16滴目 長時間労働
生糸公立高校。誰もが知る超エリート高校だ。校則はほとんどなし、強いて言うなら犯罪をしないこと。それでもこの高校は授業中にスマホをいじらないし常にみんなはテストで90点代をとる。
だが、どれだけ頭が良くても武器や戦闘経験がなければ強い敵に敵わない。
南斗たちは、裏門から学校に入った。ここはさっき消え去ったと言われているが、悪血の存在は確認されていなく、まだ被害は起こっていないらしい。そして今は11時、まだ残っている教員や生徒はいる。その人達を助ければ南斗たちの任務は終了だ。
「こっちから入って悪血を背後から殺してモテモテ作戦だ」
「さすがにモテようとするのはうちでも引く……………………」
「嘘だ。俺は真っ当な恋愛をする気だ。でも背後から殺すのは本当だから、タイミングを合わせるぞ」
「…むっ!!」
真理が唐突に変な声を上げた。
「ねぇ、この臭いさ…………まさかだけど、アレ?」
真理が言った"この臭い"というのは、表現するなら死人の血のような臭いだ。要するにブラッドニウムだ。ということはもうこの高校にいるということだ。
「…準備しろ」
「あいあいさー」
裏門を通り校庭のほうに向かうと薄赤色の煙が舞っており、煙が消えると生徒と教員、そして明らかに場違いな格好をしている奴が確認できた。場違いな奴はサブマシンガンとピストルを持っており、近距離から中距離はいける構成だった。
「もしもし、あいつ目がソレ、確実に悪血」
修炎と琴葉は電話をしながら正門から校庭を覗いている。裏門と正門どちらも今塞がっている状態だ。
「分かった。いいか、再確認になるが俺が銃をあいつの頭を撃つ。それで仕留めれるのがベストだが、もし生きていたら俺がヘイトを買った形になるから、あいつがこっちを向いているときにお前らは不意打ちだ。いくぞ!」
「わかった!氷野くんいけいけぇ~!」 ブチッ
「お前らぁぁ!いいか?よく聞け!俺らは変血を探している。血液型が変わったとさっき言ったが、その中でもレア者はいるんだ。そいつ以外に用はない。逃げたら撃ち殺す、変血じゃなきゃ殺
バァン
裏門から最短距離で校庭にでた南斗は少し会話を聞いてから判断して撃った。顎の動き、ジェスチャーと会話がリンクしていたので、ヘッドショットをくらわせた。だが距離もまあまああるので弾の威力が下がり、仕留めきれなかった。
「……………………おい、誰だ」
なるほど、やはりそうだ。あいつは何かオーラが違う。俺の勘がそう言ってる。なにか嫌な予感もするから怖いんだよなぁ…………バランスを崩してもすぐ立て直す、こいつは…………………
「俺だが、もっとかわいい子がよかったか?」
校庭の端っこでそういうが、悪血は何故か笑っていた。まるで何かを企んでいるみたいな気持ち悪い顔でこっちを見て言う。
「おいおいwwwww何をするかと思ったら後ろから殺そうなんてなあ。面白いぜ、でもなあ勇者は正面から挑んで来いよぉ!!っと戦いの前は自己紹介だな。俺は御崎 光。血液型は"光"だぜえ」
「俺は氷野 南斗。血液型は"氷"だ」
「へっ氷かぁ。じゃあ終わったし、よーいドン!!
血術 発光!」
合図をした瞬間御崎は血術で体から光を発し、見えないくらいになったらサブマシンガンを連射した。だがそんなの関係ねぇ、南斗は華麗に銃弾を避ける。ナイフではじいたりもする。御崎がサブマシンガンのリロードしている瞬間南斗は合図した。
「お前らぁ、今だ!!!」
三人は隠れていたところから出て同時に御崎に向かって走り出し、四人で囲みだした。
「血術 氷柱・昇」 「血術 弾成長」 「血術 電雷」 「血術 毒矢」
四人はそれぞれ血術を使った。南斗は地面から氷柱を出し、御崎の四肢を貫かせ固定する。修炎は銃の弾を血術で少し強力なものにして、御崎の目を撃った。琴葉はナイフに雷を行きわたらせ、首を斬る。真理は毒で弓矢を作り、御崎の頭に矢を放った。
この作戦は吸血鬼の渡辺には効かなかったが、雑魚にはまあまあ効くので周回の技はこれらに固定している。
「うわーーーーーぁぁ」
次第に毒で脳がやられて、御崎は情けない声を出しながら、光を発し消えた。つまり死んだ。
「もしも~し、駆除完了でーす」
「そうか、そいつで最後だ。ありがとう助かったぞ」
「そうですねぇ。はい、了解でーすはーい失礼しまーす」ブチッ
「なんて言ってた?」
「死者は0人、こっちも誰も死んでないし終わりだって」
南斗は御崎の死を確認したらすぐ水矢に電話して、すべてが終わったことを知らせた。任務は終了、四人はその場で尻もちをついて座り込んだ。すると、とある人が近づいてくる。
「あ、あの!」
「?…どうしました?」
その子は女の子。身長はやや小さめで眼鏡をかけているピンク髪であり、なにやら四人に言いたいことがあるらしい。
「そ、その…助けてくれてありがとうございました!!」
「いやいや、俺らもこれ以上被害者が増えると面倒になるからやってるだけ」
「僕たちがお礼される筋合いはないよ」
そう言ってもその子は何度も頭を下げてお礼を言ってくれた。そこまでされると四人はやってよかったなと思い、心が気持ちよくなった。同時に疲れが吹っ飛んだ。
でも早く家に帰りたいので、そのまま四人は高校を後にした。
「えぇ~~。1987体死んだの?私の大事な兵士たちが………まあいい、またいつかの機会でやろう。変血もそのうち、な」