表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/48

カップル対抗運動会の物語

ゴールデンウィーク編最終回です。

『さあ!早くもトップが帰ってきました』


「零さん。上位16位に入るとは思ってましたが、1位にはなれないと思ってました」


「こっちでは野球部に入ってるんだ。このくらいは余裕だ」


「おおー。それではこの後の競技も期待出来ますね」


「この後どんな競技があるか分かんないけど、精一杯がんばることにするわ」


「零さん……そこは絶対1位になってやる!とかじゃないんですか?」


 若干呆れられている。


「俺は出来ない可能性がある以上は断言しない主義だ」


 俺はドヤ顔で返事をする。


「なんかすごいドヤ顔……なんか腹が立ってきました」


「なんでだよ!?」


 俺はツッコむ。ドヤ顔したくらいでそこまで怒るか普通?

 まあリア充にやられたら即ギレする自信はあるがな。


「それより皆遅くないか?」


「そういえばそうですね……」


 俺達はゴールの方を見る。まだ誰も帰ってこない。


『おおっと!ここで速報が届きました!なんと迷子です!2位以下の人が敷地内で迷子になっています』


 確かに広い学校ではあるが普通迷子になるか?


『またまた新情報!コースの途中で順路を書いた看板が倒れてた模様!そのせいで曲がらなくてはいけない道を真っ直ぐ進んでしまったようです』


 そういえば看板が置いてあったな。俺、地図見ながら走ってたから気づかなかったな。


「それって全員迷子になったのか?」


 俺はゴールにいた審査員の娘に聞いてみる。もし先頭だけ迷子になったのなら運動神経の悪い奴が上位16人に入る確率が高くなるからな。


「はい。どうやらそのようです。ですのでもうしばらくお待ち下さい」


 ちっ全員か。普通に運動神経の良い奴が来る可能性が高くなったな。


「運動神経悪い人が来る確率が減って残念でしたね」


 奏ちゃんには俺の狙いがばれているようだ。別に隠そうともしてないけど。


 それから5分後。ようやく2位の人が来た。

 しかし3位以下の人はまだのようだ。遅いな~暇だな~

 

 結局16人がゴールしたのはそれから15分後のことであった。


『さて、トラブルもありましたがここから本戦を始めたいと思います。本戦はトーナメント方式で行いますので選手の皆さんはくじを引いてください』


 へートーナメントでやるのか……


『それではまずは予選1位通過逢坂君と四ツ原さんのペアから引いてください』


 そうしてくじを引いた結果こうなりました。


 第1試合

 田中君・原さんぺア対南君・橘さんペア


 第2試合

 飯原君・柴崎さんペア対桂木君・沢村さんペア


 第3試合

 藤崎君・姫柊さんペア対安藤君・鈴木さんペア


 第4試合

 俺・奏ちゃんペア対東城君・宮本さんペア


 第5試合

 山田君・浅見さんペア対里見君・佐々木さんペア


 第6試合

 五河君・千斗さんペア対異世界君・大神さんペア


 第7試合

 二次君・羽川さん対旗立君・戸塚さんペア


 第8試合

 遠藤君・伊藤さん対篠原君・夏川さんペア


 うわっ!やっぱり異世界君と大神さんがいる。これは厳しい戦いになりそうだ。


 1回戦は順調に進み第4試合

 種目は玉入れだ。小学生以来だな。


「零さん。玉入れのコツとかないんですか?」


 コツか…確か以前テレビで見たような……


「確か1つずつ投げないで2個を3段か4段にしてバレーのトスみたいに軽く放るらしい。あと籠の真下ではなく近づいて投げるといいらしい」


「なんでそんな雑学知ってるんですか?」


「いや~一時期作家を目指したことがあって、その時にいろんな雑学を覚えたんだ」


 俺達はその玉入れのテクニックを駆使し圧勝した。

 正直相手が可哀想になるくらいの大差だった。


 ともかく俺達は準々決勝にコマを進めた。

 

 ちなみに他の試合は泥試合だったが、さすがというべきかやはりというべきか異世界君と大神さんのペアも圧勝であった。また決勝であたりそうだ。


『さあ!ただいまより準々決勝を行います!』


「「「わぁーーーーー!!」」」


 観客がいつの間にかかなり増えている。歓声がうるさい。

 一昨日はテレビ局の人が、観客を整理していたし撮影中だったから静かだったけど今回はテレビ局いないし観客たくさんだしでかなりうるさくなるだろう。


 俺達は第2試合なので今のうちに勝ち残りを紹介しておこう。


 準々決勝第1試合

 南君・橘さんペア対桂木君・沢村さんペア


 準々決勝第2試合

 安藤君・鈴木さんペア対俺・奏ちゃんペア


 準々決勝第3試合

 里見君・佐々木さんペア対異世界君・大神さんペア


 準々決勝第4試合

 二次君・羽川さんペア対遠藤君・伊藤さんペア

 

