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鈍色の封剣士  作者: 沙菩天介
第八章 記憶の囚人と復讐鬼
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第二話 竜国へ

竜国ドラグニカ?」


 魔窟の場所を聞いて、一同は眉を顰めた。


 竜国ドラグニカは基本ほとんどの場所が橙色の魔力によって照らされていて、『隠者』のワープが使えない。

『隠者』で竜国ドラグニカにワープをしたければ、白竜族の村の影に触れるしかない。


 ワープができないということは、竜国ドラグニカまで旅をしなければならないということだ。

 それも竜国ドラグニカはウエラルドから最も遠い国、馬車で行けば精々一ヶ月はかかるだろう。


「場所はわかったけど、まさか全員で行くつもりじゃ無いでしょうね」


 腕組みをしてラーナは言った。


 確かにエマのおかげで、今はガイナル以外の団員がフリーだ。

 しかし全員で行けば戦力が上がるが、それだけ旅の負担も大きい。


「俺とガイナル以外の全員だ」


 だがエルドは何食わぬ顔でそう言った。


「エスパーダ家とウエラルド家の財力を使えば、騎士団を竜国ドラグニカに派遣するのとなんら変わりはない」


「アンタねえ…異能士団は騎士団と違って公認じゃないのよ」


「国王からの許可はすでに出ている」


「…ならいいけど」


 ラーナが引き下がったのを見てため息をつくと、エルドは踵を返して立ち去ろうとした。


「今日中に出ろ。組織に欠片を奪われないようにしたい」


「「「了解」」」



 ※



「なあなあエマさんよ、バスとか作れねえの?」


「あなたにはバスを作れる素材と時間があるように見えるんですか?」


「そりゃそうか」


 全く、とため息をつくエマに、ディルセイはもう興味なしといった感じで馬車の方へ向かった。


 魔窟は竜国ドラグニカの最奥にある火山の内部にある。

 ウエラルド兵のチェックポイントを少しずつ進みながら竜国ドラグニカに入り、後は非常食を食べて野宿するという形になるらしい。


 移動手段は馬車だ。

 しかし人数が多いので、馬車も四台使う。


 一台目はジン、ホルス、ウァルス、レクト。

 二台目はフィクス、ディルセイ、ルフ。

 三台目はアレク、クロス、オーラス。

 四台目はラーナ、ティリア、ナリム、ローズ、エマだ。


「女の子5人できついだろー、俺らのとこ来いよー!」


「えぇー、ホルスさんとこ誰か行ったら結局5人じゃないですか」


 ナリムにそう言われ、ホルスはキョトンとした。

 どうやら簡単な計算もできないらしい。


「おい、御者はどうする」


「1日ごとに交代にしようか」


「分かった、御者の経験がない奴はいるか?」


 オーラスに言われ、ジンは団員全員を見回した。


 御者の経験は皆あるらしい。


「んじゃ、出発ー」


 ウァルスの掛け声で、4つの馬車は走り出した。



 ※



「つってもこのメンツじゃあな…会話弾まねえよ」


「ホルス、お前俺と同じくらいから異能士団入ったのに、なんで会話弾まないなんて言うんだい」


「だってウァルスお前女興味ねえじゃん」


 ジンとレクトの目の前で、ホルスとウァルスは頭をぽりぽりかきながら言い合いしていた。


「興味ないってわけじゃないぜい、俺にだって女の趣味くらいあるさ」


「ほお、言ってみな」


「言わないね、もうとっくに決別したからな」


 その言葉を聞いて、ホルスはニンマリと笑った。


「あれ、性癖じゃなくて好きな子の話になっちゃってた?まじかー、誰だろうなー」


「…これはしまった」


「でもウァルス、お前の過去に何があったのかは俺も興味あるぞ」


 先ほどまでの会話は全く興味がなかったが、ウァルスが言っていた女性のことは気になる。

 決別した…それは彼が異能士団に来た理由と関係があるのだろうか。


「…なんでもないね」


 だがウァルスは、それを話す気はないようだった。



 ※



「フィクス、君は頭が良いね」


 自分の手にあるジョーカーを見て、ルフは顔を顰めた。


「僕の『審判』を使えば簡単だと思っていたんだが…まさかなんの仕掛けもしてこないとはね」


「あ、お前さんやっぱりズルしてたんだな!おいフィクス、なんか言ってやれ!」


「いやー…僕は別に…」


 フィクス、ディルセイ、ルフは、馬車の中でババ抜きの真っ最中だ。

 ディルセイとしてはテレビゲームをやりたいのだが、どうやらウエラルドの住民にコントローラーの操作は難しいようだった。


「そういえばフィクスはどんな異能なんだ?俺『審判』くらいしか知らないけど」


「説明しにくいけど、簡単に言えば悪魔の能力を借りるってところかな」


 そう言って、フィクスは説明を始めた。


 悪魔の能力は3種類ある。


 一つ目は『力の悪魔アバドン』。

 防御魔法を簡単に破壊できるほどの力を授けてくれる。

 力比べならほとんど誰にも負けないだろう。


 二つ目は『知恵の悪魔ラプラス』。

 あらゆる物体の行動予測が可能。

 飛び道具が飛んで来れば予測線が見え、相手が剣を振ろうとすれば斬撃の範囲が見える。


 三つ目は『愛の悪魔フォルネウス』。

 自分の魔力を回復する事ができ、魔力消費なしで『リカバリー』が使える。


 これらの悪魔の能力は、全て数時間に一度しか使えない。

 だから慎重に技を選択する必要がある。


「でも、縛りあってもその能力最強じゃねえか。『審判』なんて戦闘能力ほとんどねえぞ」


 異能というものは、大体その異能の特徴に合った限定的な能力を持っている。

 しかし『悪魔』は、全く違う方面での能力を三つ持っていることになる。


 使い方を工夫すれば、本当に最強の異能になるかもしれない。


「大丈夫、すでにその糸口は掴んでるから」


 だがフィクスは、すでにディルセイたちの予想の先を行っていたらしい。

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