遠回しの殺意
前回のあらすじ
謎のテントへとたどり着いたリチュ達。そんな彼らが見るのは、首に縄を付けられ、氷の上に座らされたキズ―と、歌を歌いながら、恐ろしいことを言うジョーカーの姿だった。
「キズ―を開放する気がねぇなら、お前を殺して、俺が、キズ―を救う!!」
ガキンさんが剣を抜いて、ピエロに向かって走り出す。
「ああ、なるほど。君達もショーに出たかったんだね。なら、この、ジョーカー。君達の相手をしよう。」
ジョーカーと名乗るピエロは、両手に3本ずつのナイフを用意し、ガキンさんの攻撃を避けた。
「それじゃあ、始めよう!it's chaos show time!!」
ジョーカーさんはそう言うと、ガキンさんの方を向いて持っていたナイフを投げた。
「どこ狙ってんだよ!」
ガキンさんはそれを、少ししゃがむだけで、避ける。
それを見て、ジョーカーさんは笑い出した。
「HAHAHAHAHA!! 目に見えぬ所からの攻撃!まさに、ケイオスなショー!!」
そのナイフは、何かのロープを斬り裂き、壁に突き刺さる。
突如、暗闇となっている空気中のマナが、激しく動き出した。
「ガキンさん危ない!!」
私のその叫び声を聞いて、ガキンさんは、周囲を見渡す。
すると、彼は真後ろから、棒につながった、巨大な刃物が迫ってきていることに気付いた。
「うお!」
ガキンさんは、それをギリギリで避けた。
刃物が目の前を通り過ぎた、キズ―さんはそれに、恐怖して、涙を流していた。
ガキンさんは、反対側の壁に刺さった刃物を見て言う。
「何だあれ⁉馬鹿でけぇ、『いかり』みてぇ。」
「よく避けましたね。けれど、ここには、いたる所に小道具が隠されてます。
死とは、殺意によって齎されるわけじゃありません。あの娘のように、設置されている小道具によって、事故によって、死に至るものもいるのです。HAHA。」
そう言って、4本のナイフを用意するジョーカーさん。
彼は、再びナイフを投げるが、それは、ガキンさんの方へと飛んでいかない。4本ともバラバラの方向へと飛んでいった。
「今度は何をする気だ!」
ガキンさんが、そのナイフを目で追う。
そのナイフ達は、このテントの中にある、パイプに当たり、ガキンさんの方に跳ね返った。
「ちっ!」
ガキンさんは、急いで、1本のナイフに向かって走り、それを弾き飛ばす。
ガキンさんが元居たところに向かって集まっていた、他のナイフは、地面に刺さり、ナイフが集まる前に、1本のナイフをはじいて逃げ道を作っていたので、ガキンさんは無事だった。
「ちっ!めんどくせぇ攻撃ばっかりしやがって。どこから何が飛んでくるかわかりゃしねぇ。」
ガキンさんの言うとおりだ。私みたいなスライムならともかく、人間には、ライトに照らされず暗闇となった場所に仕掛けられている武器は見えていない。
であれば、彼は今、どこから来るかも分からない攻撃を警戒しつつ、結局ナイフ自体が攻撃である可能性も考えなければならない。
私には分かるのだからといって、安易に、『魔法の壁』も使えない。
あの魔法は、巨大な壁を作ってしまう上に、作った壁は私の力で消すことも移動させることも出来ない。
他の建物よりは広いとはいえ、こんな狭い場所で使ってしまっては、邪魔になる。
なんとか、彼に罠の場所を大体でもいいから教えられれば。
私は少し考えた末、1つの答えが出た。
限定的だが、口頭で伝えるよりかは正確だ。
私は、魔法を使う準備をした。
次回予告
直接的な攻撃をしてこないジョーカー。彼の仕掛けた罠をガキンに教える為、リチュはとある魔法を使う。しかし、それは思わぬ結果を齎した。
次回 縮まる死の時間