 となった。


「零君。あの異世界君と大神さんって何者?」


「わからない。ただ今大会1番の強敵だろうね」


 一昨日戦ったときも強いってことぐらいしかわからなかったしな。

 まずは準々決勝を突破しないとな。


『今大会優勝候補筆頭逢坂君と四ツ原さんの登場だー!』


 俺達って優勝候補筆頭だったの?異世界君とかも圧倒的な戦いやってたようなきがするけど……


『さあ気になる種目は騎馬戦だー!ルールは簡単!彼氏さんが彼女さんを肩車して彼女さんが相手のハチマキを先に取ったほうの勝ち!もちろん騎馬が崩れた時点で失格。彼氏さんによる妨害も失格になるから気を付けて!』


 か、肩車だとー!?マジか……


 や、やるのか?


 俺は奏ちゃんの方を見る。

 あ、メッチャ顔真っ赤になってる。


「零さんと…肩車……えへへ……」


 何事か呟いてるが、何を言っているのか聞こえない。


「奏ちゃん。大丈夫?顔真っ赤だよ?」


「だ、だ、大丈夫ですよ!?絶対優勝するんですから早くしゃがんでください!」


 全然大丈夫そうに見えないんだが……

 俺は奏ちゃんの前にしゃがむ。


 奏ちゃんが俺に肩車されている……

 駄目だ駄目だ。奏ちゃんは既婚者なんだ!!

 意識をするな!心を無にしろ!集中だ!


『それでは双方準備はいいですか?』


 俺と相手の彼氏さんが頷く。


『それでは準々決勝第2試合騎馬戦対決!開始!!』


 ピー!


 笛が吹かれる。


「奏ちゃんいくよ?」


「はい。いつでも構いません」


 よし!いつもの奏ちゃんだ。これならいける!


 俺は相手の騎馬に突っ込む。相手の騎馬は俺を迎え撃とうと迎撃態勢をとるが俺は相手の騎馬の前で急停止する。突っ込んでくると思っていた相手の騎馬はバランスを崩す。

 そこを奏ちゃんが逃さずハチマキを奪う。


『おおーっと!瞬殺!瞬殺です!さすがは優勝候補筆頭!強い!』


「奏ちゃんナイス!」


「当然ですよ!零さんがあんな絶好機チャンス作ってくれたんですからあれはハチマキ奪わなくちゃ」


 俺達は準決勝にコマを進める。優勝まであと2つ。

 準決勝は大丈夫だとして問題は決勝だよな。


『続いて第3試合。こちらも圧倒的な強さで勝ち進んできました。異世界君と大神さんペアでーす!』


 せっかくだし見ていくか。


『種目は卓球です。混合ダブルスの5セットマッチ3セット先取です。1セットは11ポイント制ですがもし10-10になった場合は2点差がつくまでゲームは続きます』


 国際ルールと同じか……


『サーブは2本交代ですが10-10になった場合は1本交代になりますのでご注意ください』


「零さん、これって国際ルールなんですか?」


「そうだよ」


 奏ちゃんの質問に俺は小声で返す。


『今回はルールを少し変えて本来なら彼氏さんと彼女さんで交互に打つのですが特別ルールで、彼氏さん彼女さんどちらが打っていただいてもかまいません。それにサーブも本来自分のコートの右半面から相手側のコートの右半面に打たなくてはいけないのですが、このルールを撤廃してどこに打っていただいてもかまいません』


 だいぶルールを変えてきたな。少しって量じゃねえだろ。


『それでは試合開始!!』


 試合展開はやばかった。あんなことできるのかって思った。

 まさかの3セット連続11-0

 パーフェクト勝利である。

 1セットだけならたまに11-0を見ることはある。

 しかし3セット連続は初めて見た。


 異世界君強すぎだろ。これがチートキャラってやつだよな。


「なんですかアレ。強すぎじゃないですか」


 奏ちゃんもだいたい俺と同じリアクションを見せている。

 あんなのと決勝戦戦わないといけないのか?


 無茶だろ。いくらなんでもそれは!


