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第八話 : ぼくのかんがえたさいじゃくのぶき

気付いたら10万文字超えてました!


次は100、いや50万文字を目指して精進いたします!

 


 結局、おれは文字化けしたステータス・カードを持って外に出てきた。


 あの後、いくら試してもなだめすかしてもムツゴロウさんのように撫でまくってもカードはうんともすんとも言わず、最後まで全力で働こうとしないままだった。


 その諦めの悪いおれを見兼ねたメガネさんが言うには、


「カード自体には冒険者ギルドの銘が彫ってあるから、カードを見せるだけでも身分証明書にはなる」


 との事。

 後は他のギルドにもこれこれこういう人が居る、と伝えておくので、貴方は心配せずに依頼を受けると良い、と言われた。


 なんだかおれ一人のために凄い大事おおごとになってしまった。


 でもおれからはどうしようも無いので、渡りに船と了承して報酬金とカードだけ持ってギルドから脱出したのだ。

 遂に面倒くさくなったとも言う。


 なので、そのままカードの機能を終了させて、ステータス表示を消す。


 そうするとカードは名刺大の金属プレート状態に戻った。


 確かに、よく見れば焼き印のような形で、前面に『Adventurer's Guild』と刻まれている。


 なるほど、冒険者という事は判るわけだ。



 一応の確認は終えたので、周りを見回した。

 エドさんと合流しなければ。


 まあたった今おれは入り口から出てきたばっかりだし、居ないようなら多少脇の方にでも座って待っていようかな。

 いろいろと、貰ったお金とかカードとかカードとか、確認(わるあがき)したいこともあるからな……。


 そうして、ギルドを出た所の通りを見渡してみる。

 その瞬間。



 ふぅっ。



 耳元に息を吹き掛けられた!


「うふああああ!?」


 おれの口から変な声が出た。

 何なんだ!?


 慌てて横に飛び退いて身体を捻り、謎の攻撃から逃げる!


 新手のスタンド使いか!?


 と、そこは足場の悪い段差の上。

 足を滑らせ転び、手すりに頭を強打した。

 かいしんの いちげき!


「ぬぐぉぉおお!」


 後頭部に甚大なダメージが!


 目が、目がチカチカする!


 そこには、ギルドの入り口に海から打ち上げられた魚のように地面にのたうち回る変態がいた。


 くそう、誰だ、こんな不意打ちを仕掛けてくる変態は……!?


 涙目で下手人を見る。


「だ、大丈夫かいヒカリ君!?」


 エドさんだった。







「いやあ、すまなかったね」

「ま、まあ悪気が無かったんなら良いですけど……」


 おれ達は街の西の城壁の方にある、鍛冶屋や金物屋の密集した区域に歩いて来ていた。


 街の人からは『工房通り』と呼ばれており、大抵の金属加工職人や鍛冶ギルドの支部なんかは、ここに集まっているらしい。


 確かに、通りを歩く人を見ていると、結構毛色が違う事が判る。


 中央の大通りでは行商人や買い物に来る老若男女と様々なタイプの人で溢れかえっていたのが、工房通りでは当てはまらないようだ。


 この通りに来ている人は皆ざらっとした作業服や油染みのついた前掛けを着ていたり、物々しい鎧に身を包んでいる。


 今横を駆けていった人なんて、ハチマキ締めて人間程の大きさもあるハンマーを担いでいた。


 なんだかBGMが変わりながら画面上の他の敵をどんどこ吹っ飛ばして画面外に追いやりそうなハンマーだった。


 どう見ても人が持てるサイズじゃないよアレ!


