入学から2週間の物語
「できた…」
俺たちは思わず呟いた。俺たちは完成したそれを見て喜びを分かち合う。
20××年現代社会においてゲーム機というもが急激に減少していった。
なぜかというとパソコンやスマホなどのネットやアプリでゲームができるようになったからだ。
そんな中俺たちはゲーム機でやるゲームをなくさせないためにアニメーション制作やゲーム制作を専門とする学校に通った。そこで高校、大学を合わせ計7年間ゲーム制作の勉強をした。
大学を卒業し同じゲーム制作会社に入社しさらにそこで10年間ゲーム制作をしてきた。そしてついに今日世界初のVRMMOを完成させた。
さすがにパソコンやスマホであっても仮想空間を作ることは不可能だろう。
俺たちは、世界初のVRMMOで試運転をかねて遊んでみることにした。
ゲームの種類はいろいろある。RPG、ギャルゲー、テーブルゲーム、スポーツ、アドベンチャーなどがある。今回はボードゲームで定番の人生ゲームをすることにした。
本当はRPGがやりたかったがクリアに時間がかかるRPGはやめておいた。
プレイするのはこのゲーム制作に関わった7人の男女だ。
まずは俺、逢坂 零だ。
2人目は俺の幼馴染みで同級生の一色 恵。
3人目は俺の親友で二神 翔。
4人目は俺の1つ後輩の三上 颯。
5人目は翔の妹で2つ年下の四ツ原 奏。
6人目はこのゲーム会社の社長である五月雨 快
最後の1人がこのゲームの企画者六角 愛
さっそくプレイを始めることにする。今回は試運転なので高校を入学してから卒業するまでをプレイする。
◇
スタート地点にみんなが現れる。うわーみんな若いな。高校生だから14年前の姿なのか。
「誰から始める?」
俺が聞くと「名字の数字の順番でいいだろう」と翔が言う。
「俺、名字に数字ないんだけど」
「零は名前が数字だろ」
「あ、そうか。なら俺からだな」
俺はサイコロを投げる。4と出た。
俺は4マス進む。『野球部に入部した』と書いてある。
おお、俺の服が野球部のユニフォームになった。
ミッション新入生歓迎試合でホームランを打て。成功すれば3マス進み失敗すれば1マス戻る。
来たなミッション。ホームランを打って3マス進んでやる。
俺は7番らしい。第一打席はライトフライだった。第二打席はツーベースを打った。第三打席で見事にホームランを打つことに成功した。
よっしゃ。俺は3マス進む。運動能力が10あがる。
このゲームには能力がありその能力は大雑把に分けると7つある。まずは先ほど上がっていた運動能力だ。2つ目は学生の本文である学力だ。3つ目は他人からの印象の良さを表した印象力だ。4つ目はお金を表す財力だ。5つ目はコミュニケーション能力を表すコミュ力だ。6つ目は健康を表した元気力だ。最後の1つは仕事効率を表した効率力だ。
専門の技術は能力とはまたべつでこれはスキルという。
全員の初期ステータスは全能力が30でスキルは1つも持っていない。
「次は私ね」
恵はサイコロを思いっきり投げた。3が出る。
恵は3マス進む。『生徒会に入る』と書いてある。
生徒会室に全員移動する。
恵は生徒会の仕事をやっていた。他の6人は他人のミッションを見ることができるようだ。
「なあ、翔。俺のバッティングどうだった」
「零さ、プロ野球選手になれたんじゃないの」
「え、まじで」
「冗談だよ」
ひどっ。そんなことをしている間に恵はミッションを成功させたようで、3マス進んでいる。あのマスは効率力が10上がるマスだ。
「次、翔じゃないのか?」
「おっと。それじゃあ──」
翔はサイコロを投げる。6が出る。
翔は6マス進む。『サッカー部に入部する』と書かれている。
俺たちはサッカーグランドに移動する。そこではサッカーの試合が行われており翔も参加している。しばらく見ていると翔は見事にゴールを決めた。
翔はさらに3マス進む。翔も運動能が上がったようだ。
次は後輩の番だ。サイコロを投げると1だった。うん、どんまい。
