第二話「太陽は昇る」
プロトタイプ版になります、それでも良いという方は読んでいただければ励みになります...!!
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僕は暗闇の中にいた。
その中に一縷の光が見える、遠く遠くに向かって渦巻いている光、ここはどこだ?僕は……どうしたんだっけ?
「トオル」
背後から声がした
「父さん、いたんだ。ここはどこ?」
父さんは少し黙ってから僕の質問には答えず、言った。
「トオル、お前とはここでお別れだ」
「え、何……言ってるの?一緒にあっちに行こうよ、光が見える」
「トオル、もうわかっているんだろう?俺はそちらにはいけない」
「なんで?意味わかんないよ!」
「トオル、俺はあっちでお前を見守っている」
「いいからこっちに来てよ!!!」
「トオル、大丈夫だ。お前がどれだけ暗い暗い夜に居ようと……」
「……」
――『いずれ、太陽は昇る。』
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眩しい朝日を受けて、トオルは目を覚ました。
「トオル!!!」
「…………こずえ」
こずえはトオルにギュゥッと抱きつき、大粒の涙を流す。
「良かった゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~!!」
「痛い痛い痛い!!!」
「あぁっ!ごめん!!」
「だ、大丈夫……。ここは……?」
「ここは茶屋、昨日行った吉田茶屋のおじさんが泊めてくれたの、その奥の寝床。……村には居られないから……」
「村……そうだ!村はどうなったんだ!?」
「…………」
「こずえ!!!」
「……村は、全焼した。……生き残りは村人十七人のうち、うちら二人だけ。」
トオルは呆然とする、何も言えなくなる
「うちはあの時、井戸に飲み水を汲みに行ってたの。そしたら、あんなことに……」
「そうだった、のか…… でも、こずえが生きててよかった……」
「うん……あっ……」
こずえは何かを思い出し、怪訝そうな顔をして聞く「あの数の鬼……あれは、トオルが倒したの……?」
「!!!」
(あの鬼達は、おそらく僕が倒した……。気絶して目覚めたら身体が鬼化してて、鬼達が死んでいて……)
「トオル?」
「あっ、いや……」
(でも、それがバレたらどうなる……?そもそもどう説明すればいい……!?)
「いや、あの鬼は、…………父さんが、倒した。でもその時に鬼と相打ちになって、父さんは死んでしまった。」
「お父さん、が……?」こずえは、少し引っかかったように聞く
「う……うん」
「そっ、か……」
「……」
「……」
そこから長い間二人は押し黙っていた。そうしてから、トオルが少しずつ話し始める。
「あの、さ。」
「うん」
「僕、旅に出るよ。」
「旅!?......って?」
「えと、何から話せば良いのかな……うーん……」
「?」
「実は僕……………………桃太郎の子孫、らしくて。」
「え!?桃太郎って……え?あの桃太郎?」
「うん、なんていうか、伝説の。」
「えぇ?え!?えーーー?」こずえは尻尾がパタパタと動いてしまって、困惑を隠しきれない様子だった。
(えぇ?どういうこと?!じょ、冗談?まさか、トオルはそんな冗談言わないし……しかもこんな時に……)
困惑したこずえを見ながらも、とりあえず話を進める。「……だから犬、猿、キジ、それぞれの国にいる、桃太郎一行の子孫に会いに行かなきゃなんだ。」
「……」こずえは戸惑いながらも話を聞く
「それが、父さんの遺言でもあるから……」
トオルは昨夜あったことや、告げられた父の遺言の詳細をこずえに話し始めた。ただ一つ鬼の母のことを除いて。母が鬼であるとすると、自分が半分鬼であることについても知られることになる。それを正直に言うことは、トオルには何か抵抗があった、自分でもまだ信じられていないことでもあった。
「……だから、村が襲われたのは、僕のせいかもしれない。」
「!!!っ違うよ!!うちがトオルを街に連れていったから……」
「いいや、僕のせいだ。」
「っ……」
少し経って、ガララッと音がして二人はそちらに振り向く
「目が覚めたのか!!!よかった……」吉田のおじさんだ、僕が目を覚ましたことに安堵しているようだった。
「こずえ、トオル、二人とも気が済むまでここで寝泊まりしていいからな……」
おそらくすでに昨日の事件の噂が広がっているんだろうと思えた……ひどく僕らに同情しているように見える……
「ありがとうございます、でも。僕は明日の朝にも旅に出ようと思います。」
「えっ、た、旅?」おじさんもこずえと同じく、困惑している。
「ちょっと待ってよ!明日にも!?いくらなんでも早すぎだよ!」こずえが驚いた様子でいう
「こずえ、僕がここにいれば、この街にも被害が及ぶかもしれない。」
「……!!」
「僕は、ここにいちゃいけない。…………もう誰も自分のせいで死なせるわけにはいかない。」
こずえはトオルの静かな、しかし強い覚悟を感じ引き止めるのは無理だろうと悟った。
「わ、分かった!じゃあその旅、うちもついて行く!トオルを一人になんてできない!!」
「!!……ダメだ、危なすぎる!」
「やだよ!こんなお別れなんて!もう会えないかもしれないでしょ?!」
「こずえ、いつか必ず帰るって約束する。……分かってくれ。」
こずえは涙目で座り込んで黙ってしまう、ミミもしおれている。吉田のおじさんは何もわからず言葉を詰まらせている。そうしてこずえが立ち上がり何かを決意したように言い出す。
「分かった……!でも昨日、一緒に外に出ようって話したよね!」
「いや、それは……」
「だから、最後にお別れする前に今日だけは、街で一緒に思い出を作ろう! 出発は明日だから、いいでしょ?」
「!!……分かった、そうしよう。」
それを聞いて、こずえは泣きそうになった目を拭う。
「じゃあ、今すぐ行こうっ!行くよ!」こずえがトオルの手を取って部屋の外に向かう。
「うん!!」
「おい!待ってくれよ!俺への説明は無しか!」おじさんは慌てていう
「帰ってきたらうちが話すから!また後で!」そう言って二人はすぐに外へ駆け出して行った。
続き1万文字ぐらいは書けていて、絶賛推敲中ですー
これから世界を巡る、冒険に出ます。
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