 まあつまり、冒険者や戦士、職人が圧倒的に多いのだ。


 店だって露店を出してる所なんて一つもなく、店舗と一体型になって外にカウンターが出ているか、店のドアが開いているくらいだ。


 必要なら勝手に入って来い、ということなのだろう。その点でも中央通りとは異なっていた。


 中央が賑やか、騒がしさに満ちているとすれば、こちらの工房通りはいかにも質実剛健な空間を構築していた。



 そんな風に考えつつ、後頭部を触る。


 まだ多少ヒリヒリと痛みはするものの、大した傷は残らなさそうだった。


「頭は大丈夫かい? さすろうか?」

「それはちょっと遠慮します」


 手を上下にすっすっと動かしつつこちらに来るエドさんから、やんわりと遠ざかる。

 なにその動き。


 でもこうしてずっと気にかけてくれる辺り、本当に悪気はなく、害そうとしての行動では無いのだろう。


 きっと友人にやるようにお茶目なアクションを取っただけなのだ。

 そして、おれがそれに過剰反応してしまっただけ。


 だから、別におれは気にしてなんか


「ギルドから出てくる君を見つけた途端、嬉しくてこう、ついね?」


 ん?


 なんか不穏な言葉を耳にしたような?


 ………。


 い、いや、気にしないでおこう。


 ちょっと言ってるいみがわからないです。


 世の中には深く立ち入ってはいけない事もある。この半日でよくよく学んだことだ。


「それで、ここが?」

「そうだよ」


 一つの工房の前で立ち止まった。

 扉が閉まっている。


「お店、閉まってません?」

「そんな事ないよ? じゃあ行こうか」


 構わずにさっさとドアを開けてしまうエドさん。良いのかな?


「親方さん、居るかい?」


 おれもエドさんに続いてのそのそと入る。


「お、おお……!」


 中に入ると、棚に無造作に置かれているもの、一まとめに籠に入れられているもの、ショーケースに飾られているもの、……所狭しと武器が並べられていた。


 正にRPGの武器屋のイメージそのままだ。


 ただ、中には見たことも無いような形状の武器もある。


 こいつは凄い!


 なんだかワクワクしてきた!


 そうして剣や立て掛けられた長槍やらをあれこれ見ていると、奥から人がやって来る。


「なんだ、エドの坊っちゃんか」


 そう言う作業服の人は、おれより背が低く、モジャモジャの白髪ヒゲを顔中に立派にたくわえた初老の男性、というかおっさんだった。


 ただし、背の割にガタイが異様に良く、腕がおれの太ももくらいはある。


 あと酒臭い。

 何らかのトラウマが蘇りそうだ。


 だが、この身体の特徴、もしかして。


「ヒカリ君、紹介するよ。

 彼がこの工房の親方、ドワーフのスミドさんだ。良い腕してるんだよ」


 なるほど。

 やっぱりドワーフの方だったか。


 そういや、この世界の人種ってのはどうなってるんだろうか。

 全部一まとめで人間扱いだったり?


 まあ今は聞くタイミングでは無いかな。


 今は武器だ武器。


「ま、親方と言っても工房には彼一人しか居ないけどね」

「余計なお世話だ!

 ……で、今日は坊っちゃんじゃなく、こっちか?」


 ぶっきらぼうにそういって、おれの方を横目で見る。


 取り敢えず、ヒカリと言いますと名乗っておいた。

 おれが言い終わるのを待って、エドさんが続ける。


「彼はここに来たばかりで日が浅くてね。冒険者になったのは良いけど、得物が無くて困っているんだ」

「他のトコ(工房)でも良いじゃねえか」

「まあまあそう言わないでよ、僕がここを薦めて来たんだ」


 少し不機嫌そうにドワーフの親方を、ヨイショする形で金髪の青年がおだてる。

 口開けると余計な事になりそうだから、おれは黙っていよう。


「ここで冒険者の卵にこの工房の優秀な武器を選んで売ったとなれば、更に親方の株も上がるかも知れないよ?」

「ふうむ……」


 親方はしばしの間悩んでから、おれの方を向いた。

 交渉成立のようだ。


「それで親方、おれはどんな武器を使えば良いですかね?」

「どんなのと言われても、判らねえなあ……。おめえ、どっかで戦ったりはまだしてねえか? 経験あったら、そん時の様子を話してみろ」


 経験と言えばヘビと戦ったくらいだ。

 おれは出来る限り詳しく、その時の戦闘を話した。


 ヘビ五体に囲まれたこと。


 木の棒と蹴りとか踏みとかで戦ったこと。


 最終的に二体を撃破し、こちらも疲労困憊になったこと。


 それらの話を感動的に、かつ叙情的に語った。

 まるでそれは一つの壮大な歌、吟遊詩人たちが歌い継ぐ英雄歌であるかのようだった!