後輩が1マス進む。『卓球部に入部する』と書かれている。
今度は体育館に移動する。そこでは卓球部員がラリーをしている。後輩はぜんぜんラリーが続かない。
結局、後輩はミッションを失敗してスタート地点に戻される。あれはきつい。
次は奏だ。奏はサイコロを投げる。8がでる。実はこのサイコロ正十二面体なのだ。いつからサイコロは6面だと錯覚していた。6面だと誰も言っていないだろう。
奏は8マス進む。『チアリーディング部に入部する』と書かれている。奏はチアか。
俺たちはグランドの隅に移動する。隅でやるのか。なんか寂しい感じだな。
しかもチアの練習やってねえしますます寂しい感じだな。
次は社長か。社長はサイコロを投げる。5が出る。
社長は5マス進む。『帰宅部に決める』と書かれている。
帰宅部て、まじでなんもステータス上がらねえ。社長面白え。
最後の1人企画者の愛だ。愛はサイコロを投げる。2がでる。
愛は2マス進む。『アニメーション部に入る』と書かれている。
俺たちは小さな部屋に移動する。そこではたくさんの人がアニメーション制作をしている。
そして愛はステータスこそ上がらなかったがスキル「アニメーション制作」を手にいれた。
これでようやくチュートリアルが終わった。長かった。
ここでステータスを紹介しよう。
俺と翔が運動能力が10上がって後輩と社長それに奏が変化なし、恵は効率力が10上がって愛がスキル「アニメーション制作」を手に入れた。
入った部活は俺は野球部、恵は部活に入らず生徒会だ。翔はサッカー部で後輩は卓球部に社長は帰宅部で愛はアニメーション部だ。
マスは進むほど初期金額が増えるのだ。俺は7マス進んだので7000円だ。恵は6マスで6000円である。翔は9マスだったので9000円になる。後輩は0マスなので所持金0円だ。可哀想。奏は8マスなので8000円だ。社長は5マスなので5000円だ。愛は2マスなので2000だ。
これでようやくゲームスタートだ。
4月10日(木)
俺は野球部に入り歓迎試合で活躍しいきなり1軍に抜擢された。俺はバッティング練習を行う。100本くらい打っていたら先輩にいつまでやってんだと怒られた。印象力が5下がった。運動能力が10上がった。
「難しいな。本物の高校生活みたいだ」
隣のグランドでは翔がサッカーの練習を行っている。
「よし、いいぞ。二神」
翔は印象力上げまくってんな。どうやったらいいんだよ。
4月14日(月)
高校に入学して1週間が経過した。恵は1年生で生徒会に入ったことで注目の的だ。
今日は新入生歓迎会をやるらしい。
まずは生徒会の人による挨拶があった。その後に各クラブによるクラブ紹介がおこなわれた。俺は既に野球部に入部しているのでほとんど寝ていた。
印象力が5減った。またかよ。
4月15日(火)
昨日から引き続き新入生歓迎会だった。昨日のほとんどオリエンテーションの新入生歓迎会ではなく今回は本物の新入生歓迎会だった。
演劇部の演劇に音楽部の演奏、有志団体によるお笑いなどなどたくさんの催し物があった。かなり楽しかった。
印象力が3上がった。やったぜ。
4月17日(木)
クラスないでグループが出来てきた。俺はあぶれてしまった。
俺はその分勉強をやった。
学力が5上がった。
4月20日(日)
今日は近くのショッピングモールにやってきた。そこで同じクラスになった、学校で1、2を争う美少女│桜 美咲に出会った。
「逢坂君。こんなところで会うなんて奇遇だね」
「ちょっとほしい本があってさ」
「どんな本読むの?」
「この小森さん著の『ダンジョンに出会いはあるはずだ』っていうやつなんだけど……」
俺は買ったばかりの本を見せる。
「それ私も持ってるよー。おもしろいよね」
なんと、桜さんも読んでたなんて。超人気作だといっても嬉しいぜ。
この本は現実でライトノベルランキング3位だったからな。買っておいて正解だぜ。まさかこの本のおかげで桜さんとお近づきになれるなんて。
