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『あら?私は終わりと言いましたが、貴方達はこちらの話を読みたいのですね。良い好奇心ですね。』
『だけど、ここからは別次元の話、お前らが求めてるものとは違うかもしれねぇから。注意するんだな。』
『森を抜けていく一匹のスライムと2人の人間の子供。』
『妾はそんな彼らを見送った後、彼のいる建物へと入っていった。』
『妾が中に入ると、彼は首だけの姿で、そこに転がっていた。』
『妾はその首を、自分の足に乗せ優しく撫でる。』
「『やっと見つけたぞ。悲しみに嘆く我が子よ。現状に後悔せしお主に、やり直すチャンスを授けよう。』」
『妾は右手を強く握りしめる。『母の鉄拳』が光り、彼の頭部を軽く叩くと、彼は光の粒になって消えていく。』
『そしてその後、小さな少女の声が聞こえてきた。』
「『ふふ。実に面白いですね。彼の悲しみは感じることができるのに、彼女の偽りの笑顔の意味に気づかないなんて。』
『やっぱり、所詮、性の違いがないスライム。人の恋愛については、気づけないってことかしら?』
『いや、あの少年も気づいてないことを考えると、やばり、乙女心は難しいってだけなのかぁ?』
『どう思う?『エキドナ』?』」
『声の主は、『モルガナ』ちゃんじゃった。彼女は、妾にそんな問いをしてきた。』
「『知らんのじゃ。リチュちゃんだって、これから学んで行くだろう。子供はゆっくり時間をかけて成長していくものじゃ。』」
『妾のその言葉を聞いた『モルガナ』ちゃんは、少し馬鹿にするように言った。』
「『ふふ。あのスライムはとうに、スライムの平均寿命を超えています。いつまで生きられるのか分からないと言うのに。悠長な方ですねぇ。』」
『妾が、その言葉に腹を立てていると、『モルガナ』ちゃんはさらに続けた。』
「『しかし。』
『先程過去に送ったのは、あのピエロ?』」
「『ああ。そうじゃ。』」
『妾のその返事を聞いて、『モルガナ』ちゃんは再び笑う。』
「『対象を、それが後悔した時間まで飛ばす『母の鉄拳』だっけか?』
『どれだけ、戻そうと、彼女が死ぬ運命は変えられないのに。』
『せっかく、アタシが助け船を出したのに、それですら彼女は死んだ。』
『6兆5312万4789回。彼女が死なない運命なんて、存在しないかもしれませんよ。』」
「『助け舟を出した?今回が、一番。彼らが傷ついたじゃないか!』」
『妾はそう叫ぶが、彼女は表情を変えない。』
「『でもだからこそ、ジャックは首をくくらなかった。エース達が落ちぶれて餓死することもなかった。』
『それに、貴方は私をこの悲劇の原因にしたいようですが、私はただ、気まぐれに手助けをしていただけですよ。彼らや、あのスライムをね。』」
「『そうじゃ!リチュちゃん!! あの子も、今回は選択を間違えなかっただけで、一歩間違えれば、大切な友達をも殺す不幸な殺人鬼になってしまった!元より、お主が、手を出さなければ、静かに暮らせたのではないか?』」
『妾のその質問に、彼女は悩むようなしぐさをして、続ける。』
「『どうでしょうか?本来の寿命を過ぎても生き。さらに、スライムよりも、人間のような優しさを持つあの実験体を。私が見逃す運命はないと思いますが!』」
「『実験体だと!? お主は、彼らをそんな目で見ていたのか!妾のように!』」
「『あは!違う違う。彼らやアンタだけじゃないよ。』
『俺にとっちゃあ、この世の全てが実験体だ!この世の全てが、俺の研究道具だ。』」
『妾は、その言葉に、思わず彼女の胸ぐらを掴む。』
「『どうしてお主は!いつも、そう人々を悲しませる研究ばかり!』」
「『君と同じさ。』
『貴方が、母性の権化であるように、私は探究心の権化なのです。』
『だから、今回のリチュのような、幸せになるような奴も出るだろ!』
『まぁ、けど、ちょっとしたはずみで未来は変わる。それを見るのが、未知が既知へと変わるのが。面白いんだよねぇ。』」
『彼女のその悪びれもしない態度を見て、妾は掴んだ胸ぐらを放す。』
「『そんなに、研究してはいずれはすべてが既知となろう。そしたら、お主はどうするつもりじゃ。』」
『妾が、建物の出口に向かいながら、放った質問に、彼女はさらりと答えた。』
「『簡単な話ですよ。』
『未知が無いなら、作ればいい。』
『本来その世界に生まれない悪魔を生み出したり、適当に作ったキメラに襲わせたりして、ね。』」
『さて、『エキドナ』さんも帰ったことですし、貴方が見ていいのはここまでです。ああ、もし。貴方が『こんな長い話よりもっと早く決着が行く未来が見たい』とか、『人間達がのうのうと生きてるのが許せない』っ思っているのならば。』
『別の未来も見てくれば?それともお前らがあのスライムをいじって、別の未来を作ってみるか?』




