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この世界に来てから非日常というものが日常になっている私だが、進んで面倒事は起こしたくないとずっと思っている。それなのに……
「わーお!怖い顔だねぇ…僕、ゾクゾクしちゃうよ…ふふ」
レインはソルテの忠告も聞かず私を抱っこしたまま悪そうな笑顔をしている。ちなみに先程からちょっとした見世物になっていて、とても居心地が悪い!マジでやめてくれ!
ー「なんだなんだ?喧嘩か?」
ー「おう!なんかあの男の子を巡っての決闘をするらしい!」
ー「あぁ、何て美しいのかしら…」
ー「どちらにも負けて欲しくないわね…あの男の子も羨ましい!」
ー「それよりもあの子大丈夫かねぇ?」
ー「ばーちゃん、どうしたの?」
ー「私は黒い方に勝って欲しい!」
ー「何いっているの?!あの、痛いけな少年が傷ついたら可哀想じゃない!ダメよ!」
ー「いや、それはそれで……うふふふ…ワタクシが看病して家に連れていけるわ…」
ー「あの男の子…何処かで見た気がするんだよなぁ」
ー「そうかぁ?あの子もかなり綺麗な顔をしているぞ?見たら忘れられないと思うが…」
……これはもはや無法地帯だな。はぁ、仕方ない。これ以上は酷くならないだろう…
<ソルテ、攻撃しないで>
<なっ何故だ!?>
やっぱり攻撃するつもりだったのかい!?
<よく考えて、今街中に居て周りには沢山の人間がいる。こんな街中で暴れでもしたら私が困る>
<む…だがその男はルーナを拘束しているではないか!…我が主に無体を強いては生かしてはおけぬ!>
「ふーん…ねぇ、何視線だけで会話してんの?何かムカつく…こっち見て?」
ソルテで念話で話していたらレインに顔を捕まれ無理やり目を合わされた。
「………」
「…ん~」
何がしたいのかわかんない、一応自力で下りられるんだが…問題はレインから"悪い気"を感じないのだ。私を傷つける事はないって何となくわかる。しばし、お互い見つめ合う……
「……おい!それ以上顔を近づけるんじゃない!」
レインはソルテの言葉も聞かず、じーっと私の瞳の中に何かを探すみたいに瞬きもせずに見つめてきた。さすがに無言でお互いに見つめ合うのは気まずい…
「…なに?」
「…いや、びっくりだよ。ここまで覗こうとしても見えないなんて初めてだ…」
「キサマ…!」
「わかったよー。返すからさ♪はい」
レインは何の心境の変化か突然私をソルテに返すことにした。ソルテは慌てて私を抱えたが、お姫様抱っこで恥ずかしい!
「…何のつもりだ?」
「ん~、これ以上騒ぎを起こすとお互い困るでしょう?」
「…そうだな」
うん、やっと気づいてくれたか!
「アル君、今度会ったときは"本来の君"と話がしたいな♪それじゃ、またね~♪」
レインは人混みを掻き分けてサッと何処かに消えていった。
「無事か?!どこも問題はないか?!」
「あ、うん。大丈夫だから下ろしてくれ」
ソルテはゆっくりと私を下ろしてくれ…なかった?……あれ?
「ソルテ?」
「やはりダメだ。このまま帰るぞ」
えぇ…これまだ続くの~?
「えぇ?何でだよー」
「あの男の臭いが付いている…早く帰って落とさねば…」
そこから何を言ってもソルテは聞いてくれなくて、あっという間に秘密基地の屋敷に連れ帰られた。実家に帰らなかっただけでも良しとするか…
「風呂にでも入るがいい。その臭いを落とせ。不愉快だ」
「む、そんな言い方しなくてもいいじゃんか…スンスン…別に臭いなんてしてないと思うけど…」
「我の方がそなたよりずっと鼻がいい。アヤツはそなたに己の魔力の一部を"付けた"のだ。今消したがな」
「…消したのなら大丈夫じゃん!何で洗う必要があるの?意味ないじゃん」
「意味ならあるぞ!ルーナに汚ならしい手で触ったのだ!洗って流すべきだろう!」
「えぇえ…ソルテって意外と潔癖症?」
「何だそれは?」
「ううん、何でもない」
「なら、もう行け」
「はいはい」
仕方なく自分の新しい部屋に入って身体を洗う。今回は風呂場にこの世界に存在しないシャワーを作ることに成功した。ただ、シャワーは私の寝室にしか入れていない。
石鹸も自作のフルーツを使った物を使用し、最後にはやっぱりお風呂に入ってまったり…何だかんだでやっぱりここは至福の時間……
あぁ、気持ちすぎてちょっと眠くなってきたからそろそろ起きなくちゃ…
タオルで身体と濡れた髪の毛を丁寧に乾かして、もういっそ寝ようかと思って持参したパジャマに着替える。
目の前にはふっかふかの気持ち良さそうなベッド…今日は色々と濃い1日だった。折角だしこのまま寝てしまおう。その内ソルテが見に来るだろうけど、何だかとても疲れた。
きっと疲れているから、いい考えも思い浮かばないのだろう……また夢をみないことだけを思ったのに、どうやら世界は私にそんなに優しくないらしい…………
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