狩りが上手なおおかみくん
とあるところに、一匹の狼がいました。
狼は今日も狩りに出かけます。
家族を養うため。
そして、家族の笑顔を見るため。
そのためなら、少しぐらいの傷なんて気になりませんでした。
今日の狩りを終えて一息ついているところに、今まで嗅いだことのない匂いがしました。
たくさんの命を無意味に奪って、それを楽しんでいる、とても濃い命の匂いです。
嫌な予感がしました。
急いで自分の家族の方に向かって走ります。
家族の匂いが強くなるとともに、命の匂いが濃くなります。
もう少しでたどり着くというところで、不思議なものを見ました。
後ろ足で立つ、猿に似た生き物です。
その生き物は前足で持ったこれまた不思議な棒の先を家族に向けています。
気づいたときには遅かった。
バンッ!という大きな破裂音とともに狼が愛したものは壊れました。
狼は怒りで支配されました。
なぜこうも簡単に奪う必要のない命を奪う?
なぜ笑っている?
「ん?なんだおまえ?おれにころされにきたのか?」
猿の鳴き声が聞こえる。
黙れ。
怒りのまま、猿を攻撃する。
一撃目。 足に噛みつく。
猿は急いで振りほどく。
猿はあの忌々しい棒を狼に向けた。
あの時と同じような破裂音が鳴り、狼の毛が赤くなる。
気にせずに二発目。胸を爪で切り裂く。
猿はどうやら苦しんでいるようだった。
膝を付き、息が荒くなっている。
三発目。 喉笛を噛みちぎる。
猿は動かなくなった。
そのあと、家族を取り戻せないということを思い出した。
いいじゃないか。
やってやる。
匂いは覚えた。
猿どもと俺の戦いだ。
大切なもの奪われた悲しみ。
猿どもに味あわせてやる。
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狼は今日も狩りにでかけます。
守れなかった家族のため。
そして、心に空いた穴を少しでも塞ぐため。
そのためなら、自分の匂いなんて気になりませんでした。
なにか気になるところがあったらコメントお願いします。