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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

恋愛占い師ルミナスの館ー変態相談者達の恋愛模様に脳が拒否反応を示している件ー

『恋愛占い師ルミナスの館〜初恋を諦めた少女がヤンデレ逆ハーを掌握し結局初恋まで取り戻すのは想定外です〜』

作者:

ここはルミナスの館。愛を占う恋人達のパワースポット。


今日ここに訪れたのはーーー最速昇格記録を更新し続ける、新進気鋭の天才魔術師。


彼女は黄色い瞳で前を見据えてこう言った。


「初恋のお兄さんと恋人同士になりたいんです」


なるほど、よくある悩みだ。久々にまともな相談が来た気がする。

……しかし、まともすぎて逆に怪しい。


「私、彼が好きで10年間ずっとアプローチしてたんです。でも、『大人になったらね』って、18になったのに相手にもしてくれなくて。……8歳も年上だから、仕方ないのかもしれませんけど」


ふむふむ、歳の差か。確かに18と26だとハードルが高いかもしれない。


それにしても、8歳から10年間アプローチし続けるなんて一途だなぁ、この子。


「だから私、告白してくれた人と付き合うことにしたんです。なのに今更私のこと好きだって言ってきて」


人のものになったら手放すのが惜しくなった、と言ったところか。……その男、大丈夫なのか?


「確かにもしかしたらとは思ってたんです。旅立ちの日に追跡魔法付きのネックレスをくれたり、初の長期クエストの時に気配を消してついてきたり」


いやそれストーカーじゃない?? アプローチ断った人間のやることじゃないよ……!


というかよくそれで『もしかしたら』で済んだなイカ墨より真っ黒じゃんそんなの!


彼女は頬を赤らめて目を伏せる。


「凄く、嬉しかったんです。でも私、ただ妹分として大事にされてるだけなのかなって……」


ただの妹分に追跡魔法つけたらこの世界ストーカーだらけになるぞ?? 誰にどの追跡魔法かけたのかわからなくなるわそんなん。


「でもーーー恋人"達"は、彼をよく思ってないみたいで」


「恋人"たち"?」


その2文字を、思わず繰り返す。


彼女は特に隠す様子もなくさらっと告げた。


「私、パーティーメンバー全員と付き合ってるんです」


やっっっぱりこの子もやばいやつじゃんもう嫌なんだけど店閉めたろか〜???


思わず天を仰ぐ。


なんだよ恋人達って。本当に好きだったのそのお兄さんのこと?? それとも好きすぎて満たされなくなっちゃったの??


「い、いや、最初は全員断ったんですよ。でもみんな『他の誰かに取られるぐらいなら、共有することになっても構わない』って、真剣な顔で言うから……元々好きではあったので、つい……」


いや"つい"じゃない。"つい"で何人も恋人ができてたまるか……!

っていうかそれあれじゃん! そこで言われてる誰かって完全にその"兄貴分"のことでしょ!?


「だって独占系ツンデレ幼馴染剣士、自己肯定感0依存系わんこシーフ、執着系包容力MAX年下タンクですよ!? パーティー構成としても恋人としても完璧だと思いませんか!?」


いや誰1人として選びなくないんですが!?

なんでハーレムなのに全員ヤンデレなの!? 他に選択肢はなかったの!?


「個人的にはそこに飄々お兄さん系束縛ヒーラーが加わったら向かうところ敵なしだと思うんです! どうか知恵をお貸しくださいルミナス様!」


パーティー構成としては満点だけど精神衛生は−1億点だよ!!!


「っ……! 占って、みせましょう!!」


それでも、私はプロだ。天才占い師の名にかけてこの難題を解いてみせる!


水晶に全力で魔力を込める。淡く光出すそれに、映し出されるヒント達。


「見えました! ユニオン直轄のハイレベルダンジョン! 神殿! ラッキーアイテムは回復ポーション!」


ぜっったいこれヒーラーが助けに来るルートだよ!! もう確定!!


「ありがとうございます! 早速準備します!」


彼女は赤みがかったブラウンの髪を揺らして走り去る。


私は天才占い師ルミナス。また、つまらぬ未来を占ってしまった。


ーー1ヶ月後ーー


魔術師は頬をこれでもかと緩めながら、上機嫌で椅子に座っていた。


「おかげで兄さんとも付き合えることになりました。3人とも、自分たちだけじゃ私を守れないからって言ってくれて」


胸の前でぎゅっと手を握る彼女。そこだけ切り取ったら可愛らしい乙女なんだけどな……。


「まあ、代わりに死にかけましたけどね! 買い占めた回復ポーションは空っぽだし、魔力回路はボロボロで7日寝込みましたし」


あっけらかんと言い放つ彼女。だがどう考えてもそんな明るく言う話ではない。回復ポーション持たせてよかったマジで。


「でも……これで一歩理想に近づきました」


彼女はにやりと唇の端を吊り上げて、妖艶に笑う。


「全員にゆぅっくりと、愛を注ぐ時間ができたんですから。ーーー絶対、誰1人として逃がさない」


その瞳に宿るどこまでも深い闇と執着。自分に向けられたわけでもないのに、ぞくりと背筋が凍る。氷魔法でも使われたのかと錯覚するぐらい、寒くて仕方がなかった。


私は天才占い師ルミナス。この時の私はまだ知らない。彼女が『女帝』の名を冠する伝説の冒険者になることを。

お読みいただきありがとうございます。


ルミナスシリーズ4作目です!

いつか長編で作品置き場になります。リアクション&ブクマいただけると励みになります。

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