イービルサーカス(中)
前回のあらすじ
キングと戦うことになったキズー。『最強の勇者』を使い、彼を追い詰めることに成功する。
※今回はリチュ目線で始まります。
私の前には、クローバーさんによく似た魔法人形が立っている。
「ぷふ。アンタみたいなのが、こんなところにいるなんて。スライムごとき、このアタイがボコボコにしてあげるわ!」
彼女が、私を馬鹿にするように、顎を上げる。
「可能なら、戦いたくないですが。逃げ場がないのであれば仕方ありません。クローバーさんによく似た人!お覚悟を!」
私が、威嚇の為に空中に2回パンチを繰り出す。この威嚇で、降参してくれないかなぁ。
「ふん。そんな、弱っちそうなパンチじゃ、どうしようもないわ。っていうか、誰よ!クローバーって!
アタイは、クイーン!泣く子も、笑いすぎて泣き濡れる世界最強の猛獣使いさ!」
クイーンさんは自信ありげに、腰を引いて、こちらを挑発している様子だった。
やっぱり、だめだったか。
「さぁ、アタイの怖さ。アンタのドロドロのノーミソにギチギチに刻んであげるわ!
来い!スカーレット・タイフーン・エクセレントアルファ!!」
クイーンさんが右手を上げ、そう叫ぶと、ジョーカーさんの手から、土のマナが出され、恐らくレッドドラゴンをモデルにした魔法人形が姿を現した。
飛ぶにはあまりにも小さい羽が、その人形のモデルがレッドドラゴンであることを証明している。
私は急いで、ノワトルさんの姿に変身する。さすがに、ドラゴン相手じゃ、同じドラゴンにでもなんない限り、降参してくれなさそうだし。
ノワトルさんの姿に変身した私を見て、クイーンさんは驚いた表情をした。
「なぬーーーーー!あ、あれは、ブラックドラゴン!? ドラゴンの中でも、最上位種のドラゴン…。
って、いやいや。何ビビってんの、アタイ。あれはただの雑魚スライムが変身しただけだから。」
首を左右に振って、そう言ったクイーンさんは、その後、ドラゴンの魔法人形を見た。
「ちょ、アンタ!なにビビってんの!あれは、ただの雑魚スライム!あのアタイがハマってる遊戯に出てくる少年と同じ!というかそれ以下!ドラゴンの能力が使えるわけじゃない!叩いて潰して、ボコボコにしちゃいなさい!!」
クイーンさんの言葉を聞いて、ドラゴンの魔法人形は、大きく咆哮した後、私に、頭突きしてきたり、尻尾で攻撃してきたりした。
しかし、あまりにも柔らかい体のスライムに、打撃は効かない。
ドラゴンは、私を引っ掻こうと、前足を大きく振りかぶった。
瞬間、私は、いつかのオークの時のように、ドラゴンの前足を体で捕まえた。
それを見ていた、クイーンさんの「なぬ!」という声が聞こえた。
ドラゴンは、慌てて前足を引き抜こうとする。この子、結構臆病なのか、混乱しているようにも思える。
私は、なるべく、ドラゴンの前足を引っ張る。といっても、ドラゴンの力に、叶うわけはなく、ドラゴンの前足は、すこぉし、私の方に、近づいただけだった。
けど、それでもいい。
私は、一気に、ドラゴンの前足を開放する。
引き抜こうと、引っ張っていた、ドラゴンの足が、ドラゴン自身の顔に当たり、ドラゴンは悲鳴を上げる。
よし、成功!
っと、私が思ったとき、さらに、追い打ちをかけるように、どこからともなく、燃えた竜巻が、ドラゴンを破壊していった。
「なぬ!アタイの、スカーレット・タイフーン・エクセレントアルファ!」
クイーンさんが驚いた表情で、塵となったドラゴンを見る。
そして、怒りの表情で私を見た。
「よくもよくもよくも!アタイの大事なスカーレット・タイフーン・エクセレントアルファを!!
マジでマジでマジで!ズタボロのゲドゲドのギタギタにしてあげるわ!」
彼女は、そう言って、地団駄を踏んだ。
次回予告
キングは、キズ―。クイーンはリチュと戦う中、ジョーカーはガキンと再び戦いを始めるのだった。
次回 イービルサーカス(下)