『さあ準々決勝も終了しいよいよ準決勝!優勝はどのペアが勝ち取るのでしょうか!?』


 俺が驚いている間に第4試合が終わっていた。不憫すぎる。

 あの完全試合見せられたあとの試合とかどんだけいい勝負しててもクソにしか見えなじゃん。


『時間も押してきましたし準決勝に行きましょう。準決勝第1試合ここまで圧倒的に勝ち進んできました逢坂君と四ツ原さんペアー!!続いて堅実に勝ちを取ってきました桂木君と沢村さんペアー!』


 ここはサクッと勝って決勝に備えよう。


『種目はテニスです。1ゲーム4ポイント制。ただし3-3になった場合は2ポイント差がつくまで。6ゲーム先取の1セットマッチで行います』 


 完全に時間短縮にきてるな……

 あれか。予選が相当のタイムロスになったんだな。


『それでは試合開始!!』


 俺と奏ちゃんの息のあった連携で次々とポイントを奪っていく。

 そしてゲーム数5-0のポイント40-15。

 マッチポイントだ。


相手のサーブを奏ちゃんがレシーブする。

 相手が打ち返す。

 ラリーが続くこと10数回、俺達にとって絶好のチャンスボールがきた。

 俺は思いっきりスマッシュを打つ。


 ボールは見事に相手コートにワンバンし飛んでいく。


試合終了ゲームセット勝者ウィナー逢坂・四ツ原ペア!!』


「「「うおおおおお!!」」」


 ものすごい歓声だ。ついに決勝まで登りつめた。

 後は異世界君に勝つだけだ!


 準決勝第2試合のPK対決は異世界君と大神さんペアが二次君と羽川さんのペアを下し決勝進出を決めた。


『さあいよいよこのカップル対抗運動会もラストバトル!決勝戦!逢坂君と四ツ原さんペア対異世界君と大神さんペアです!!』


 いよいよ来たな。この時が!


『両ペア圧倒的な強さで勝ち上がってきました。さあ優勝して我が女学院への切符を手に入れるのはどちらなのでしょうか!?』


 俺と異世界君が向かい合う。


「ねえ君さ。一昨日のクイズ大会で俺達と戦った人?」


「ああ、そうだが」


「ならさ俺達に勝ってくれない?」


 はぁ?いったい何を言い出すんだ?


「どういうことだ?」


「俺さ天照に頼み込まれてこの大会に参加したんだけどさ、女学院に男子1人ってハブられるイメージしか湧かないんだよ」


「それで?」


「君たちが勝ってくれたら俺は女学院に入学しなくて済むでしょ?」


「なら棄権しろよ!?体調が悪いとか言えばできるだろ」


「それができない事情があるんだ」


「どんな事情だよ……」


 どうやら話す気はないらしい。どっちみち勝たなくちゃいけないんだ。


 やってやる!


『決勝戦の種目は障害物競争です!』


 俺が見る限り障害物は二人三脚、パン食い、平均台、借り物の4つか……


『それではいちについて!よ~い!どん!!』


 まずは二人三脚だ。俺はこの勝負借り物で決まるとみている。

 異世界君の八百長まがいのプレーでそこまではほぼ互角のはずだからな。


 その予想は大正解でまったくの同時に借り物のところについた。

 俺はカードを引く。


 『メガネ』


 メガネか……


「零さんメガネです。叫んでください。きっと1人くらい持ってます」


「俺が叫ぶのかよ!?」


「当然じゃないですか。今更何を言ってるんですか?」


 くっそー


「すいませーん!誰かメガネ貸してくれませんか!?」


「あ、僕ので良ければ……」

 

 あ、あの人は二次君だ。


「ありがとうございます」


 俺達はメガネを借りることに成功し、ゴールまでダッシュする。

 異世界君たちもちょうど借りたところのようだ。


 俺達は最後までデットヒートを繰り広げたが最後の最後で異世界君達のスピードが遅くなった。

 おそらくわざとスピードを落としたのだろう。

 俺達はそのままゴールインする。


 八百長を知っているのは異世界君と俺だけだし最後まで競っていたので、観客とかには八百長だとバレる心配はないだろ。


 正直、最後が八百長ってのが釈然としないが、奏ちゃんとの約束は果たしたのだ。

 勝負の後味の悪さは二の次で良い。


「ありがとう。おかげで入学せずにすんだよ。俺は異世界旅人。君は?」


「俺は逢坂零だ」


「零か…良い名だ」


「ありがとよ。次にやるときはお互い全力でだぜ」


「分かった。次は俺も本気でやろう」


 俺と旅人は握手をし再戦を誓い合ったのだった。


 友達が6人に増えました。一気に増えた!


 誰が増えたんだ?

 

 えーと異世界君、奏ちゃん、恵


 えっ恵!?なぜこのタイミングで……


 もしかしたらどっかでバグが発生しているのか。


 明日から学校だし愛さんに聞いてみよう。


 運動能力が5上がりました。コミュ力が5上がりました。

 

次回より再び学校での物語です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