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「予定変更だ、ダッシュで目的地に向かうよ!」
この"スーザン"という女とは関わりたくない。何より"私のソルテ"に手を出そうとしていることが気にくわない!
「そうか。わかった」
ソルテは特に問題もなく即座に賛成してくれてよかった。皆にお土産を買ってから行こうかと思っていたけれど、途中で撒けたら買うとしよう。まぁ、適当にお肉とか買えば喜んでくれるだろうし!
「行かせませんわ!私との用事の方が大事ですもの!…エントージャとい家名をご存じで?」
……エントージャ?え、マジか…
「その顔は知っているようね?…逆らったら痛い目見るわよ?」
「…キサマ、我を脅しているのか?」
ゾクッ…うわっ久しぶりにソルテのマジ殺気を感じた!こんなん町中じゃダメだろうに…ってか殺気を向けられている当の本人は気づいてねーし…はぁ。
「エントージャの名前なら知っているよ。ここを取り仕切っているマフィアのファミリーでしょう?」
「そうよ?私の父は組織のボスですのよ!これ以上私に恥を掻かせるのなら…ただではすまないわ!」
はぁ…火に油とはこの事だな。隣でソルテが戦闘態勢に入ったのにまだ気づかないし…余程大事にされて育てられたか、只のバカか…まぁ、どっちでもいいがここで流血沙汰で目立つわけにはいかない。穏便にすませるか…
「あっそ、ならボクからも忠告しよう。ボクたちにこれ以上絡むなら"モルテ様"が黙っていないよ…それを父君に伝えるといい…ソルテ、行こう」
「む、殺ってはダメか?」
「ここではね」
となればここから出来るだけ早く立ち去らなければならない。必要以上に目立ったためこの酒場にしばらく出入りは難しくなりそうだ。
風の力を借りて猛ダッシュで人々を避けながら路地裏に入る。
「へ?な、何ですの!?そんなのは関係ないですわ!必ず見つけ出して泣いて謝らせますから!覚悟しなさい!」
先程の言葉を父親に是非伝えてほしいものね。どんな顔をするのかちょっとだけ興味あるかも。問題はその父親も親バカでこちらに乗り込んできた場合だね…後処理がめんどくさそう。全く…せっかくの楽しい時間が台無しじゃんか!
「…ルーナ?大丈夫か?」
「大丈夫だよー…あと、暫くはルーナじゃなくて"アル"だから~」
「…一つ気になったのだが何故何時も男装しているのだ?」
「………動きやすいから」
「なら、今回会う子達にも性別を隠しているのは何故だ?」
……嫌なところに気がつくなぁ。出来れば触れられたくないんだけど、いずれはバレるだろうしなぁ…
「…それ事態には特に意味はないけど、男子の方が何かと便利だよ。いずれは明かすつもりだけど、それは今じゃない。彼らに私は弱いイメージは植えつきたくないんだよ…」
「ふむ…確かにそうだな…だが、それだけではなかろう?話せないことなのか?」
「相変わらず勘が良くて困るよ…そうだね。それだけじゃない」
私が男装を続ける理由は…
「母上の為…彼女は男子が欲しかったからね。性別は変えられないけど、見た目だけなら似せられるでしょう?只の自己満足だよ」
「……何か複雑な事情があるのはわかった」
「そう…だね…」
こちらの世界に来て初めてぶつけられた母からの強い感情が殺意だった。女の子だた知っていたら産まれる前に殺されていた。他の人みたいに嫌なことは忘れていくなら良かったけれど、あいにくこっちに来てから私の記憶力もハイスペックなものだから忘れられない。
私はどうしようもない人間だと思う…父や兄から、それに屋敷の皆から大事にされているのに…母にもいつか"私"を見て欲しい!いつか私に心から笑って欲しい!でも、今はいい方法が見つからない。出来るところからやるしかない…
だから、せめて彼女が望んだ私に近づく為に男装を始めた……
「る…アル?子供達が居るのはこの屋敷ではないのか?」
「え?あ、う、うん!ごめん、気づかなかった!ありがとう」
今更グダグダ考えても仕方ない…今は楽しいことを思いだそう!
「さぁて、今日からいっぱい楽しむぞ♪ソルテにもビシビシ働いてもらうからね!」
「…我もやるのか」
「もっちろん♪」
「……はぁ。まぁよい、わかった」
朝からトラブルがあったけど、とりあえず…今を楽しもう!
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