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暗闇の中で"彼女"を呼ぶ声がした…


『マクスウェル様…』


ああ、またこの夢か…もう暫く観なかったのに…彼は相変わらず悲痛な声で彼女の名を呼ぶ。


『マクスウェル様、皆が貴女から離れて行っても、私だけは貴女を見捨てたりしない。そして必ず、貴女を取り返します…そう、必ず…例え貴女が望んでいなくとも…』



言葉を聴いただけで背筋が凍るとはこの事を言うのだろう。クロノスにとって彼女は世界の全てだったのだ。無くしたものを取り戻そうとする執念には恐怖すら感じた。


『…っ……』


何時もなら全く反応出来ないのに、今回は僅かだが身体に異変を感じた。


『必ず戻ってきていただきますよ…世界の為なんかではない…』


クロノスの手が"(かのじょ)"の頬を優しく撫でる感触がした。


『私の為に……』


優しく触れられている筈なのに、同時に殺意にも似た感情を向けられている気がしてならない。早く目覚めなければ…



ー……き……だ…ル…!




「ルーナ!起きるんだ!ッチ……黒ノ、コイツに何が起きている!?」


「っく…魔力の暴走だ…はぁ、はぁ…強すぎる!」


「るー、ちゃん…っ…ぁ…」


あれ?夢の中なのにみんなの声が聞こえる…しかも、何だか苦しそう?


「クソッ!仕方ない、こうなったら容赦は出来ないぞ…戻ってこい!ルーナ!」


何かが身体のなかに入ったかと思ったら強い力で引っ張られた!


「っは、ぁ…はぁ、はぁ、はぁ…っ!」


目を開けたら真っ先にギルバートが私の身体を"何か"で貫いているのと、近くでソルテとレインがぐったりとベットの側で息が上がったまま倒れているのが見えた。


「目覚めたか…気分はどうだ?いったい何があったんだ?」


「はぁ、はぁ、その前に、はぁ、まず、これ、抜かないの…っ?」


「あぁ、悪い…だが、もう大丈夫なんだな?」


「うん…もう、大丈夫」


身体のなかの魔力を安定させたら、自然と上がっていた息も正常に戻り、ソルテとレインも身体が楽になったのか直ぐに起き上がった。


「ルー、ナ…身体は大丈夫、か?!」


「っ…るーちゃん、いったい何が、起きたの?」


ギルバートが私の身体に刺していたのは杖だったようで、抜き取っても血は出ていなかった。


「ったく…人騒がせな…眠りながら暴走するやつ初めて見たぞ?夢でも見ていたのか?」


夢…あれは、ただの夢じゃない…前から感じていたけれど、徐々に夢の中の彼女と同化している…私は恐らく彼女の記憶を観ていたのだろう。けれど、最近のは意識がない状態の彼女、マクスウェルの記憶とは言い難い。これは、昔やっていたゲームの"大地の記憶"みたいな物かもしれない。


「不思議な夢を見たの…昔から何度か視るんだけど、今回はあまりにリアルで驚いてしまったみたい。本当にごめんなさい…ソルトとレインも辛い思いさせてごめんね」


「我は気にしてなどいない…ただ、驚いただけだ」


「僕はぁ、改めて、るーちゃんを怒らせると怖いなぁと思っただけだよー♪」


「…ありがと」


そしてごめんね。この疑惑が確信に変わるまで、まだ話せない…


「あー、はいはい。感動的な主従愛を見せてくれているところ悪いけど、俺の存在を忘れるな!だいたい落ち着かせたのは俺だ。ったく…ルーナ、体調がもう大丈夫なら朝食を食べに来い。部屋に用意してある」


ギルバートは話は終わりとばかりに、ひょいっと私を抱えて隣の自分の部屋で昨日と同じ状況になった。食事が終わった頃にはお腹がはちぎれそうだった。ソルテとレインも参戦して私にご飯を食べさせるとかいって、ギルバートと張り合った…









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