第11話:武蔵の帰り道
アンフィニ祐です。
帰り道でも何かが起こるようです。
『抜錨。アメリカをあとにして日本へ帰投する。微速前進。』
『了解、相棒。微速前進。』
伊400も後に続く。
『速度上昇。半速前進。』
そうしてアメリカの湾を出る。
『速度、原速へ。』
『了解。原則に移行。』
「ふ〜。ひとまずは終わったな。」
「それじゃあ涼。この水どうぞ。」
佐奈が水を渡す。
「ん?気が利くな。」
「あれ、伊400が・・・」
伊400が遅れている。
「ちょっと伊400見てくる。」
内火艇で伊400にハルが乗り込む。
「まっず!なんだこれ!」
コップを自分から遠ざけて涼がそう言った。
「何か盛ったな?佐奈ぁ・・・。」
「もっちろん。5時間だけ性別反転するやつをね。」
「馬鹿野郎・・・!」
『こちらハル、伊400、直したよ。原因は配管に穴が空いてた。』
『よくやった。』
涼が性別反転した声で言う。
『それとなんか、イ400の内部にも立派な艦橋あったよ。』
そうしてイ400と武蔵の行進速度を合わせる。
「ん?1番主砲、指定の座標へ。」
「了解、照準合わせ・・・よし。」
「で?どうしたんですか?」
春馬が聞く。
「撃て。」
「へ?」
「撃て。」
「どうなっても知りませんよ?」
「構わん。」
武蔵が主砲を放つ。
「だんちゃーく。今!」
すると赤い火と黒煙が上がる。
「着弾した?」
「次弾装填。2番主砲、照準合わせ。敵は魔物だ。容赦するな。」
「了解。」
「撃ち方はじめ!」
「交互撃ちに切り替え。撃ち方はじめ!」
そうして、
「敵爆沈・・・爆沈?」
「戦闘態勢を解除。再び日本へ向かう。」
「爆沈・・・?」
大翔がつぶやいているその言葉に涼はそれに全く反応しない。
「爆沈の何がおかしいんです?」
春馬が聞くと
「爆沈したなんて前例、聞いたことがない気がするんだが・・・」
「気の所為だろう。」
「よし、偵察で零戦を出すぞ。1機でいい。」
『了解。第1格納庫から零式艦上戦闘機改52型、1機出ます!』
伊400からも晴嵐を飛ばす。黒煙を上げているその場所へ2機が向かう。
『こちら武蔵の零戦パイロット、小林 蓮だ。よろしく頼む。』
晴嵐の空撮写真が武蔵のメインモニターに映される。
「チッ。まずったか?」
「おいこれって・・・」
そこには沈んでいる戦艦の姿だった。
「爆沈するわけだ・・・!」
「艦名は?」
「登録なし。どこの船でしょう。」
『相棒。正体を知ってるな?』
『どうかな。』
武蔵の主砲が元の位置に戻る。もう1枚空撮写真が遅れてやって来る。
「救難艇。」
そこには救難艇が1挺写っていた。
「・・・ちょっと席を外す。野暮用が出来た。」
そうして涼はどこかへ向かう。
そうして帰ってきたのはビシャビシャになっていた涼だった。
「野暮用は終わった。なに、大したことじゃない。」
伊400が晴嵐を収容する。
「AX-24の装備を今外して通常装備に変更しているところです。」
「陽電子砲は外したか。」
「流石に・・・ね。」
「そろそろ日本領海に入ります。」
「了解した。」
「そろそろ迎えの艦艇がくる頃なはずなんですが・・・」
だれもいない。見えるのは深淵とずっと続く水平線のみ。
「・・・総員。第3種戦闘配備。」
「了解。」
大翔がそのまま続けて言う。
『武蔵の乗組員に告ぐ。総員!第3種戦闘配備。繰り返す。総員!第3種戦闘配備!』
すると水平線に無駄にでかい艦橋が見える。
「艦種識別、扶桑です。」
よく見ると扶桑からは出火していて艦が傾斜している。
「おい・・・あれ不味くないか?」
『総員!第3種戦闘配備!』
「・・・警戒態勢・・・か。なにか異変でもあったか?」
一透がそう呟く。
「分からない。だけど、只事では無さそうだね。」
神奈がそう呟く。
『総員!第2種戦闘配置!』
「なんだと?」
『扶桑が傾いている。撃沈された可能性が高い。戦闘用意!』
「相棒・・・成程な。」
すると扶桑がエンジンが水蒸気爆発を引き起こして轟沈する。
しかし乗組員達は退艦していてボートが救難信号を出している。
『こちら大和。乗組員救出は困難。本艦も敵の攻撃を受けている。損傷は軽微。』
伊400がハルを載せたままブースターを使って70ノットまで3秒で急加速する。
『機関室よりCIC。相棒たちは移動してるだろう?CICに。』
『ああ。そうだ。』
『3核融合炉で試作システムを起動させる。どうなるかは知らんが伊400を軽く超える速度で接近できる。やるか?』
『出来るならな。』
『許可を取ったことにするぜ?』
「神奈!試作システムを起動。武蔵を馬鹿みたいな速度で航行させるぞ!」
「了解!」
「3核融合炉、稼働率15%から63%へ。推力最大!推定速度単純計算時速340km!」
「速度計算を再計算・・・推定速度抵抗を含めて230km!」
アンナが急加速で船から振り落とされる。そのうちに伊400が3匹しとめる。
伊400が被弾してブースターが破壊され、その上曲がりきれずに岩礁に引っかかってひっくり返る。
『こちら機関室!これ以上の加速は困難!更にこれ以上稼働させるとスクリューが死ぬ!減速開始!』
『了解した。助かった。』
『俺に出来るのはここまでだ。相棒、頼んだぜ!』
『・・・モチのロンよ!』
『ザザッ、こちら・・・伊400・・行動・・・不能』
「錨打ち込め!」
「てぇー!」
武蔵の錨が伊400に突き刺さり、牽引される。伊400はレーダー系が全部とスクリューシャフトが2本とも駄目になる。魚雷発射管も歪んで、主砲も無くなっている。
「魔物の大群は減っていったぞ・・・!」
「追い込め!撃ち方はじめ!」
「うちーかたーはじめ!」
そうして敵は壊滅させていったのであった。
『こちら退魔海上自衛隊第27艦隊旗艦の艦長であり総司令官の宮岡 篤斗だ。扶桑の乗組員に救出、感謝する。』
大和の隣には伊400の姉妹艦の伊402と工作艦がいた。
「そういや俺達はなに艦隊なんだ?」
大翔が普通に言う。
「言わなかったか?国防退魔自衛隊第67艦隊で国連ではモンスター討伐組織、略してMEOの海軍第634艦隊の旗艦って申請が通ってるぞ。数字は自由らしいから武蔵の語呂合わせにしといた。」
「そうなのか。」
そうして工作艦が伊400の応急修理に取り掛かる。伊400内部の水を排水して穴を塞ぐ。
「さて、仕事は終わった。工場に入れて第一要塞学校に帰るぞ。」
「了解。」
次回、第1章最終回。




