102
魔王城に住み始めてもう1ヶ月になるが…
「ギルバート!貴様、いつまでルーナを抱えている!?いい加減放せ!」
今日も天気がいいなぁ…
「ルーナ、この前贈ったドレスいつになったら着るんだ?早く次のを仕立てたいんだ。今夜の夜会では絶対着ろよ?」
……思った以上に平和な毎日を送っていて、魔王様、ギルバートはやたらと世話を焼きたがってソルテ達と喧嘩が絶えない。魔族の領土ではもっと殺伐とした雰囲気をイメージしていたから何だか肩透かしを食らった気分だ。
「我を無視するな!それと貴様が贈ったものなど着せぬわっ!」
「うるせぇな…お前はルーナの親か?…そんなことよりも、今夜も俺の目の届かない所に行くなよ?人間に良い感情を持っている魔族など殆どいないんだ。まぁ、俺の手元にいれば危険はないから心配はいらないが…それとレイン、無言で睨むのやめろ」
「……ッチ」
ギルバートが人間領に進行しないせいか、魔族達は鬱憤が溜まりにたまっている為、定期的に夜会という名ばかりの武道会を開いている。最初こそ宴会らしく始まるけれど、魔族は血気盛んな為、闘うことがメインになっている。何しろ会場が闘技場な時点で私の知っているものと違う。
「前に貰ったものもまだ1度しか着ていないんだけど…というか、明らかに場違いだと思うし部屋に籠りたいんだけど」
「駄目だ」
「えぇ…ならせめて私も大会に出場したいよー…ソルテとレインも出るのに」
「駄目だが…お前の好きな食事を用意させよう。昨日の菓子も気に入っただろう?」
「っぐ…食べ物に罪はない!」
「ルーナ…」「るーちゃん…」
私は決して餌付けされたわけではない!ただ、美味しいもの貰えるのに断るのは勿体ないと思っただけなの!…そんなバカな子を見る目で見ないでくれ。地味に痛い
「っふ…ざまぁねぇな」
そしてギルバートはドヤ顔…
この城で過ごし始めて不思議に思ったのは、人気の無さだ。この城は物凄く大きいのに殆ど他の魔族とすれ違わない。他の皆はちょっと隣の領地に攻めに行っていて、丁度今日帰ってくるからそれに合わせての夜会だ。ギルバートいわく、魔界も一筋縄ではないようで、魔王も他に2人いるらしい。それに関しては新事実過ぎてビックリした。どうやら世界は私が思っていた以上に広いらしい…
今お城に居るのが、魔王様にドグラス、料理長のフェンリルに庭師のヴォン、メイドのアメリア…確かに全員只者ではないが、この大がかりな準備をこの人数だけでこなしている事こそすごいと思う。
折角だから私も参加したかったけれど、今回は初めてだし雰囲気を感じて次回に活かすのも悪くないかもしれない。
「ギル様、今回は城のみんな以外にも他所からお客さんも来るんでしょう?警備とか大丈夫なの?」
「今、何て、呼んだ…?」
「城のみんな以外にもお客さん来るから警備大丈夫なの?」
「そこじゃない、その前だ!」
「ん?ギル様?なんかギルバート様って呼ぶの長いから…ダメ?」
「くっくっく……良いぞ。お前なら許してやる!その代わり、これからはずっとそう呼べよ?」
「はぁ…?わかりました」
長いから略しただけなのに何故かとても喜ばれた。変なの…まぁ、それは置いといて…
「それで?大丈夫なの?」
「なに、問題ない。今回は夜会をすること事態、彼奴等に伝えていないからな!」
「……うん、要するに突然思い付いたってことだね」
この城大丈夫かな…
「昨日戻ってくると連絡が入ったからな、ルーナの歓迎も兼ねて催すと決めた!」
「ありがたいけど、みんな大変じゃない?今更だけど、折角だから私も手伝うよ!」
幸い皆が帰ってくるのは夜の予定だ。それまでは時間があるし、もの作りは得意だから何とかなるだろう。
「…お前が気にすることはないんだがな…まぁ、それで満足するなら行ってきても良い…夜にまた迎えに来る」
そこでやっとギル様は床に下ろしてくれた。何だかんだこの体勢慣れてしまった。
「それなら闘技場に色々と仕掛けをしたいんだけど、いいかな?」
「仕掛け?面白ければ何でも良い。期待してやる」
「ふっふっふ……任せて!参加できない分、張り切っちゃうから!」
さてと、久しぶりにあの子達も呼んで改造建築始めるとするか…
最後まで読んでいただきありがとうございます!ブックマークや評価をしてくれるととても嬉しいです!これからもよろしくお願いします!