15滴目 緊急事態
1週間後、ついにその日は来た。第三ウェーブが来るとさせる日だ。それまで結構暇だったが、この日を待ちわびていた四人は動き出す。
「は~い持ち物確認した?準備万端?そんな装備で大丈夫か?」
「大丈夫だ、問題ない。じゃねえよ俺に何言わせてんだ」
ピンポーン
修炎と南斗が変な茶番をしていた時、家のチャイムが鳴る。南斗は玄関を開けると目の前には琴葉と真理の二人。どうやらもう殺る気だ。
「そっちも準備万端?そんな装備でだいじょ…
「いいか?これは重要な任務だ。冷静にかつ、被害を最小限に抑えろ」
「はい。いつでもそのつもりです」
「あんな奴らに負けないわよ~!!」
………………そうは言ったものの、まだ電話来てないし何もでき
プルルルル…
来たわ。
「もしも~し、準備万端で~す」
「……………………ああ。それなんだが…………」
電話の相手は水矢、だが様子がおかしい。何やら深刻そうな声で話しかけてくる。南斗は嫌な予感がして、目の色を変える。
「なんかあったんすか?」
「全国各地の高校の4分の1である1987校が今日消えた。消えた学校に来てる人はみんな血液型が変わった。まだ間に合うから急げ」
それを聞いていた四人は一瞬静かになり、パニックに陥った。南斗は今持っているスマホを落としそうになった。それはそうだ、現在の高校の数は約8000校である。(※物語の世界の話です)。その中で約2000校、細かく言うと1987校が突如消えたのだ。
「あわわわわ…どうしましょう…………………」←困惑
「えええぇえぇぇえぇぇっぇっぇぇぇええ!?」←うるさい
「落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け一旦落ち着け」←ブーメラン
「みんな慌ててます。俺らはどうすればいいですか?」
「とりあえずお前らは固まってろ。場所は伝えるから終わったらすぐ向かうように。それと連絡も忘れるなよ」 ブチッ
「えぇ~~……………………」
南斗は焦る。理由は主に二つ。
①全国の高校の4分の1が消える緊急事態という意味不明な事件
②そこに悪血がいる(少なくとも1987体)
③みんなが慌ててて、落ち着かせなきゃいけない
この3つで南斗もさすがに冷静になれない。
ピロリン♪
「んお、早速。えーと最初の場所は夜更私立高校か、これまた近いな。すぐ終わらせよう、とりあえず殺したらもう行っちゃおう」
3人は冷静さを欠きつつも一緒に行った。
3時間後、もうクタクタでグダグダ。やる気など出ない、3時間歩きっぱなし戦いっぱなしでそろそろ限界も来そう。そんなときは血術を使えばいいが、偶然にもストックが少なく大事にしなければならない。
「……………いま何校目ですか?」
「……………4だな」
「移動時間でだいぶ持ってかれてる。奥のほうは上の人が行くとして僕らも軽く30kmは歩いてるはず」
四人はずっと高校という高校を徒歩で向かっていた。徒歩なのもあるが、大体は高校と高校との間が長すぎることにより、だいぶ時間を奪われているのだ。
「僕らはたまたま近かったけど…それでも歩きなのは辛いな…」
ピロリン♪
「お、メールさーて次はどこかな?えーとなになに……
残り20校だ。3時間通しでよく頑張った…と言いたいのだが
あと1校だけ頑張ってくれ。場所は生糸公立高校だ
だってさ」
「お、生公高校じゃん。ていうかすぐそこじゃん」
「歩いて3分以内!楽勝じゃん!」
「終わったらすぐ帰りましょう……………………もう疲れが…………」
「よーーーーし!!行くぞぉぉぉぉ」
「「「「おーーーー!!!!」」」」
南斗、修炎、琴葉、真理は円陣を組んで気合を入れなおした。労働はあと少しで終わることを再確認して、最後は走って向かった。
作中でも書きましたが、高校の数が約8000校なのは物語の世界の話です。
現実の2倍弱あります。