イービルサーカス(上)
前回のあらすじ
上半身だけになりながら、リチュ達の命を狙うジョーカーは、土の魔法、『私は彼らを巻き込んだ』によって、2体の魔法人形を生み出し、リチュ達に3対3の戦いを強いるのだった。
※今回の話は、キズーの視点で描かれます。
僕の前には、ダイヤによく似た人物…、いや、ジョーカーの動きを見るに、キングと呼ばれた彼は、ダイヤによく似た魔法人形なのだろう。
僕は、両手を前に突き出し、深呼吸をする。
「ヒーッヒッヒッヒ。さっきまで、震えて泣いていた女が、なにをする気でいるんだ?」
彼は両手のひらから、泥を出し、それを小さなボールの形にすると、それをお手玉のように投げ回し始める。
僕は、再び深呼吸をして息を整え、マナを集めることに集中する。両手をゆっくり上げ、なるべく、風のマナが集まるようにする。
「来い!! 『最強の勇者』!!」
僕がそう叫ぶと、キングが再び笑い出す。
「ヒヒヒ。まだ、風の魔法で、魔法人形を作ってんのか?学ばねぇなお前は!!」
キングはそう言って、僕に向かって、棘のついたボールを5つ投げ飛ばしてきた。
それでも、僕は魔法を出すことに集中する。
そして、僕の手からあの魔法人形が飛び出してくる。
[待たせたな!キズー!!]
そう叫んだ僕の魔法人形。『最強の勇者』が、剣を構える。
[『最強勇者の斬撃』!!]
そして、風の魔法によって、棘のボールを押し飛ばす。
「なんだと!?」
キングは、そう驚く。そして、ボールは彼に突き刺さる。
しかし、彼はそれを気にすることもなく、体に吸収しつつ、焦る様子を見せる。
「まさか本当に、風のマナで魔法人形を作りやがった!! あの女。あの幼さで、化物か!?」
[変なあほズラ見せながら、人の戦友を、化物呼ばわりすんじゃねぇよ。]
そう言って、剣を自分の肩に、ポンポンと置く『最強の勇者』に、キングは言う。
「戦友だと?使い捨ての魔法人形の分際で、人にでもなっているつもりか?」
怒りの声を上げながら、棘の付いたボールを生み出すキングに、『最強の勇者』は言う。
[それはお互い様だろうがよ!おい、キズ―。あいつに目にもの見せてやろうぜ!!]
彼はそう言って、僕に剣を向ける。
それを見て、僕は頷き、彼の剣に魔法をかける。
「うん!『火炎付与』!」
そして、『最強の勇者』の剣は炎に包まれる。
[行くぜ!!]
『最強の勇者』はキングの元へと飛んでいく。
「これでも喰らえ!」
キングが、棘のボールを雨のように投げる。
[『最強魔術師の炎』!!]
『最強の勇者』は、燃えた剣を振り、炎の竜巻を巻き起こす。
棘のボールは、その竜巻によって破壊され、竜巻は、キングに向かって進んでいく。
彼は、舌打ちをしつつ、その竜巻を横に飛んで避ける。
『最強の勇者』は、竜巻として飛ばした剣の代わりに新たな剣を生み出しそれをキングに向ける。
[そんな、雑魚玉。俺らの友情パワーの前には効かねぇぜ?]
その言葉に、キングは大きな、棘の着いた玉を生み出し、それに乗りながら、怒りの表情を見せる。
「所詮、ただの道具の、魔法人形が!それが紛い物だって教えてやる!!」
次回予告
キズーとキングが戦う間、リチュはクイーンと戦っていた。
彼女は魔物を操り、リチュの命を奪おうとするのだった。
次回 イービルサーカス(中)




