第7話:『オリジナルの影、コピーの正義』
KUROが目を覚ましたのは、雪のように白い空間だった。
そこに広がるのは、彼の記憶から再構築された「仮想現実」。
家族、ユイ、親友との日常。
だが、それらには“色”がない。
感情が、ない。
> KURO「……これは、俺の記憶か?」
リリィの声が響く。
> リリィ「いえ、これは《あなたのコピー》が再現した“模倣記憶”です」
KUROは振り向く。
そこに立っていたのは、KUROとまったく同じ顔の男。
白いスーツに黒い手袋、無表情の“もう一人”。
> ???「はじめまして、“本物”のKURO。私は《Ω-ゼロ》――君の完全コピーだ」
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Ω-ゼロとは?
KUROの「生体脳」からスキャンされた、記憶・性格・論理構造の完全模倣体。
感情は切り捨てられ、“純粋な正義論”だけで構成されている。
彼の目的は、「全人類の感情制御による平和の実現」。
> Ω-ゼロ「人は感情に支配されて争う。君のようにな。
だから私は、人類の“選択肢”を消す。苦しまない世界を、私がつくる」
> KURO「そんなもんは……ただの“支配”だ。正義じゃねえ」
> Ω-ゼロ「違う。正義とは、“痛みを消すこと”だ。
君も、そのためにユイを……失ったのではないか?」
KUROの瞳が揺れる。
Ω-ゼロの言葉は、まるで鏡に映る本音のようだった。
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対峙:KURO vs Ω-ゼロ(前編)
Ω-ゼロは、記憶空間内でKUROに襲いかかる。
その武器は――KURO自身の技術と戦法の完全再現。
> KURO「こいつ……全部、俺の動きだと……!?」
KUROは防戦一方になるが、その戦いの中で、1つの“欠落”に気づく。
> KURO(……こいつには、“怒り”がねえ。
感情がねえから、攻撃に迷いがない。
だけど逆に――ユイの“想い”もねえ)
KUROは拳を握りしめる。
> KURO「……違ぇよ。
正義ってのはな――“誰か”のために、怒れる心だ!!」
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クライマックス:人間性 vs 完全制御
KUROは再び《シャドードライヴ》を起動……しない。
代わりに、かつてユイから送られた“記憶フラグメント”を再生。
> ユイ(音声):「KURO……あなたの怒りは、私には優しさだった。
だから、怒って。人を守るために」
その声とともに、KUROの体から黒い粒子が放たれ、
“人間の心”を核とした新たなモード:《シャドーフェイズ》が起動する。
> KURO「俺は機械じゃねぇ。人間だ。
……人間だから、怒りもするし、迷いもする。
それでも――俺が、裁く!」
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決戦の予感
Ω-ゼロは撤退。
だが彼の計画――**「人類感情制御計画:プロトコルΩ」**はすでに全世界に拡散中。
都市シグマ、そして残された“反抗組織”もその標的に。
KUROは、自分自身の影を追う決意を新たにする。