 話し終えると、親方は「ふうん……」と厳つい顔をしかめてシンキングタイムに入った。

 おれの英雄伝は鼻息で一蹴された。


 しかし棒で魔物と戦ったなんて、どう考えても正気の沙汰じゃないよね……。


 若気の至りってヤツだったのだろうか。

 まだ数時間も経ってないけど。


 この話のせいで、おめえは木の棒が似合ってるから『ひのきのぼう』でも装備してな! とか言われたらどうしよう。すごく嫌だ。


 実際に木の棒で魔物を撃退してるけど。


 でも木の棒が似合う冒険者ってどうなんだ。


 せめて剣ならどうのつるぎ、いや、欲を言えば更に上のはがねのつるぎが欲しい!


 はがねのつるぎを持った冒険者見習い。

 良い響きじゃないか!


 ひのきのぼうなんでイヤだ!!


 おれは心の底から叫んだ。


「はがねのつるぎください!」

「うわなんだお前!

 もうちっと待て、体格から考えても、重量は軽い方が良いか……?」


 ぶつぶつと呟きつつ、おれの品定めをする親方。


 あかん、親方の心におれの叫びが響いていない!


 うるさいと言われたので、今度は心の底から念じてみた。


(はがねのつるぎください)


「手斧か? いや、もしくは短槍か……」


 残念ながら伝わらなかった。


 真面目に考えてもらっているのでこちらがふざけるのも申し訳ない。

 黙る。


 そして少しの間親方がヒゲを撫でで沈思黙考するのをみていると。


「よし、決まったぞ。やっぱりロングソード、それも初心者だから細身で軽量の物が良いだろうな」

「おお!」

「振りやすい方が良いだろうからな」

「もしかしてはがねのつるぎですか!?」

「なんでそんなに鋼に拘るんだよ!」


 と言って近くの棚から一振りの両刃剣を取る。


 鈍色の鉄剣だ。


 それを親方は無造作にカウンターの上にゴトン、と置いた。


「持って軽く振ってみろ」


 簡単に言うが、こちらはそう軽くは受け取れない。

 少しその剣の質感に手に取ることを逡巡してしまう。


 これは、相手を傷付けるためだけに存在する道具なのだ。


 飾られて並べられていた時とは違い、その事実はおれに意外に重くのしかかってきた。


 ん? 何か引っかかるな。何か忘れてる気がする。


 頭の隅にぼんやりとしこりの様なものを覚えたが、すぐに紛れてしまった。


 まあいいか。

 ど忘れなんてよくあることですよ。


 しかし、こいつが、おれの相棒になるかも知れない武器か……!


 まあ自分が剣を振り回して活躍するシーンなんて考えられないし、そもそも果物包丁以上の刃渡りの刃物なんて持った事も無いけど。


 強いて言えば、高校の体育でやった剣道の竹刀とか?


 いやあれ刃じゃないし。竹だし。


 ただそれでも、おれはこの異世界で生き残るには武器を持つ事は不可欠だ。

 冒険者として活動するうちに、今度は更に強い魔物と遭遇してしまう危険もある。


 もしその時に丸腰だったら、間違いなくおれはこの異国で(物理的な意味で)骨を埋めることになる。


 そんなワケでキミの力が今、必要とされているんだ鉄剣!!


 おれは意を決した。


「よし、行きますよ!」

「おう」


 そう親方に宣言して、目の前の剣をわっしと掴み取る!


