第1話:日常とはいい難い日常
日本。世界の中で比較的治安はよく平和な国である。
ただ、この世界では共通の敵が存在する。
魔物。それはかつての世界規模の大戦で彼らが同盟国とともに作り上げたものだ。
そのルーツは意外にも新しいようで古く、80年近く前になる。
約80年前、第2次世界大戦が勃発しその時ドイツがマーカサーと呼ばれる生物兵器を実戦投入した。
ただ、その生物兵器は大した効力を持たず、絶滅したかと思われていた。
しかし、それは物事を学んで独自の進化を果たしていき、大戦後に世界的大問題にへと発展する。
ただ、それだけではなく日本もマーサカーを改良し、5式魔という凶悪な生物に進化させてしまった。
それにより、日本も悲惨な状態にへとなってしまうだけでなく、貿易船に忍び込み、世界各地に広がってしまった。
それに対抗するため、かつての大艦巨砲主義を復活させ、災害級と呼ばれている魔物の足止めをする時間稼ぎを。
それと同時並行で人類は魔物を研究、そうして能力を手に入れた。
本来魔物は様々な能力を一つの個体に集約している。
ただ、それまでは再現できず、一人一つの能力となった。
更にどのような能力になるかは検討もつかないのだ。
それでも魔物から身を守るために全人類はその薬を飲み、力を得た。魔物に対抗する力を―――
「馬鹿やろぉぉぉぉ!今度は何をしたァァァ!」
後方で爆発。ぞろぞろとなにかがやってくる。
「いやー。やっちゃったなー。」
「だ、か、ら、なに、を⁉」
「・・・魔物を呼び寄せる道具を今持たせてるんだよ。」
「なんてものをぉぉぉぉぉ!」
振り返り
「仕方ない・・・!」
日本刀を少しだけ出し、構える。
「叩きのめす!」
すると刀に火が纏い叩き切る。
「火炎切りぃぃぃぃ!」
するといきなり付近の魔物が弾ける。
『こちら藤花。狙撃して援護するよ。』
『助かる!』
「と、に、か、く。付近の奴らは全員来いぃぃぃ!」
「主砲、1番2番、副砲1番、前方の目標に向かって照準合わせ。」
「照準、合わせ、誤差照準プラス2コンマ1!」
「Main cannon 1-3 fire.」
大和とミズーリが主砲を発射する。すると3級の魔物と呼ばれるものに直撃する。その魔物は大和の第1主砲を握りつぶす。
「化け物め・・・副砲、撃てぇ!」
頭部に向かって副砲をまるで防衛反応かのように撃つ。
「ゴォォォォ・・・」
咆哮を上げて至近距離で放たれた攻撃にやや怯えつつ距離を置く。
「損傷報告!」
「第1主砲が大破!ただ、弾薬庫にはダメージがないと推定!更に第2主砲も第1主砲の大破の衝撃により、センサーが故障!第2主砲起動不能!」
「了解した。・・・そろそろ大和も現役では居られなくなる・・・か。・・・通信士。全艦に通達。『本艦は攻撃能力が著しく低下した。これにより本艦は後退する。』いいな?」
「了解。」
『This is Yamato. The ship's attack capabilities have been significantly reduced. This causes the ship to retreat.』
『OK』
大和と記された戦艦が後退してゆく。
その背中を見て40年間戦い続けている船は最後に第3主砲が上を向き空弾を放つ。
「この船は退役するのでしょうか。」
「馬鹿言え。まだまだ現役さ。ただ、この戦いを通して一つ言えることは、もう世界最強のモンスターキラーでは無くなった・・・ということだ。」
「・・・。」