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第2話

「ひでぇ」

 まず最初に出てきた言葉がそれだった。そしてそれは僕の気持ちであり、これを読んでいる人の気持ちでもあるだろう。

 前回、上の命令で僕はこの物語の主役となり、まずは僕たち自身の設定を考えることになったのだが……いやぁ、酷かった。なんというか、あまりにも適当すぎるというか、もうそれ以前の問題というか。

 この物語はそういう感じだというのが伝わったというので、2話以降も見て損したとならないのだけで存在価値があるだろう。

 とまあ色々と前回のことについて話したけど、たぶんきっと今回も似たような感じになるだろうというのが始まる前からわかる。

「……いや、一応まともになるように頑張るけどね?」


☆001

 ここはどこかにある中高一貫校のとある空き教室。今は僕らが部室と使っているそこには僕と彼女の二人が今日もいた。

「さあ、今日もこの物語について色々と話しましょうか」

「その前に前回言ってた、考えてきた設定とやらを教えてくれないか」

「いいわよ」

 彼女はそういうと色々と書き込まれた一枚の紙を手渡してきた。

「さ、前回も言ったけどそれを元にもう一度導入の部分をやり直すといいわ」

「そういやそんなこと言ってたな」

 前回の酷さのせいでそもそもどういう流れだったのか忘れていたが、個人の設定を考えてからもう一度導入をやり直そうって話だった。

「じゃやるか」

 僕は渡された紙を見ながら準備を始めた。


☆002

朝:自室

《お兄ちゃん起きてっ! 学校に遅れちゃうよ~》

「うーん……」

《もう、お寝坊さんなんだから……早く起きないと、キス、しちゃうぞっ☆》

「マミちゃんキスして~……ぐへへ」

《ホントに、しちゃうからね……ちゅ》

「ふおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 全身に電流が走るような感覚とともに吾輩は飛び起きる。

《おはようっ! お兄ちゃん♡》

「おはようマミちゃーん♡」

《今日も一日頑張ってね!》

「お兄ちゃん頑張るよー」

 お目覚め妹シリーズナンバー6『天使(あまつか)マイ』ちゃんの声によって毎日起こされるこの幸せ。吾輩、これだけで一日分の元気が溢れ出るでござる。

「目覚めはいいがボイスを最後まで聞きたいがゆえに学校には遅刻ギリギリでござるwww」

 そんなことを言いながら支度をし朝ごはんも食べずに家を出る。これが吾輩の一日の始まりでござる。


朝:教室

 時間を進めて現在は1時限目の授業が始まる少し前。教室では皆が友達と楽しそうに喋っている。

 そんな中吾輩はといえば

「ぐふ、ぐふふふ」

 お目覚め妹シリーズのナンバー3『佐戸(さど)レイ』ちゃんのフィギュアを眺めて妄想にふけっていた。

 周りの奴がそんな吾輩を見ながら何やら言っているが、そんなのは関係ない。吾輩はいつでも愛でたい時に愛でたいだけ妹たちを愛でるのだ。

「なあ、アイツキモくね?」

「あれってフィギュアってやつでしょ。あんなの学校に持ってくるとかマジ引くんですけど」

「つーかアイツが学校に来てる時点で引くんだけどw」

「それなwww」

「てかなんで生きてんのって感じwww」

「うわwwwヒデェwww」

「wwwwww」

 なんと言われようが吾輩は愛でることをやめない!!

 そう決意すると同時に始業のチャイムが鳴った。


昼:トイレ

「…………」

 この時間吾輩はいつもトイレに籠っている。別にお腹を壊したとかではなく、むしろお腹に入れるためにここにいる。……まあはっきり言っちゃえば便所飯というやつだ。

「(モグモグ)」

 誰かが使った後なのか、変な臭いがする。最初の頃だったら吐いていたかもしれないけど、今はもう慣れてしまった。

――コンコン

「(モグモグ)」

 扉がノックされた。しかし、吾輩が中にいるというのがバレると明日からここでご飯が食べられなくなってしまう可能性がある。そうすると、もう吾輩はどこでご飯を食べればいいのかという状態になってしまうので、ここは声を出さずにノックしている誰かが立ち去るのを待つのみだ。

――コンコン

「(モグモグ)」

 返事がないんだからさっさと立ち去ればいいのに、またノックされた。

 もちろん吾輩はそれを無視し、そして時間が勿体なのでご飯を食べ続ける。

――コンコン

「……いるんでしょ」

「(モグモグ)」

 今度は声もかけられた。男にしてはだいぶ高い……というかまんま女の声みたいだなと思ったが、ここは男子トイレ。女の訳はないか。

――コンコン

「ちょっと、無視するんじゃないわよ」

「(モグモグ)」

 それにしても、しつこいなコイツ。もしかして、吾輩と誰かを勘違いしてるのか?

