直接的な殺意
前回のあらすじ
リチュは隠された仕掛けをガキンに見せる為に、『囮花火』を使って、部屋の暗闇を照らした。しかし、それは、キズ―の下の氷を早く溶かし、キズ―の死を近づける結果になってしまった。
思い悩むリチュであったが、それを見て、ガキンは「大丈夫!縮まった時間は俺が取り戻す!リチュ姉も、キズ―も誰も悲しませる結果になんかしない!!」と叫ぶのだった。
「ああ。その自信。その威勢。その覚悟。素晴らしい。お見事ですが。どこぞの男を思い出しますねぇ。その男は、大切なお客さんである少女を助けようとした。
けれど、その男の駆け付けた勢いが強すぎて、彼女は潰されてしまった。HAHAHAHAHAHA!お分かりか?『助けたい。あの娘を救いたい。』なんて思いは、所詮失敗に終わるんだよ。この世はただの道化。どんな努力も失敗に終わる。私達は所詮、失敗に泣く者なのだから。」
ジョーカーさんは、そう言って、笑っている。
その笑い声に、ガキンさんは怒りの表情を見せる。
「失敗になんか終わらせない!お前の思い通りにはさせない!」
ガキンさんが走り出し、ジョーカーさんに向かって剣を振るう。
しかし、ジョーカーさんはそれをあっさりと避ける。
「HAHAHA!試してみるがいいさ!」
そう言って、ジョーカーさんはナイフを用意し、ガキンさんの少し上に向けてそのナイフを投げる。
「ちっ!また、変なところに、ぶん投げやがって!」
ガキンさんが、ナイフを睨む。
そのナイフは、ガキンさんの上を通過し、後ろのパイプに当たり、さらに斜め左上に反射する。
そして、さらにパイプに当たって反射する。その先は、ガキンさんの頭上にある、棘の天井を吊るした糸だった。
「ガキンさん!!」
私がそう叫ぶが、ガキンさんは笑っていた。
「ああ!俺の上に針の山みてぇなのが吊るされていたな!覚えているさ!」
ガキンさんは、そう言って、ゆっくりと後ろに下がる。
ナイフが棘の天井を吊るした糸を斬り、天井は勢いよく落下し始める。
後ろに下がったガキンさんに、天井は当たらない。しかし、彼が後ろに下がったのはそれだけの理由じゃなかったようだ。
「くらえ!」
天井が地面に落下する直前、ガキンさんはそれを蹴ることでジョーカーさんに向かって飛ばした。
「そんな、直接的な殺意。感じ取れない人はいないんじゃないかな?」
ジョーカーさんはそれをいとも簡単に避けるが、ガキンさんはまだ笑っている。
「はたして、直接的な殺意かな?」
「何⁉」
驚いて、後ろを向いたジョーカーさんは後ろのハシゴが落ちてくることに気が付いた。
「な⁉ ハシゴ⁉ 倒れる⁉潰される…。リチュ!!」
再び驚いたジョーカーさんは何かを言っていた。なにやら名前を呼ばれた気がする。
しばらくボーっとしていた、ジョーカーさんだが、ぎりぎりでハシゴに潰されないように避ける。
しかし、その背後に───
「どうした!直接的な殺意は避けられるんだろ!!」
───ジョーカーさんを斬ろうとしているガキンさんの姿があった。
彼は、ジョーカーさんを上半身と下半身で真っ二つにしたのだった。
次回予告
ついにジョーカーを斬ることに成功したガキンは、キズ―の元へと向かう。果たして、キズ―は無事なのか⁉
次回 救出成功?