 お、見た目以上に重いな、このけ



 その瞬間バチンッと音がして、おれは剣から手を弾かれた。



「あべしっ」


 ついでに反動で吹っ飛び、きりもみ回転して地面にプベァと倒れた。


「ヒカリ君!?」


 エドさんが駆け寄ってきて、助け起こしてくれる。妙に顔が近い。


 結構硬い工房の床は、痛かった。

 だいぶHPが減った気がする……。


 そしてその衝撃で思い出したぞ!


「そうか……『称号』だ……!」


 そうだった。

 おれは『元囚人』の称号を持っていたんだ。


「称号?」


 親方が今のハプニングに呆気を取られて訊く。


 そりゃビックリもするだろう。


 目の前で人が突如回転しながら空を舞ったら、おれだって「……すごい(おとこ)だ」となる。


「いやあ、元囚人って称号のせいで武器が持てなかったのを思い出したんです」

「なに!? 元囚人!?」


 あ、マズい!


「なんだおめえ、囚人だったのか?」


 うっかり喋ってしまったが、これって「過去に犯罪者だった」と告白してるようなものだ!


 どうする!?


 と、突然ピンチに陥るおれと親方の間に割り込んだ人がいた。


 エドさんだ。


「ああ忘れてた、彼はちょっと訳ありなんだよ」

「訳あり?」

「彼は先祖が罪を犯してしまったために一族全員が犯罪者の称号を付けられているんだ。だから、ヒカリ君には何の罪も無いのに、武器を持たせてはならないという、謂わば呪いを掛けられているんだ」

「おいおい、マジかよ……」


 親方が信じられないと言った表情でおれを見る。


 大丈夫、おれも信じられない。

 だって実際違うし。


 というよりいつの間にそんな話になっちゃったんだ!


 そんな表情を浮かべそうになって、エドさんがおれにだけに判るようにウィンクをしたのに気が付いた。


 あっ、そういう事か!


 エドさんはおれを庇ってくれたのだ。

 咄嗟に嘘の設定を言うことで。


 つまり、おれはこの『設定』を使ってこの場を切り抜けなければならない。


「一族郎党に掛けられる呪いとか、そんなモンあるのかよ……」

「えっええ、そうなんですよ。おれの八代前のご先祖さんがちょっとやらかしちゃいましてね」


 でもこれどうなんだ。

 一族全員に掛けられた呪いを持つ末裔ってどうなんだ。


 設定としてはかなりアレじゃないだろうか。


 ……いや、エドさんがわざわざ助け舟を出してくれたのだ、ここは貫き通すべきだろう。


 おれは吹っ切れた。


 鎮まれ俺の右腕! とか言っておいた方が良いだろうか。


「ぐっ、うう! 武器を持ったせいでおれの右腕がっ!!」


 試しに言ってみた。


 ついでに腕に力を込めて、わざとプルプルさせてみる。


「なら武器屋に来る意味ねえだろ」

「それもそうだった!!」


 完膚なきまでの正論だった。


 すぐにプルプルをやめる。

 それからおれは必死に親方に縋り付いた。


「いや、そこを何とか! なんとかおれの武器を見繕って下さいよ!」

「うわ、足に引っ付くな!」

「なんとぞ、武器じゃ無いけど武器な物を私めに頂きとうごじゃります!」

「何だその口調!?」


 あとそんな頓知(とんち)みてえなモン、どこに有るって言うんだよ……、と呆れられた。


 見かねたエドさんが助け舟を出す。


「まあ、もしかしたら剣や斧じゃなくて、一見武器に見えないような物とかはどうかな?