コミュ力が10上がった。やったね。
4月22日(火)
今日はクラスで親睦会をしにカラオケに行った。オタクが多いのかいろんなアニソンが聞けて嬉しかった。特にアニメ化になった旅人さん著の『やはり僕はチートでした』の主題歌を歌った後輩はさすがだと思った。
俺は君しか知らない物語を歌った。かなりの人が知っていたらしくボッチから脱却することに成功した。
コミュ力が5上がった。印象力が5上がった。スキル『歌唱』を手に入れた。
めっちゃステータス上がった。嘘みたい。
4月23日(水)
俺は今日は本屋のバイトの面接に来ている。昨日行ったカラオケでお金を2000円、日曜に買ったラノベで3000円使ったため残金が2000円になってしまったのだ。
「次の方」
俺の番か。緊張してきた。
「失礼します」
俺はドアをノックし返事が返ってきてから扉を開け部屋に入る。
「それでは椅子に腰かけてください」
面接官に言われてから椅子に座る。
「それではいくつか質問しますので、できる範囲で答えてください」
「わかりました」
「まず志望動機を教えてください」
「はい。このバイトに応募したのはお金がなくてバイトをしようと考え本に関係のある仕事に就きたいなと考えたからです」
「次に以前にバイトをやったことはありますか?」
「ありません」
「では何か資格は持っていますか?」
「英検4級と数検3級なら持っています」
「では最後に自分のアピールポイントは?」
「計算が得意です」
「ありがとうございました。結果は一週間以内に送るようにしますので今日はお帰りください」
「ありがとうございました。失礼します」
俺は部屋を出る。あ~緊張した。もうクタクタだな。
早く帰って寝よ。
コミュ力が3上がった。スキル『自己アピール』を手に入れた。
4月26日(土)
今日は部活の練習試合があった。
俺は8番ライトでスタメンだった。
よっしゃって思ったけど今日のスタメン全員1年生じゃん。
第1打席 三回表で1アウトランナー無しで回ってきた。
俺は1ストライク3ボールから強振する。打球はセンターの頭上を越えるツーベースになった。
その後9番、1番が凡退して結局無得点に終わった。
第2打席 五回の表でノーアウト満塁で回ってきた。プレッシャーがやばい。
俺は2ストライク3ボールから先制押し出しのフォアボールを選んだ。
やった。念願の先制点。
その後は1点追加して2-0とした。
第3打席 7回の表2アウトランナー無しで回ってくる。
俺は2ストライク0ボールから空振りをして三振に倒れる。
その後は打席が回ってこず試合は2-0で勝った。
運動能力が5上がった。印象が2上がった。
4月27日(日)
バイトの採用通知がきた。今日からバイトだ。
俺が本の整理をしていると社長がやってきた。
「逢坂君か。久しぶりだね」
「そうですね。社長」
「ここでは同級生なんだ。もっと気軽に呼んでくれ」
「わかった。これからよろしく五月雨君」
「うん。よろしく」
友達が1人に増えました。
「……そういえばそんな機能あったな」
「どうかしたのか?」
「今友達が1人に増えたんだよ」
「ああ~。愛ちゃんがふざけて入れたハーレム機能だね」
「えっ!あれってハーレム機能って名前なの」
「そう。友達と恋人をカウントする機能。現実でハーレムが不可能だからゲームの中くらいはハーレム作れるようにって」
「じゃあ法律も…」
「結婚のとこだけ一夫一妻制から一夫多妻制に変えられてるよ」
初めて知ったぞそんな機能。そうかハーレムが作れるのか。
さすがは愛さんだ。男の願望をゲームに組み込んで売り上げアップを狙うとは。
よしならばハーレムを目指すしかないでしょ。
初投稿作品なんですがいかがでしたか。
更新はできるだけ早くしたいと思っていますが不定期です。
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