


「どうした?」


「静かに。…音が聞こえた」


 そう言われ、ジンとラーナも耳を澄ました。


 足音のようなものが聞こえる。

 しかし革靴ではない。金属の音だ。


 それはゆっくりと近づいて…


「『陽炎プロミネンス』!」


 ラーナの声と共に、騎士の魔物が斬りかかってきた。

 しかし魔物の剣は陽炎によって弾かれ、剣士たちは互いに距離をとった。


「お前、魔物か?」


「…ああ…外の者だな…」


 低く響くような声で魔物は言った。


 やはり知能が発達している。

 まさか人間の言葉を話すとは思わなかったが。


()()を…取りに来たのだろう…。私はそれを守る剣士だ…」


「聖石?ちげえよ、俺たちが取りに来たのは…」


「ジン、多分欠片のことを彼らは聖石と呼んでいるんだ」


 フィクスに言われ、ジンは納得した。


 早い話、この騎士の魔物を倒さなければ欠片の元にはいけないと言うことだ。

 同時に、欠片への道はこっちだと言うことになる。


「いいぜ、やってやるよ」


 拳をパンと掌に打ち付けると、ジンは前へ進み出た。

 それに続いて、フィクスとラーナも剣を引き抜いた。


「…来るか」


 そう呟き、騎士は剣を構えた。


 2mほどある巨大な両手剣だ。

 漆黒の鉄で作られたその剣からは、欠片の影響で濃密な魔力が溢れている。


 やがて3人は顔を引き締め、三方向から攻め込んだ。


「『星屑の剣流(スターダスト)』———ッッッ!!!」

「『雷神・豪剣』———ッッッ!!!」

「『真泡沫』———ッッッ!!!」


 三人の渾身の剣技だ。

 ドラゴンですら、この攻撃に耐えることは容易ではないだろう。


 だが…


「…貧弱」


 その全ての剣技は、魔物の剣によって封殺された。

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