行方不明になった少年
前回のあらすじ
お風呂の中で、自分達の今後の未来を考えていたキズ―は、今後の自分の関係が壊れるぐらいなら、ガキンには、早くイーシャと付き合ってもらって、自分を友達としてしか認識できない様にしようと考える。
しかし、ガキンに、イーシャに付き合えと言っている最中に、キズ―は泣き出してしまい、森の中へと逃げ出してしまう。すると、そこに、髪が黒く見えるピエロと出会い、キズ―は逃げている最中に転んでしまい、気絶してしまった。
※今回の話は始め、キズ―視点から始まります。
「んん…。」
意識を取り戻すと僕は、暗い所にいた。テントか何かの中だろうか、壁が布のように揺れている。
「HAHAHA。お目覚めかな?お嬢さん。」
僕が瞼を開けると、目の前には、森で襲ってきたピエロが僕のことを除いていた。
「ひっ!」
僕がそれに怯えて、腰を抜かしたまま、後ずさると、彼は突如笑い始めた。
「HAHAHA!そんなに怯えないでくれよ!子供を泣かせるなんて、道化師失格だ!
子供を泣くことも出来なくさせたのは誰だ!!」
そして、彼は突然叫んだかと思うと、自分の顔を殴った。
僕がその姿に、改めて驚いていると、影の中から、3人の人影が現れる。
「ヒヒヒ。ジョーカー。とっとと、準備を終わらせようぜ。」
そのうちの1人がそう話す。どことなく、シルエットや声色がダイヤと似ているような気がする。
「ああ。そうだった。私としたことが、忘れていたよ。思い出させてくれてありがとう、キング。」
キングと呼ばれた男性のシルエットが、話していた言葉を聞いて、ジョーカーと呼ばれたピエロが、感謝する。
その様子を見て、小さなシルエットがジョーカーを笑う。その声はまるでクローバーのようだった。
「ぷふ~。ジョーカーって意外とおっちょこちょいだよねぇ。」
「HAHA。言いすぎじゃないか。クイーン。さて。」
クイーンと呼ばれたシルエットが笑うのを、ジョーカーは笑って返したかと思うと、改めて僕の方を見た。
「君をショーに出すのに、もう少しオシャレさが欲しいからね。衣装は用意するから、着てもらってもいいかな?」
そう言って不気味に笑う彼を見て、僕は何とか立ち上がり、抵抗する。
「そんなもの、着ない!」
僕の抵抗を見ても、彼は笑顔を変えなかった。
「何故だい?君みたいな美人な女の子は、おめかししてショーに出たほうが、華になるってもんだ。
HAHA。あの子は、華々しく散っていったな!誰のせいだと思っている!!」
突然、誰もいない方を見て叫ぶ彼に怯えつつ、僕は魔法の準備をする。
「『最強の勇者』!出てきて!お願い!」
僕が必死に、そう願うも、あいつはすぐに形を崩してしまう。
「ヒヒ。魔法の性質を知らん女だな。魔法人形を作るなら、土のマナを使ったほうがいい。そんなもん、常識だよ。」
「ぷふ~。しかも、ヒーローだってよ。ヒーロー。いつまでも、助けられっぱなしの、お姫様のつもりですかぁ?ってのよ。」
キングとクイーンが、僕を馬鹿にしたように笑う。
「う、五月蠅い。僕だって、いつまでも、彼に頼りっぱなしじゃない!あいつの男友達として、生きる為、勇敢な魔術師になるって決めたんだ!」
僕の叫び声を聞いて、ジョーカーが突如、こちらを見た。
「僕?男友達?ふ~ん。」
そして、彼は、キングでもクイーンでもない、もう1つの影の方を向いた。
「私は、クイーンに、あの子の身体測定をやってもらおうとしたけど、そうか。
あの子の身体測定は、エースの方がいいかもな。」
彼の言葉を聞いた、エースは静かに答える。その声は、どことなく、スペード(直接会った時の方)に似ていた。
「了解。まかせて。」
「ぷふ~。アンタに出来るの?大丈夫?相手は女の子だよ?あれ?アンタも体は女だったっけ?いっつも『僕は男だ』とか言ってるから、間違えちゃった。」
エースを笑うクイーンを、ジョーカーがおさめた。
「あまり、人を馬鹿にする物じゃないよ。クイーン。
それじゃあ、まかせたよエース。」
そう言うと、彼は闇の向こうへと消えていった。
彼につられて、キングとクイーンも闇へと消えていった。
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私が、玄関の掃除をしていると、突然ガキンさんが、こちらへ走ってきた。
「なぁ!リチュ姉!! キズ―知らないか?伝えたいことがあったんだが、部屋にもいないし、見つからないんだ!!」
焦っているような、ガキンさんを見て、私は慌てて、最後にキズ―さんを見た記憶を思い出す。
「そう言えば、キズ―さんは昨晩、外の森へと出かけてましたね。『外の風を感じてくる』って言ってたから、すぐに帰って来たと思ってたのですが、まさか、まだ森の中に⁉」
私が、そう焦っていると、ガキンさんが「急いで、探しに行こう!」と言った。
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私達は、その後、森の中を探し続けた。途中、出会った、エキドナさんに、キズ―さんを見かけてないか、聞いたりもしたが、情報はなかった。
「たくっ!あいつ、どこにいんだよ!!」
ガキンさんがそう言って、地面に倒れこんだ。
私も疲れて、半分スライム状に戻っていた時だった。
突然上空から、鳥の声が聞こえたのだった。
「なんですか⁉」
私が、慌てて、姿を人型に戻し、空を見ると、そこにはヘッドさんが、飛んでいるのが見えた。
ヘッドさんは、私の姿を見ると、大きく鳴き、その後、どこかへと飛んでいった。
「もしかして、キズ―さんの居場所を知っているんじゃ?」
私のその言葉に、ガキンさんも頷いた。
「ああ。そうかもしれねぇな。」
そして、私達は、ヘッドさんを追いかけた。
次回予告
キズ―を探して、テントの中へと迷い込むリチュ達。彼らを歓迎するは、残酷なショーだった。
次回 THE WORID IS CIRCUS




