表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/30

プロローグ

 目の前が真っ暗になる……という経験はあるようでそうないと思う。


 産婦人科の診察室で診察台に寝かされたあたしはエコーを見ながら祈る気持ちで先生の言葉を聞いていた。だけど……無情にも先生の言葉はあたしの願うものではなかった。

稽留流産(けいりゅうりゅうざん)』……つまりお腹の中で赤ちゃんが生きていない状態であるという診断だった。


 この場合、数日後には自然に流れて出てくるのを待つらしい。

 診察室を出て、何が何だか分からないまま自宅に帰り、こたつにうずくまっていると……お腹が痛くなってきて……。


 そう。

 あたしは流産した。

 子供がほしくてほしくて……。


 結婚して5年目に、ようやく授かった子供だったが、妊娠4か月で流産してしまった。

 新婚の4年前には母を亡くし、後を追うように父も1年前に逝ってしまった。

 

 あたしも……夫である吉希(よしき)も……この日は落ち込んでしまい言葉もでなかった。

 その日、あたしは目の前が真っ暗になるということはこういうことを言うのだと思い知らされた。

 『なんであたしにばかりこんなことが起きるのか……』という何とも言えない気持ちと泣き出したくなるような悲しい気持ちとが入り混じって何が何だかわからない……それが目の前が真っ暗になるということなんだ、ということをあたしは絶望と共に感じていた……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