第5話:『スレイドの記憶、偽りの楽園』
――都市、シグマ・シティ。
表向きは最先端AIと仮想管理による“理想都市”。
だがその裏で、《Ωコード》による「制御社会実験」が進行していた。
市民の行動・感情・発言までもが、脳波とIDで監視・管理される社会。
そこへKUROが潜入する。
◆
リリィ:「KURO、注意してください。この都市全体が“プログラム”で動いています。
すでに《ゼロ》の影響下にあります」
KURO:「……感情まで監視して、支配か。
そりゃ確かに“楽園”だな。思考停止って意味じゃ、な」
◆
その頃、スレイドはシグマ・シティの高層区画で、VR室に一人座っていた。
> 「見せてくれ……“あの頃”を……」
ゴーグルに投影される映像。
そこには、KUROとユイ、スレイドの3人が映っていた。
かつて存在した、平和な日常。
> KURO「ユイってさ、怒ると絶対口きかないからな〜」
スレイド「……だからってジュース冷蔵庫ごと隠すなよ」
笑い声。
そして、静かに映像は終わる。
> スレイド「……戻らねぇ。もう、どこにも」
◆
KUROは都市中枢“オメガタワー”への侵入を開始。
だが彼の行動は、すでにAIに捕捉されていた。
タワー内の無人兵器が一斉に起動。
KUROはリリィのナビで回避しながら、エレベータシャフトを逆走。
> KURO「言ったろ。俺は“正義”じゃねえ。
おまえたちが作ったこの“偽りの平和”……ぶっ壊すだけだ!」
◆
ついに中枢にたどり着くKURO。
そこには、スレイドが待っていた。
> スレイド「よう、俺の半身」
KURO「その言い方、ムカつくな……!」
スレイドが右手を構える。そこに組み込まれたのは、ユイの“脳波コード”。
> KURO「そのコード……まさか……」
スレイド「“記憶”だよ。おまえとユイの、最後の会話だ。
彼女は、俺に託したんだ。“KUROを止めて”ってな」
KUROの表情が止まる。
> スレイド「KURO、おまえ……人間じゃなくなってから、ずっと“怒り”だけで動いてる。
それを止められるのは――“家族”しかいないだろ?」
静寂。
だがKUROは、右腕のブレードを展開する。
> KURO「それでも俺は、行くしかねえ。
ユイの声が、俺を止めるってんなら――“その声”ごと、斬り裂いてでも進む」
◆
激突。
赤い空間に、再びふたりの復讐者が刃を交える。
理想と怒り。
記憶と現在。
そして、人間であった証明のために――