 だとしたら面倒くさいな……ま、だからといって吾輩は無視し続けることは変わらないんだが。

――コンコン

――カチャ

「(モグモ……ん?)」

 今ノックの音以外に鍵が開くような音がしたが……まさかな

――ギィィ

「!?」

 扉が目の前でゆっくりと開かれる。

「まったく、手間かけさせるんじゃいわよ」

「え、え?」

 そこにはスカートを穿き髪の毛が長い、まるで女みたいな男が立っている。

「誰が男よ。私は正真正銘の女よ」

「…………」

 何も言えない。頭が追いついてないのだ。

 なぜ男子トイレに女がとか、吾輩になんのようだとか、どうやって鍵を開けたんだとか。そもそもお前は誰なんだよとか。

 色々と言いたいことはあったが

「……出て行って欲しいでござる」

 かろうじて出た言葉はそれだった。

「嫌よ。というか一旦これやめましょ」


☆003

「なによこれ」

「何って言われても」

 とりあえず僕は持っていた弁当箱をその辺に置き

「汚いからトイレの床に食べ物を置くんじゃないわよ」

「じゃあどこに置けばいいんだよ」

「消せばいいじゃない」

 ああ、その手があったか。ということで一旦弁当箱を消し、代わりに渡された紙を出す。

「僕はお前が考えてきた設定通りにやったんだが、途中で入ってくるなよ。お前の出番はまだ先だろ」

「確かに私そう書いたわ。けどそれはツッコミ待ちだったわけで、まさか本当にそれでやられるとは思わなかったわ」

「まあ僕も見たときはこれはねぇだろとは思ったけど、自分で考えるのがめんどかったからこれでもいいかなぁって」

「だいたい二人いたら片方はボケ、片方はツッコミというのが決まりでしょ」

「決まりなのか」

「そして語り手でもあるあなたはツッコミって決まってるのよ」

「決まってるのか」

 そういえばラノベの主人公はツッコミが多いな。

「とりあえず次からは気をつけてよね」

「はぁ」

「じゃ、これが本当の設定だから」

 そう言って紙を渡された。一通り目を通してみたが、どうやら今度はまともなようだ。


☆004

 ジリリリリリリリリリリ

 目覚まし時計の音が鳴り響き、僕を夢の世界から現実の世界へと呼び戻す。

「……もう朝か」

 まだ寝ていたいという体を無理やり起こし、ベッドから降りる。

 そういえば今日は朝から部室に行かないとだったな。そんなことを考えながら俺は制服に着替え、鞄に必要なものを詰めると玄関へと向かう。

「行ってきます」

 そういうが、家族はもう出かけてしまっているようで、なんの反応もなかった。

 ま、いいけど。



 唐突だがここで自己紹介をしておこうと思う。学校に着くまで暇なんだから仕方ない。

 俺の名前は虎馬(とらま)龍兎(りゅうと)。中高一貫校である動植(どうしょく)学園の高等部に通う2年生だ。得意科目もなければ不得意科目もなく、運動神経も悪くはない平均的な男子高校生。友達は数える程しかいないが、それでもクラスで孤立しているとかそういうことは全くない。

 なかなか楽しい学園生活を送っている普通のどこにでもいる高校生。

 ということになっているが、実は俺にはみんなには言っていない秘密がある。その秘密というのが、俺が所属している部活動に関係しているんだけど、それは部室についてから話そうと思う。

「……よし、走るか」

 長い坂を登りきると学校が見えてきた。普段ならそんなことはしないのだが、今は俺以外に周りに人がいないのもあって、俺は学校へと向かって走り出した。


☆005

「あ、もう無理だわ」

「は?」

 僕はシーンを一気に飛ばし、ここはいつもの空き教室。

 僕は適当な席に座ると、だらけた。

「ちょ、ちょっと、せっかく今までで一番まともだったのに急にどうしたのよ」

「ほら、お前も前回言ってたけど、なんか気が乗らねぇ」

「確かに私も前回そうだったけど……」

「今回は僕が乗らねぇんだよぉ」

 全身から力が抜けていき、やる気が失せていくのが分かる。

「一応最低限の設定を盛り込んで導入やったし、もう今回はこのへんで終わらせていいよね?」

「いいわけ無いでしょ! まだ私出てきてないじゃない」

「ほら、トイレで出てきたじゃんか」

「あれはカウントされないわよ。というかまだ今回私の名前出てきてないんだけど、せめてそのくらいはしっかりやってよ」

「えー」

 めんどくさいなぁ。そうは思っても、まあ流石にそれくらいはやっといたほうがいいか。


☆006

 学校につき、階段を登り、俺の所属している部が使っている空き教室の前までたどり着いた。

「おはようございまーす」

 扉を開けて中に入る。

「ちょっと、遅いわよ!」

 するとそこには一人の女子生徒がいた。

「遅いって、これでも一応走ってきたんだが」

「もっと早く、車よりも早く走ってきなさい」

「無茶言うな」

 と言いつつも意外とできないこともないかもな、と心の中で思う。

 一応彼女の紹介もしておこう。彼女は俺と同じくこの部に所属している高等部2年の桜木(さくらぎ)梅花(うめか)。クラスは違うがクラスメイトよりも多く会話している気がするのは、俺の友達が少ないせいか。


☆007

「よしこんだけやればいいな」

「本当に最低限の紹介しかされてないんだけど……」

 梅花がなにか文句言ってくるが、もう限界なのだ。次回頑張るから今回はこの辺で終わらせて欲しい。というか終わらす。

何を書くかは決めずに

気分だけで進めるからこんなことに……


まあ次回も気分で進めちゃうんですけど

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