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母親

信じられなかった。

戸籍上に妹も弟もいないなんて。

「どういうこと?説明してくれるんだよね?」

「…お金がかかるの。子供がいると。だから、死亡届け出しただけよ…。」

死亡届けを出しただけ?

母さんは何を言ってるんだ?

「遊星と埼は…生きてんだぞ?」

声が掠れる。

「わかってるよ?そんなこと。だけどお金がないんだもん。仕方ないでしょ?」

「…仕方ないって…。子供を学校へ行かせるのは親の義務だろ?」

「義務なんて言ってもお金を出すのは私なの!国は出してくれないの。」

「……」

あきれる。

母さんが頑張ってくれてるのはわかる。

だけど、自分の子供の死亡届けを出した?

これから遊星と埼は学校にも行けないし、ずっとこの世にいない扱いってことかよ。

「だったらなんで産んだんだよ…」

生まれてきて欲しくないわけじゃない。

そりゃ、飯の分け前も減ったし、面倒を見るのは大変だけど、でも可愛い弟と妹だ。

もちろん母さんだって2人を愛してないわけじゃないだろう。

そう思ったのに、母さんの口から出たのは冷たい言葉だった。

「だって堕ろすのってすごいお金かかるんだよ?産むしかなかったのー。仕方なかったの!」

どうしてそんなことができるんだろう。

どうしてそんなことが言えるんだろう。

俺もそうだったのかな?

俺も、妊娠して、堕ろす金もなくて、仕方なく産んだの?

「サイテーだな。」

それだけ吐き捨てて俺は音を立てて扉をしめて部屋に入っていった。

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