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俺の家族。

「誰も知らない」という映画を見て触発されました。理不尽に呑まれるかわいそうな男の子が書きたくて。設定みたいなのが誰も知らないと酷似していると思うので、問題があれば言ってくださると助かります。


俺の母さんは、俗にいうビッチ。

自分に少しでも好意を向けてる男ならすぐに股を開く。

避妊なんてものもしない。

だから俺の弟も妹も「種違い」ってやつらしい。

父親が違う。

妹が3人と弟が1人の5人兄弟。

俺は長男でもうすぐ中学2年生になる。

長女の妹はもうすぐ小5で次女の妹は小1になる。

末っ子の妹と弟は双子でもうすぐ4歳。

弟がお兄ちゃん。

まだまだ下の2人は小さい。

それなのに母さんは帰ってくるのは夜中だし、目を覚ますのは夕方で、飯も作らないし掃除もしない。

そのうえ、一番下の妹――みさきと、弟――遊星ゆうせいはもう幼稚園にかよう年齢なのにその手続きとかをしている素振りを見せない。

「遊星と埼幼稚園行かすよね?」

口紅を塗りながら鏡越しにもこっちを見ようとしない母さんに問いかける。

「んー?幼稚園は行かなくても大丈夫でしょー」

「大丈夫じゃねえよ。行かせないでどうするんだよ。」

「だって誰が送り迎えするの?」

「母さんがすればいいじゃん。」

もっともらしい言い訳をつける母さんには本当にイライラする。

「私朝方まで仕事なんだよ?そんなこともわからない?」

「そんなのしらないよ。」

「なによ!お母さんだって頑張ってるんだからね!誰のために働いてると思ってるの?」

「・・・」

『そんなこと思うくらいなら産まなきゃよかっただろ?』いつもその言葉がのどにつっかえて出てこない。

言ってはいけない言葉だってわかってるから。

母さんが頑張ってるのはわかってる。

母さんだって1人の人間で、食事もするし、寝るし、好きなことしたいのはわかってる。

だけど、家事もしない、男にだらしなくて子供ができてもろくに面倒を見ない。

そんな母さんを見てると本当にイライラする。



俺はちゃんと母さんと父さんに可愛がられて育った気がする。

小学校に入って、母さんの浮気が父さんにバレて離婚。

それから父さんには会っていない。

浮気相手の子供――長女の杏姫あきが生まれて、その時はまだ楽しい家族だった気がする。

だけど次女――稲華いちかの妊娠が分かってからは違った。

杏姫の父親と分かれてすぐ付き合い始めたのが稲華の父親。

最初の方は泊まりに来たりするくらいだったのに、そのうち居座るようになった。


俺達が寝てもいないような時間でも、部屋から母さんの下品で淫らな声が聞こえたり、リビングで稲華の父親が母さんの胸をしゃぶり初めて、出かけて来いとか言われて家を追い出された記憶がある。

妊娠が発覚した途端、男の態度が豹変。

2人はもめるようになった。

今思えば産むなとかそういう話だったんだろう。

結局母さんは稲華を産んだ。

そして男は逃げた。

ありがちな話だけど、母さんにとってはショックだったのか、家にいてもお酒ばっかり飲んで、出かけたと思ったら明け方に酔いつぶれて帰ってくるようになった。

多分あの頃、仕事はしていなかったと思う。

稲華の育児を放棄して飲んだくれの母さんの変わりに、俺が粉ミルクを飲ませ、おむつを変え、学校は休んだ。

そんな生活が1ヶ月くらい続いた頃、また新しい男ができた。

「今度の人はね、優しくて紳士で、ままを幸せにしてくれるんだよ。」そう言って母さんは笑っていた気がする。

不安定な母親を支えて欲しくて、俺も母さんを応援した。

新しい男は、デートの度に家まで送り迎えしてくれる、たしかに優しい人だった。

「お母さん少し借りるね。さみしい思いさせてごめんね。」そう言ってデートへ出かけ、帰ってくると「お母さん返すね。ありがとう。」と言ってお土産を渡してくれた。

前の男のように俺達の家で盛ったりもしなかったし、俺達のことを思ってくれて、本当に優しい人だった。


付き合って半年くらいで双子の妊娠が発覚。

結婚することになった。

母さんは親と絶縁状態だったから、結婚式は挙げなかったけど、相手の親と対面して、すごく優しい人達だった記憶がある。

だけど2人が産まれた頃、妊娠が発覚した頃に母さんが浮気していたことが判明。

DNA検査で、遊星と埼が浮気相手の男だとわかって、あっけなく離婚。

慰謝料は請求しなかった。

結婚して仕事をしていなくて金がなかった母さんは浮気相手に養育費を請求したけど、逃げられ、生活保護を受けて生活した。

生まれ育ったマンションを離れ、ボロアパートへ引越して、平和だった生活がまた荒れた。

それから今日まで、男を作っては捨てられ、浮気をして別れて、を繰り返しながらも兄弟は増えずにいる。

もう少し、母さんがしっかりしてくれていたら…。

何度思っただろう。


「稲華はちゃんと学校通わせるんだよね?」

もうすぐ小学生になる次女の入学手続きをしている気配もない。

「…稲華学校行きたくないんじゃないー?」

「はぁ?そんなわけないじゃん。稲華いつも外出たいって言ってるよ?」

「…もう。奏多そうたうるさい。本当にお父さんそっくりだね。」

知らねえよ。

「そもそもさ、なんで稲華と遊星達は外に出ちゃいけないの?」

「うるさいってば。稲華が学校行ったら遊星達の面倒誰が見るの?」

「うるさいってなんだよ。ていうか、答えてよ。せめて夕方俺が帰ってきたら公園連れて行きたいし。なんで外出ちゃだめなの?」

「……。」

ずっと気になっていた。

まさか、とは思うけど流石にそんなはずはないと思い続けた。

「…あいつらの戸籍ちゃんとあるよね?」

嫌な間が流れる。

なのに母さんは何も答えなかった。

「…お金ないし、仕方なかったの。」

あるよって言ってほしかった。


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