たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる(200文字小説:大喜利)
ファンタジーテイストの短編。
200文字小説です。
放浪の旅人だった僕は、国が滅び災禍から逃れた姫を見つけた。
次々と襲いくる追っ手。
僕は力強く半ば強引に、姫の為に敵を倒していく。
僕たちに向けられる悪意が尋常ではない。
そして、疲れた姫が呟いた。
「もう逃げられないわ。私も諦めます」
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「あなたこそ何を言っているの。世界中から狙われているのは、私じゃなくて人里に降りた魔王のあなたなのよ」
200文字小説は、なろうの独特な文化みたいなものですが、短い分オチに気を使いますね。
では、ここからは読者参加型大喜利です。
ラストの一言を変えると、こんなにも世界観からストーリーまで変わってしまう!
■いろは様
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「……もう、そろそろ終わりにしない? 貴方がこの台詞が好きなのは分かるけれど、私もいい加減飽きてきたわ」
おおう、一発目はいろは様からのラストの一言。
なるほど、そもそも魔王ですらないのですが、常に言い続ける放浪の旅人。言われ続ける方ももううんざり、でも一緒にいるなんてまんざら嫌いでもない?
痛い主人公に呆れるヒロイン、みたいな感じですね。
そんなやりとりが垣間見える、ほのぼのストーリーになりました。
■黒夢様
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「貴方にいい忘れていましたね。故郷を焼いたのは私なんです。私は恨まれるべき重罪人なのよ」
なんと急展開! 国を滅ぼしたのはお姫様その人でした!
守られる弱い姫と見せておきながら、実はとんでもない悪女で、しかもかなりの実力者。
放浪の旅人は、単なる露払いだったということでしょうか。
ころっと騙された旅人のこれからが気になります。
■いろは様(二投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「……はい! カット、カットー! ……君ねぇ、筋は良いんだけどパッションが足りないねぇ。もっと情熱が……」
これは、既に世界観がファンタジーではなくいきなり現実に引き戻されました!
劇中劇。お話の中から飛び出してしまうアクロバティックな展開に、度肝抜かれっぱなしです!
なるほど、旅人役の方、まだパッションが足りませんでしたか。
う~ん、公開までまだまだ課題がありそうです。それまでに演技力を鍛えてほしいところですね。
■黒夢様(二投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「ちょっとクサすぎ! さんざん連れ回しといてそれはなくない? もういやだわ。さよなら!」
うわ、亡国の姫様、それはあまり旅人さんが可愛そう!
もしかして、この姫のせいで国が滅んだとか、そんな男を振り回す小悪魔っぷりをいかんなく発揮する才能。
でもそこに旅人は惹かれたのかもしれません。
ついていくか、それともここで別れてしまうか。旅人の甲斐性に未来がかかっています。頑張れ旅人!
少しくらいかっこつけても、許してくれますように。
……もしかして、姫がツンデレという説も!?
■いろは様(三投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「本当? 本当に私だけを見てくれるのね? うふっ、うふふふふ。やっと見つけた……私だけの白馬の王子様……」
キター! 姫、ついに言わせましたな。姫の策士っぷりとその変貌ぶりに、全世界が涙した!
よもや自分がこんなことになるとは思いもしなかったでしょう旅人は、既に自分が毒虫の巣にからめとられていたことに愕然としたことでしょう。
それとも世の旦那さんのごとく、かじられ、食われることもいとわないで、常に搾取される側に立つをよしとするのでしょうか。
■黒夢様(三投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「それは本当? ……ならばお望み通りボロ雑巾のようになるまで使い潰してあげるわ!」
一度は言われたいセリフも、受け手次第では悪魔の契約へのサインに早変わり。
この姫も、真意を隠し通せて最後の一手をもぎ取った口ですね。
旅人さん、敵から逃げるより、姫から逃げてください!