 ほら、これとか」

「……ん?」


 エドさんがこちらに円盤のような物を差し出して来た。

 ドーナツの様な形で、外側が刃物になっている。


「これは、……確かチャクラム、でしたっけ?」

「よく知ってるねヒカリ君。ブーメランの一種だけど、そこまで武器らしく見えないだろう?」


 まあ、元の世界の知識(ゲーム由来)で知ってただけなんだけどね。


 親方を見ると、頷かれた。

 どうやら装備してみても良いようだ。


 受け取る。



「うぼぁー!!」



 突然視界がぐるんぐるん回って地面に叩きつけられた。



「ぐあああって槍が近ーーーい!!」


 武器の入っていた大籠にぶつかり倒し、おれの顔近くの床に槍が落ちてきた!


 あと顔が5センチ大きかったら危なかった。


「やっぱりダメだったかよ……」


 エドさんに助け起こされるおれを見て、親方が呟く。

 ちなみにエドさん、なぜあなたはまた顔が近いんだい? さっきよりも近いよ?


 結局チャクラムも装備出来なかった。


 くそう、でもここまま終わるわけにはいかない。


 おれは立ち上がって、親方に提案した。


 最初言った通り、おれはこれから徒手空拳で生きていくことなんて出来ないのだ。

 そんなのは格ゲーのキャラにでも任せておけばよろしい。


 なんとしても、生き抜くための装備が必要なんだ!


「親方!!」

「うわ!? なんだおめえ、突然キリッとして。……似合わねえなあ」

「失礼な!? ……いやそれは別にどうでも良くて!」


 おれは先ほどの自分の考えを話した。

 話し終えると、親方が頷いた。


「なるほどな。俺もこのまま冒険者のひよっこを武器も持たせず放り出したとなったら、鍛冶屋の名折れってモンだな」

「おお!」

「よし、全部試してみようじゃねえか!」


 それから、おれと親方とさっきから妙に近いエドさんの試練が始まった。







「げふう…………」


「クソ、モーニングスターもダメか……」


 天井に突き刺さったおれを見て、親方が悔しげにぼやく。

 まあおれからは親方見えないけど。


 手を天井に踏ん張り、頭を引き抜いて着地した。すとっと綺麗に着地。


「これがダメとなると、もう後はなんもねえなあ」

「そうですか……」

「ヒカリ君……」


 既に何十種類もの様々な武器を試して見たが、どれも身に付けようとする度におれは弾かれた。


 結局得られたものと言えば、おれの着地が異様に上手くなった位だ。


 もうさっき装備したクサリガマの時なんて、空中で三回転半した上で両足を揃えてポーズまで決めてやった。


 見てた二人もこれには10点評価だった。

 ここ鍛冶屋なのに。


「ヒカリ君、もう体力が危ないよ。今日はここで……」

「ですね……」


 親方もすまねえ、と言った。


 もうおれは装備を諦めるしか無いのか……?


 って、あれ?


「親方、親方」

「なんだ?」

「あそこに転がってるのは?」


 おれは奥の作業場に見える、棒を指差した。


 鉄の棒か。

 でも、木製よりはまだやれるかもしれないよな。


「え、あれで良いのか?」

「……良いんです。もう普通の剣は装備出来そうにありませんからね……」

「……判った。持ってくらあ」


 親方が奥に行ってそれを取ってくる。


「持ってみろ」

「はい」


 ためらいなく手に取った。

 もう吹っ飛ばされても受け身は取れる!


 だが。


 弾き飛ばされることも、反動が起きることも無かった。


 それは、おれの手にしっかりと馴染んだのだ。


「やった……!」


 棒術という格闘術を聞いたことがある。おれはそれをなんとか覚えて、魔物と戦えるようにしよう。


 今日からお前がおれの相棒だ!!

 棒だけに!!


 ……棒だけに!!


 そう決意を込めて、頼もしく得物を見つめる。



 先に三角形が付いていた。



「……えっ」


 三角形は棒と同じ鉄で出来ていて、平たく広がっている。しかも、平板は少し内側に反り返っていた。


 例えるならこう……。


「ボウズ」

「……何でしょうか」


「それ、シャベルだ」






 おれの武器がシャベルに決まった。




ご意見ご感想お待ちしております!


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