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「無くしたにしては、おかしいな…俺はお前を知らないし、ここは俺の寝室だ」
「…………」
さっき部屋を見回した時には誰も居なかったはずなのに…どいうことだ?気配が全く感じられなかった…
「まぁ、いい。ちょっと聞きたい事があるんだ、近くに来い」
そう言いながらその美貌の人が何とも気だるげにベッドに腰かけた。何故だかわからないが敵意も感じられないし、第一ここが何処だかわからない。皆と再会するまで、とりあえず大人しくしないと不味いことだけはわかる。ここは間違いなく魔界だからね…
「………顔をよく見せろ…それで、なんのつもりでここに来たんだ?」
「……えっと、ごめんなさい?ここ何処ですか?気が付いたらここに居て、今の自分の状況がわからないのですが…」
近くで改めてその人を見たら、思わず見惚れてしまった。美形は見馴れている筈なのに、彼は別格だった。美しいのに何処か野獣の様な感じもする。綺麗なのにワイルド…ああ、すごく色気があるとも言えるな!金色の髪に紅い瞳…耳が少し尖っていて、彼が人間じゃない事がわかる。着ている服はよく見ればズボンの上にガウンだけだが、さらけだすオーラはまるで王様のよう…
「突然はないだろう。お前は遺跡を通ってきたのだからな。ここへ何しに来た?」
「……好奇心にしたがって?」
最初の目的は遺跡が何なのか知りたいだけだった。知ったら探検したくなったというところか…うん、久しぶりに頭の悪い行動をしたと思うが悔いはない!実際楽しかったしね~…これから楽しいことがあるとは限らないけど…
「……馬鹿なのか?」
「いえ、自由なだけです!」
馬鹿ではないはず!仕事となれば完璧にこなせるもん!何故に私生活でも完璧にしなきゃならん!?めんどくさいわ!
「……………」
いや、そんな憐れみの目で見ないで欲しい。ちょっと泣きそうになってくるじゃないか!
「……あの、私もう行っていいかな?」
「駄目だ。ここに居てもらうぞ。人間がここに来るのも珍しいからな……それに、私に保護してもらった方がいいと思うぞ?」
「…貴方、誰?」
「知りたいか?」
「でなければ聞かない」
彼は気だるげだった瞳を少し細めて聞いてきた。…何だか、寝た子を起こしてしまっている気分なのは何故だろう?
「人間の最大の敵と答えたらわかるか?」
おぉ…何故私は魔王様の寝室に現れたんだ…何てバグだよ!?私はいきなりピンチじゃないか!何で一人だけこんな危険な場所に飛ばされたんだ!?2人を探さなくちゃ!ああ!でもその前に目の前のやつから逃げないとヤバイんじゃね!?心の中では百面相したけど、何とか表情は保てたと思う。
「……魔王様でしたか」
「驚かないのか?」
いえ、めっちゃ驚いていますとも!そして自分の不幸を嘆いています!
「世の中には不思議なこと沢山ありますからね」
って言っているけど、今は本気でどう生き延びようか思っている!っていうかパニクりすぎて何言っているかわかんない!何なの!?
「ははっそうか?娘、名は何という?」
「…ルナだけど」
「ルナか、覚えておこう。俺の名はギルバートだ。お前も覚えておけ」
「はぁ…?」
「よし、お前を今日の宴に連れていこう!丁度珍しい客人が来るはずだからな」
「えっ!?」
「その前に、その貧相な格好はいただけない…匂いは、少し汗くさいな。風呂に入れてあげよう」
っえええええ!?今、幻聴が聞こえた気がする…けれど魔王様はさっきのやる気のなさ何処へいったか、何故か上機嫌で手を繋ぎ何とあっという間にお風呂場に連れていかれました。
「えぇえええ!?」
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