■いろは様(四投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「……掛かったわね! その言葉を待っていたのよ! ……どう? 動けないでしょう? 残念だけど、さようなら……」
出た! 世界中の人が敵! もちろん姫も敵! だって、姫も世界中の人に含まれてしまうから。
姫の手のひら返し。それに気付かない旅人さん哀れ、涙を誘います……。
せめて骨は拾ってあげてください。
■ジェネシス様
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「一体そのセリフを何人の女性に言ったのですかねぇ。できれば教えてほしいのですが」
あら手厳しい! 姫はなんでもお見通し。放浪の旅人とは世をしのぶ仮の姿。渡り鳥はあちらこちらに巣があるのでしょうか。
ちょっとむくれちゃった姫様。命がけの旅も、恋の鞘当ても、すんなりとはいかないでしょう。
■みつながめい様
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
姫は首を横に振ると その可憐な姿を巨大な竜へと変え、黒炎を吐いて全てを焼き払った。
守られたのは 僕だった。
メタモルフォーゼ! なんと、姫はドラゴンの化身でした! 国を滅ぼしたのは姫だった説に、さらに姫はドラゴンだったという驚きの事実が白日の下にさらされました。
もうこうなってしまえば、かよわい人間ごときにはどうしようもないでしょうね。
旅人さんの頑張りは無駄だった?
きっと、ドラゴン形態は長時間維持できないとか、力が弱っている時の姫形態は箸より重いものは持てないくらいの虚弱体質かもしれませんし、これからの関係性が気になるところです。
■刹那玻璃様
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「そんなあんた程度の腕に、守られて喜ぶ私じゃないわ! 邪魔よ! 退きなさい! 私が滅多うちにしてあげるわ!」
おおっと、姫の本性が現れました。やっぱり世間は強い女性を求めているのでしょうか。今まで戦ってきた旅人は、自分よりもきりりとした姫の態度にどう反応しますやら。
守るよりも守られたい、そんな気持ちに変わってしまうでしょうか。
でも、それだったら姫単独行動の方がなにかと都合がいいのでは? それをあえて旅人と一緒にいるとすると、それはすなわち……。
■夕宮 鏡様
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「ですが私の店も再起不能。この寿司屋、手ごわい……。回転寿司の展開力、おそるべし!!」
おふぅ、実は飲食業界の栄枯盛衰を物語っていたとは。コンビニや回転寿司はあちらこちらで見かけます。
そして個人経営のカウンターのお寿司屋さんやレストランが店を閉める。
社会風刺の効いた一作になってしまいました!
※夕宮様のテキストを部分的に変更しています。
■いろは様(五投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「そう言って貰えるのは嬉しいし、貴方には恩があるのだけど……。ご免なさい! 実は、他に好きな人がいるの」
なんと、告白したら速攻断られた感じ!
それでも守ってくれるのか、それとも諦めてしまうのか。旅人の本気度が試されますね!
■いろは様(六投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「えっ、本当に良いの? それじゃあ、遠慮なく頂きま~す。……安心して、痛くない様に食べてあげるから……」
なにをどう食べるのか、そうやって人のいい男をたぶらかしている姫の姿がここに登場してしまうわけですね。
でも、食べちゃあだめですよ、絶対。
■いろは様(七投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「えっと、その……。実は私、男なんです! 小さい時から女の子として育てられて……それでも宜しければ……」
こんなところでのカミングアウト! だがしかし、旅人はそれに対して出した答えが……。それだけでもう一編行けそうな感じですが、その時はなろうでは書けない内容も出てくるかも!?
■ディ様(まとめて七投いただきました。その一投目) 2017/3/11
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「……幾度聞いたでしょう、どれだけ見たことでしょう、貴方の闘う姿に、声に……そのたびにもう、立つことすら辛い体に力が満ちる、気力が沸き上がる……、ついて行きます、何処までも」
姫、陥落! 放浪の旅人も、ついに相思相愛となることができました。駆け落ちのドラマみたいですね。末永くお幸せに。生き延びられたら、ですけど。
■ディ様(二投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「……だからって、見境無いのはバカですか!
仲間になりそうとか、利用できそうとか!
私の策ことごとく潰してどーするんですか!」
恋は盲目なのか、旅人さんは姫の策略をことごとく気がついていない様子。敵を欺くにはまず見方からとは言うものの、味方の旅人さんは欺かれっぱなしですよ。
■ディ様(三投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「……この、この状況でも言いますか! 貴方の力は認めます、ですが! 100万の軍と英雄に囲まれてるんですよ、もう無理ですって!」
逃げているのではなく既に包囲されてしまっている。それも一〇〇万! これはこれからの物語に大きく影響してきますね。
この四面楚歌の状況、玉砕エンドになるのか、真の能力が解放されるのか。この姫の諦めがどう転ぶか楽しみです。
■ディ様(四投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「……だって、もうヤダ! お風呂入れないし。
ご飯もろくに食べてないし! 一週間寝てないし。
布団で寝たいよ、うぇーん」
深層の令嬢、真相は世間知らずだった。箱入り娘は国が滅んでもお構いなし。そりゃあ、あったかい布団でゆっくり眠りたいですよね。
でも滅んだ国の王族ともなると、命の保証は……。どうする姫さん!
そんな姫でも連れて行く意味はあるのか旅人さん!
■ディ様(五投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「……どうして? どうしてなの? 何故折れないの私は……どうすればいいの……何故そこまで私の為にしてくれるの?」
旅人さんの真意は。そこまでする意味は。純粋に姫を想ってのことなのか、それとも何か裏があるのか。世界の破滅に関係するのかしないのか。
まあだいたい関係しないですよね。単なる片想いだとしても、そういうものだと思ってくださいねお姫様。
■ディ様(六投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「……すみません、黙ってましたが、私は魔族のハーフなんです、人の敵なのです、だからもうよいのですよ……」
うわ、姫のカミングアウト。もしかして旅人さんが騙されていた? それとも旅人さんが魔族で、勇者に国を滅ぼされたとか。人間とのハーフなんて認めない、なんて世界なのかもしれません。これまた旅人さんは剣を向ける相手に迷うことになりますでしょうか。
■ディ様(七投目)
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「……えーと、確かに言いました、逃れる事出来たら、私の身も心も捧げると……どうしよう本気なのですね……えっと、確かに悪くはないような必死だし強いし……誇り高い所も、ああ、ど、どどうしよう」
もう姫さん諦めちゃえ! 違う意味で!
追ってに捕まったらそれこそ何をされるか判らないでしょうけど、逃げ延びたとしてそれが幸せかというと、旅人さんの反応が気になります。もしかして、敵に捕まった方がプライドは保てたかも、なんて思うと、姫さん逃げて! 違う意味で!
■カプリコ様 2017/3/12
「何を言う。たとえ世界中の人々が敵になったとしても僕は君を守ってみせる」
「僕だから当然でしょ!」
バッサリ! でも公認キター! 旅人さん実は格好いいこと言っているつもりで、顎でこき使われているっていう悲しい現実。サラリーマンみたいですよね。見返りはきちんとあるのでしょうか、それともこの関係が既にご褒美……?
それだったら後でハイヒールのグリグリが待っているかもしれませんよ。頑張れ旅人さん!
ラストの一言が変わるだけで、こうも背景やキャラが変わってしまう。
短編ならではのどんでん返しになりましたし、200文字と短いのでみなさまの回答と合わせて読み直してくださると、また違った発見があるかと思います。
いろは様、黒夢様、ジェネシス様、みつながめい様、刹那玻璃様、夕宮 鏡様、ディ様、カプリコ様、ありがとうございました。
ご覧の皆様も、あとがきの文字数に余裕がございますので、これぞというものがございましたら、感想欄や活動報告、メッセージなどでお知らせいただければ、加えさせていただきます。
ふるってご参加いただければ幸いです。
それでは、楽しい小説家ライフをお楽しみください。